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斎藤美奈子さんのコラム・その49

2020-01-26 06:25:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラム。

 まず昨年の12月11日に掲載された「永田町菌の猛威」と題された斎藤さんのコラム。その全文を転載させていただくと、
「七日、菅義偉官房長官は視察先の熊本県益城町で「各地に世界レベルのホテルを五十カ所程度新設することを目指す」と述べたそうだ。驚異的なズレっぷり。益城町は2016年4
月の熊本地震で大きな被害が出た被災地だ。そこでわざわざこんなことをいうか?
 九日、安倍晋三首相は国会閉幕後の記者会見で「憲法改正はけっしてたやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げていきたい」と述べたそうだ。これまた驚天動地のズレっぷり。自らの疑惑解明はそっちのけ、国会からも逃げ回っておいてどの口が…である。
 以上二つの発言は、この政権が何らかの病魔に侵され、正常な判断力を失っていることをうかがわせる。目の前の厄災は知らぬ存ぜぬで通す。自身に向けられた疑念は聞こえぬふりをし、一部の身内にだけアピールしそうなことをいう。問いと答えがかみ合わない。現実から目をそむけ、五輪や賭博などの快楽に逃避する。権力に長くいたために増殖した永田町菌の仕業か。憂慮すべきは永田町菌が霞が関にも回り官僚が続々「プチ菅」化していることだ。
 桜事件を追及する野党やメディアに「いつまでやっているのだ」「もっと大切なことがある」と意見する方には、何をおっしゃる、病巣の摘出が先だといいたい。「もっと大切なこと」があれですよ。緊急手術レベルでしょ。」

 また昨年の12月18日に掲載された「男女平等は地方から」と題された斎藤さんのコラム。
「十七日に発表された最新のグローバル・ジェンダーギャップ報告書。日本は過去最低の百二十一位だった。この結果は特に政治分野での男女格差が影響したらしい。
 男女の候補者数を均等にする努力義務を政党に課す「政治分野の男女共同参画推進法」が成立したのは昨年五月。たが今年の統一地方選でも目標には程遠く、国会議員の女性比率は衆院10.1%、参院22.9%。女性議員ゼロの地方議会が二割もある。
 対照的なのが右の報告書で三位に入ったフィンランドだ。国会議員の女性比率は47%。今月十日に発足したサンナ・マリン内閣は首相が三十四歳の女性、十九人の閣僚中十二人が女性だった。
 比べるなといわれそうだが、こういうのは比べたほうがいいのである。国内版のジェンダーギャップ・ランキングも創設してほしい。日本では都道府県「幸福度」ランキングや「魅力度」ランキング(ともにブランド総合研究所)が自治体を一喜一憂させているけれど、これらにはジェンダー平等の視点が入っていないのだ。
 だからこそ比較する。ちなみに都道府県議会に占める女性議員の比率だけで比べると、トップ3は東京、京都、滋賀。ワースト3は香川、佐賀、山梨(昨年十二月末現在)。一喜一憂すべきはこっちだろう。男女平等への道はまず地方から、である。」

 そして今年の1月21日に掲載された「同化政策に抗(あらが)う」と題された斎藤さんのコラム。
「十五日に決まった今期直木賞受賞作、川越宗一『熱源』は帝国主義下の民族同化政策に決然と異を唱えた歴史小説だ。
 主人公のヤヨマネクフは樺太(サハリン)で生まれ、明治維新直後に北海道の原野に集団移住させられたアイヌ民族の青年。もうひとりの主人公ブロニスワフ・ピウスツキはリトアニア生まれのポーランド人。皇帝暗殺未遂事件に巻き込まれ、流刑囚として樺太に送られてきた。山辺安之助と名前を変え再び樺太に戻るヤヨマネクフ。樺太の少数民族ギリヤーク(二ヴフ)と出会って民俗学を志すブロニスワフ。明治政府とロシア政府の手で土地と言語を奪われた二人を軸に進行する物語は後半驚くべき展開に至るのだが、これらは史実に基づくのだそうだ。
 十三日、地元福岡県直方市で開かれた国政報告会で「二千年の長きにわたって一つの民族、一つの王朝が続いている国はここしかない」と述べた麻生太郎副総理。この発言が言語道断なのは、先住民たるアイヌ民族を無視しているのみならず、百五十年前の同化思想からいまだに彼が抜け出ていないことだろう。
 昨年一月に直木賞を受賞した真藤順丈『宝島』は返還前の沖縄を果敢に描いた作品だった。そして今年は北方を舞台にした壮大な作品の受賞。エンタメ小説は最近気を吐いている。政治かの世迷(よま)い言などクソ食らえである。」

