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天童荒太『家族狩り〈第四部〉巡礼者たち』

2007-04-11 17:00:25 | ノンジャンル
 吾妻ひでお氏が感激して聞いた鮫島有美子さんの「鶴」の独唱を聞きました。全然感動しませんでした。(泣)やはり、曲の趣味は人それぞれなのですね。

 さて、今日は昨日に引き続き、天童荒太「家族狩り〈第四部〉巡礼者たち」の紹介です。
「家族のあるせいでどれだけ人が殺されたのか」と先日、心中事件は俺がやった、と言った男からまた「心の悩み電話相談」に電話がかかり、これからも家族を殺し続け、最後は自分の家族を殺す、と言います。
 玲子は施設で駒田を待っていますが、不安にかられたりもします。游子は様子を見に来ますが、一時食欲を失っていたが、山賀という女性が訪ねて来てから元気になった、と聞かされます。駒田は山賀のもとで更正の努力をしているとのこと。
 浚介は游子を自宅に誘い、皆の集いの場になっているところを見せ、シロアリ駆除の臭いをどこかで嗅いだことのある臭いだった、と言います。馬見原を呼び出し、その件を話し、麻生家の近くで拾ったシロアリを見せると、調査した結果、シロアリ業者は間取りも分かり、床下に潜入することもできることを知ります。馬見原は麻生家と実森家の床下を調べ、同一業者によるシロアリ駆除の可能性があることが分かります。馬見原は椎村に山賀の隣に住むシロアリ駆除業者・大野を調べるよう命じます。二人して山賀・大野の家を訪問しますが、自分を捕まえに来たと誤解した駒田は逃げ出します。山賀・大野は元夫婦で、子供を殺した過去を持っていました。
 馬見原は2週間休暇を取り、四国へ大野の過去を調べに行きます。二人は非常に厳しい親で、高校受験に失敗したころから荒れ始め、家庭内暴力は凄惨を極め、「もう生きたくない、本当に人を殺しそうだ」と言うのを見て、大野は殺すことを決心し、息子は仏様の顔をして死んでいったと言います。馬見原は「人が首を絞められて仏の顔になるか」と疑問を感じます。刑務所入所当時は「死刑にしろ」と暴れた大野は、妻との面接で家がなくなったと聞いて静かになり、建築と害虫の本を読み、シロアリ駆除をしながら空き巣をしていた男を先制と呼んでいたことも分かります。佐和子も同行しますが、お遍路さんの存在を知り、新しい生き方を見つけ、離婚を切り出します。そして離婚した後も家政婦として雇ってほしいと言います。帰って来た馬見原夫婦は真弓の家に行こうとしますが、馬見原は携帯に「お母さんが死んじゃう」という研司のメッセージがあるのを見て、佐和子をドンと押して車両に押し込み、自分は綾女の家に急行します。佐和子は飲み忘れの薬を全部飲み、狂気にかられて池に入って行こうをしますが、優しい声を掛けられて、泣きじゃくり、その人の暖かい胸にしがみつきます。
 亜衣は人形のように何も感じない状態で久々に学校に行きますが、イジメが待っていました。吐いて助けを求めても誰もきません。次第に呼吸が苦しくなり、失神します。それ以降、母を睨み付け、部屋にこもり、差し込もうとした父の手をカッターで斬り付けます。浚介が訪ねてきますが、母親が追い帰します。山賀も亜衣から会話を拒否され、次回は大野を連れて来ると言います。
 浚介は畑作りを始めます。2週間に一度、彼の仲間の集まる日を作ります。
 大野のところには、シンナー中毒で家庭内暴力を振るう孫をかかえる老人に、今度こちらから伺わせてほしい、と頼みます。游子はそこへ現れ、駒田の居場所が分かったら知らせてほしい、と頼みます。
 椎村は新改築の家が襲われていることから、4箇所をピックアップし、そのうちの1件のマンションを自ら張り込みます。そして、ちょっと現場を離れたすきに、犯行が行われます。
 玲子は駒田と施設を逃げ出しますが、結局行き詰まって游子に連絡しますが、游子の意思に反してパトカーが来てしまい、駒田は酒に手をだし、游子に金を持って来いと言います。駒田に土下座までした游子は駒田に刺され、浚介に助けられます。
 綾女が仕事から帰ると、油井と息子がテレビゲームをしていました。油井は隣の部屋で綾女を犯します。

 これ以外に、広島生まれの人が8月6日の早朝黙祷する話、馬見原の母の施設での花火大会の話、パーティでの研司の失踪事件、佐和子が馬見原に射殺者の母への謝罪を求める話が省略され、山賀と大野の息子の話はかなり簡略化されています。
 山賀・大野の隠された過去が明かされ、シロアリ駆除というキーワードが出て来ます。游子は重傷を負い、馬見原と佐和子夫婦の将来はまだ見えません。亜衣は破滅への一途を辿っています。駒田・玲子親子の将来は? いよいよすべての謎が明かされます。明日の第五部・最終章にご期待ください。

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