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和田誠『いつか聴いた歌』(文庫版)

2014-04-21 09:04:00 | ノンジャンル
 昨日、劇団扉座・第55回公演、横内謙介脚本・演出の『幻冬舎Presentsつか版・忠臣蔵/大願成就討ち入り篇』を厚木市文化会館へ母と見に行ってきました。演劇でこんなに笑ったり泣いたりしたのは初めてでした。4月23日から29日には新宿・紀伊国屋ホールにて上演されるとのことです。

 さて、和田誠さんの'96年作品『いつか聴いた歌』(文庫版)を読みました。'77年に刊行された同名の単行本に加筆修正されて、できた本です。
 和田誠さんがこれまで聴いてきたスタンダード・ナンバー(主にアメリカの曲)の中で、特にお気に入りの100曲を紹介した本で、「前奏」と題された“まえがき”の部分で、和田さんは「アメリカの歌にこだわるのは別に理由はないのだが、ひとつ理由をあげるとすれば、ぼくにとってアメリカから聴こえてくる歌は、アメリカ映画とともに、子どもの頃からかけがえのないエンターテイメントだったからである」と述べています。ちなみに和田さんは1936年生まれで、大平洋戦争終戦時には9歳だったことになります。
 この本で新たに知ったことは、映画『昼も夜も』が、コール・ポーターの伝記映画であったこと、『スターダスト』を作曲したホーギー・カーマイケルは、『わが心のジョージア』も作っていて、映画デビューは彼が45歳の時に出た'44年作品の『脱出』であり、日本のテレビ番組『シャボン玉ホリデー』にもゲスト出演したことがあること、『歌わせてくれれば私は幸せ(Let Me Sing and I'm Happy)』という曲のヴァース(曲の導入部で歌われる歌)は「国の法律を作るのが誰だろうと気にしない。事の善悪は彼らにまかせよう。世界の情勢も気にしない。私のポピュラー・ソングが歌えるかぎり」と歌っていて、ビング・クロスビーのラジオショウにアル・ジョルスンがゲスト出演してこの歌を歌った時、クロスビーは「アルが彼の哲学を歌います」と紹介したこと、『三文オペラ』の作曲で有名なクルト・ワイルの奥さんだったのはロッテ・レーニャという人で、映画『007/ロシアより愛をこめて』で、靴の先からナイフを出してボンドを蹴って殺そうとするコワイおばさんがその人だったこと、和田さんが来日したジェームズ・スチュアートと対談していたこと、などでした。また、私の記憶からしばらく遠ざかっていて、この本によって改めて思い出した名前として、ボブ・ホープ、ビング・クロスビー、ジューン・アリスン、オスカー・レヴァントらがいました。
 私はこの本を読みながら、歌手の名前の綴りをウィキペディアで調べ、YouYubeで実際に曲を聴きながら読みました。すると、76歳のフレッド・アステアと71歳のビング・クロスビー』がピアノを囲んで楽しそうにデュエットしているところや、アニタ・オデイが'58年7月のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルで『二人でお茶を(Tea for Two)』を見事にジャズ風に換骨奪胎して歌い上げているところ(家族連れの観客らがノリノリで聴いていて、歌った後は猛烈な拍手で、スタンディング・オベーションをしている観客もいるところも見られ、感動的な映像でした)、フランク・シナトラがソサイエティ・オブ・シンガーズの賞を受けた時(90年)のパーティで、ペギー・リーが『The Man I Love』を歌い、「The Man I Love」という言葉は残しながら、シナトラに捧げる歌詞に替えて歌うと(ペギー・リーは作詞家でもある)、シナトラが感激してそっと涙をぬぐうところ(ペギー・リーは'57年にシナトラの指揮するオーケストラをバックにこの曲名をタイトルとするアルバムを作ったことがあった)、テレビの『ジュリー・アンドチュース・アワー』で、ゲストのスティーヴ・ローレンスが作曲家に扮し、ジュリー・クリスティーがその女房役に扮して、『How about you?』を歌うコント、ダニー・ケイが映画『アンデルセン物語』の中で『尺取虫(The Inch Worm)』を歌うところ、サラ・ヴォーンが客の笑いを誘いながら『Tenderly』を歌うところなどを、実際に見ることができました。
 2曲目に私が大好きな『スターダスト』を取り上げてくれていること、「ぼくが大好きな映画」として『バンド・ワゴン』(これは蓮實先生も絶賛している映画)を挙げていることなども、この本の嬉しいところでした。この本によって、MJQによる『朝日のようにそっと(Softly, as in a Morning Sunshine)』、ブレッドの『If』などを思い出すことができましたし、新たな発見として、アニタ・オデイ、サラ・ヴォーンのファンになりました。

 とにかく和田さんの博学ぶりと、そのレコードのコレクションの膨大さに驚かされる本でした。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

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