 どの文章も一読に値する文章だと思いました。

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マイケル・ムーア監督『華氏119』その5

2020-01-25 04:30:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

 突然暗転。ビーという電子音。携帯の画面に映った若い女性。「緊急速報? “弾道ミサイルがハワイへ、すぐ命を守る行動を”。大変! どういう? 訓練じゃないって。“弾道ミサイルがハワイへ。すぐ命を守る行動を”」。
「観光客はどうする?」。
 屋外ではサイレンが鳴り始める。
「核戦争の始まりかも」
 携帯の女性「ヤバッ」。
「太平洋軍はミサイルの脅威を感知。おそらく数分で落下する。訓練じゃない」。
 テレビにテロップ。「大変だ!」。
「ミサイルが来る!」
ナレーション「これは事故だった。勘違いだ。でも間違わないで。これが僕らの住む世界だ」。
「911です、どうしました?」「高校で銃を乱射している者がいます。6分20秒のAR-15です」。
「友達のカルメンは二度とピアノ練習の愚痴は言わない。アーロンは二度とキーラをデブと呼ばない。アレックスは二度と兄弟と登校しない。スコットは二度とマックスとふざけない。ヘレナは二度と放課後ダベらない。ジーナは二度とリアムに手を振らない。ホアキンは二度とサムたちとバスケをしない。アレイナは二度と~。カラは二度と~。クリスは二度と~。ルークは二度と~。マーティンは二度と~。ピーターは二度と~。アリサは二度と~。ジェイミーは二度と~。メドウは二度と~」。少年が声を震わせ、壇上で話しているのを捉えながら、映画は終わる。

2時間ちょっとの長さの映画でしたが、一気に観てしまいました。

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マイケル・ムーア監督『華氏119』その4

2020-01-24 05:23:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

 ベン=ギアット「批判者にとって支持はナゾです。でも強い者や独裁者が成功した時は前々から人心をつかんでいる。彼もそうです。忠誠の誓いで」。
 トランプ、支持者たちに囲まれて、「誓いを立てようか? 右手を上げて。誓いますか? 明日は投票に行ってトランプに票を入れると? みんな愛してるよ」。(中略)
 トランプ「選挙システムを批判したが、勝ったからもういいんだ。関係ない。本当だ」。
 スナイダー「独立宣言の署名者たちは民主主義は続かないと考えた。民主主義の主役は民だ。民が黙れば民主主義の意思は消える。そして何らかの過激な形態……ファシズムなり、有権者が減らされていく形態になれば、非常時法が発動されたり、金で選挙が決まる世界になる。すでにその傾向だ。いずれにせよ失うものは大きい」。
 トランプ「アメリカで内戦が起きるでしょう。キリスト教徒がついに表舞台に」
 反トランプの看板。「看板はリベラル派よ。トランプ弾劾なら命はない」。
 R・ストーン(トランプの長年の顧問)「やってみろ。国中で暴力が起こり、暴動が荒れ狂う」。
「国民の3%だけで1億6000万挺もの銃を保有している。なぜそんなに必要なんだ?」「革命が必要だから銃を取る。私は暴力的じゃない。牧師だ」。
 A・ジョーンズ(『インフォウォーズ』ホスト、サプリの営業マン)「マイケル・ムーアは“議事堂を囲め。立ち上がれ。暴れろ”と言ってる。暴力革命の扇動だ。バカでも分かる」。
 射撃練習をする兵士たち。
 S・バノン「2012年、国の未来を決める10~20年闘争だ。先日のように強く毅然とあらねば。彼らのように努力すれば勝てる」
「白人の支配層は今やマイノリティだ」。
 父「準備オッケー? よし撃とう。(息子とともに等身大の人形を撃つ。)血を流してるぞ」。
 ムーア「スーザン・ソンタグは“あと1度の9・11で民主主義は失われる”と」。スナイダー「私は悲観的だ。9・11がなくても失われる。歴史では起きてきたことだ。ニセの安全のために自由を手放す。だが対テロに必要なのは安全でなく自由だ」。
「未確認情報ですが、世界貿易センターに航空機が突入。ビルの2方向から煙が上がっています」「この邪悪な行為の犯人は捜索中だ」「同時多発テロの6週間後、愛国者法が成立。国民の医療や財務記録、PCや電話の会話から、図書館の記録まで、捜査が可能に。人々は“テロと戦うためなら喜んで自由を差し出す”と。我々と共に戦うか、テロリストの側につくか。ドナルド・トランプは完全に阻止する。ムスリムは入国させない。移民税関捜査局は全州で強制捜査を実施。新政策では、子供たちが親から引き離される」。
「出身は?」「エルサルバドル」「君は?」「グアテマラ」「泣くな」「おばさんとパパは?」「この女性が助ける」「パパ―、パパ―」
「赤ん坊を親から引き離し、別々に収容するなど……彼らは誰も傷つけていない。くだらない法に反しただけだ。これは人道に対する罪だ。自由の女神の台座にある『疲れし者、自由を求める群衆を私に委ねよ。私が希望の炎を掲げよう』。その炎はどこだ? この国にはない。心が痛む。だがそれが我々の世界だ。変えるか滅びさせねば」。
「何カ月後かに僕らの望んだ民主主義が叶えられず、国家の緊急事態のために手中のものまで失った時、彼らは自問するだろうか? “いつ状況を変えられた? 手遅れにするために”と。教師が副業を始めた時か? 気さくな警官のこんな姿(完全武装している姿)を見た時か? こんな車を乗り回した時か? 処方された鎮痛剤を飲み続け、依存症になったあげく、本当は鎮めるべき傷みなどなかったと気づいた時か? 愛する大統領が証券会社から莫大な献金を受けていると聞いて、誰かに言いたいのに、言えずに、ヘドを呑み込んだ時か? こんな不幸は他人事と決め込んだ時か? この国は子供たちよりも、ずっと銃を愛している。もしそんなアメリカを守るなら自問すべきじゃないか? “なぜ?”と。なぜこのアメリカを? 僕が守りたいのは、まだ見ぬアメリカだ。こんな最後じゃない。今なら間に合う」。
 抗議行動をする人々。
「“悪”は動きの鈍い生物だが、巨大な恐怖と合体したら手遅れだ。僕らは気休めを言い過ぎた。憲法が守ってくれると。選挙が盾になると。特別検察官もいると。弾劾制度があると。希望を持ち続けた。でも僕らを殺したのは希望だ。希望は憧れであり、受け身で、安らぎだ。だが必要なのは安らぎじゃない。行動だ。僕は思う。トランプのおかげで目を覚ますことができたと。彼を現した腐ったシステムを一掃する必要があるのだ。この今こそ気づかねば、もう時間はない。すぐ行動を……。

