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ジェフリー・ディーヴァー『ブラック・スクリーム』その24

2021-12-18 11:42:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

(中略)
 サックスは、ベビーカーに乗っているのはファティマとハーリドの娘ムナではないことを初めから知っていた。カポディキーノ難民一時収容センターに行ったとき、ファティマは姿を消したあとだったが、隣人に預けられてテントとテントのあいだの空き地にいるムナの姿を見ていたのだ。(中略)
 ダンテ・スピロがやってきた。「電話は見つかったか」「まだです」ロッシが答えた。(中略)海軍のダイバーが海中で捜索しているものはそれだ。(中略)
 しかしナポリ湾の海流には、捜査に協力する気がないようだった。(中略)
 爆破装置は、ファッションショーの受付に近い場所、石の壁に囲まれた小さな空間の奥に仕掛けられていた。(中略)頑丈な壁が爆風を受け止め、死傷者はほとんど出ないだろう。(中略)
 ファティマはすぐ近く━━城のなかで救急隊の治療を受けていた。(中略)九ミリ弾は、携帯電話を粉砕したものの、出血するような傷は一つとして残さなかった。
 サックスは(中略)ファティマを安心させるために(中略)スピロ検事が、リビア国内にいるイタリアの工作員に家族の警護をさせるだろうと約束した。(中略)
 ロッシの電話が鳴った。(中略)
「ベアトリーチェからでした。起爆用の携帯電話から指紋を一つ検出したそうです。データベースと照合したところ、一致する登録データが見つかった。アルバニア人です━━合法的にイタリアに在住しているアルバニア人」
「合法的に?」ライムは言った。「なのに指紋が登録されているのはなぜだ?」
「ミラノのマルペンサ空港に勤務するのに、身辺調査が必要だったから。燃料トラックや、飛行機を地上で動かす大型車両の整備士だそうです。(中略)」

(中略)「ここにいるのは確かなのね?」サックスは尋ねた。今回のテロ計画を立案した張本人、イブラヒムとジャンニを雇った人物のことだ。世論を移民排斥にかたむけ、移民や難民の苦境を救えるかもしれない法案の通過を阻止せんというそれだけの理由から、数十人の罪のない市民の殺害を企てた人物。(中略)(サックスらが突入するとセックスの最中だった男女が全裸で立ち上がった)。
 少年っぽさを残した顔を真っ赤に染め、髪を乱して、マイク・ヒル━━先日、サックスをミラノに送り届けたプライベートジェットを所有するアメリカ人実業家━━は、スピロの指示に従った。(中略)

(中略)マイケル・ヒルは監房で“凄腕”弁護士が来るのを待っている。(中略)思うに、離婚の慰謝料は目の玉(インプレッシ)が飛び出る(オナンテ)額になるだろう。
“ジャンニ”は、マイク・ヒルの運転手、ルイージ・プロコピオではないかというサックスの推理が的中し、マイク・ヒルの逮捕からまもなく、プロコピオも逮捕された。(中略)
 ベアトリーチェの分析により、ミラノの倉庫で採取された微細証拠から火山灰土が検出されていた。(中略)そのアルバニア人はおそらく、ナポリから来た人物と倉庫で会い、爆薬を渡したのだろう。
 マルペンサとナポリの両方につながりのある人物は誰か。マイク・ヒルだ。ヒルは空港からミラノに向かう道路は渋滞しやすいと知っていた。つまり以前にも空港に行ったことがあるのだ。(中略)
 ヒル自身が爆薬の取引に関わってはいないだろうし、アルバニアの密輸業者に代金を支払うといったこともしていないだろう。しかし、運転手は別だ。ルイージは喫煙者で、髭を生やしておらず、黒い髪を長めに伸ばし、浅黒い肌をしている。しかも、ファティマの供述にあるとおり、職業柄、車であちこちに移動していることが多い。
(中略)捜査の進捗を気にしていたヒルは、すぐに総領事に連絡し、自分の飛行機がいつでも離陸できる状態で待機していることを伝えた……捜査員の行動を監視するために。(中略)
 そこでサックスは、ルイージの顔写真を“秘密の情報源”アルベルト・アッレグロ・プロンティ(中略)に送った。プロンティは、(中略)自分を倉庫から追い出した男はルイージ・プロコピオと同一人物だと証言した。(中略)
 ダンテ・スピロはプロコピオの逮捕をとりわけ喜んだ。(中略)ンドランゲタの国外メンバーの一人だからだ。(中略)
 マイク・ヒルの動機は、捜査チームが推測したとおりのものだった喜んだ━━(中略)移民にテロリストがまぎれているという“証拠”を示し、“アメリカ国内”の世論を揺さぶって、移民受け入れ条件を緩和する法案に反対する勢力を議会内で拡大することだ。
 (中略)首謀者はヒル一人なのかという問題はまだ残っている。携帯電話の履歴を調べたところ、テキサス州選出の上院議員ハーバート・ステーションとメールをやりとりしていたことが判明した。(中略)

(また明日へ続きます……)