(また明日へ続きます……)

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マイケル・ムーア監督『華氏119』その3

2020-01-23 05:40:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

 中国の周主席と握手するトランプ「周主席は紳士だ。しかも終身国家主席。終身だぞ。すごいことをやってのけた。アメリカでも試そう」ベン=ギアット「ある考えを発信してみてメディアが取り上げてくれる」。
「国民投票で権限拡大を勝ち取ったトルコのエルドアン大統領に祝意を示すトランプ」。
 ベン=ギアット「メディアが増幅し流通させれば大きな話題に」。
「前に冗談で言った16年! 新聞は書いた、“彼らには独裁的な傾向がある”と」。トランプ「16年は本気じゃない。皆が望むなら別だ」。(中略)
 スナイダー「国民は“200年超の歴史ある民主主義は揺るがない”と。それは嘘だ。この国の民主主義の誕生は1970年頃だ。黒人や女性に選挙権がなかった時代は民主主義とは言えない。どこよりも民主的な国に住んでるとは思うが、この国の民主主義は願望で道の先があり、有権者の半分しか投票せず、政治が金まみれの間は道半ばだ」。
「100万以上の雇用。米国株への投資拡大。株価は史上最高値。国は強くなった。就任2年で公約を果たした大統領はアメリカ史上初だ。有権者への公約じゃない。彼の仲間である億万長者たちへの公約だ」。トランプ「富裕層への大減税を通過させる。オバマケアは失敗なので廃止。銀行の規制は緩和か撤廃。最高だろ?」。スナイダー「140人もの判事を保守派で固めつつある。記録的なスピードだ。終身制である最高裁判事に右派の裁判官を任命、パリ協定は“脱退する”、イラン核合意“離脱する”、キューバとの国交回復“見直す”、刑務所は民営化、株価はほぼ倍に、公立校を民営化、例の壁を建設」。
“ニュールンベルク裁判 1946年”の字幕。「我々は疑惑の領域の向こう側に第三帝国より前は輝いていた事実を確立するものです」。
 B・フェレンツ(ニュールンベルク裁判の検察官、最後の生存者、99歳)「9万人のユダヤ人を殺害した被告に尋ねた。理由を。彼は答えた、“私より賢いヒトラーが言った「ユダヤ人が攻めてくる」と”。それで自衛のためにやった。今大統領がしている話と同じだ」マイケル・ムーア「トランプが?」「我々はあの被告と同じことをしている」。
 映画「世界のどこかの共同体は、常に民主主義から専制へと物差しの上を動いている」。ムーア「公民の授業で嫌いな映画だった。今は価値が分かる」映画「有能な観察者が専制の兆候を見るのは美辞麗句や気高いフレーズだ」。
 トランプの支援者たち「U・S・A! U・S・A!」
 映画「共同体が専制に傾く時、礼儀に欠け、人種差別をする一団が台頭する」。
 男「スペインのクソ野郎!」
 女「汚らわしいニガー!」
 別の男「市民か?」別の女「そうよ」「アメリカ人か?」「来ないで」「その服着るな」。シャツに“プエルトリコ”の文字。「来ないで」。
「忌々しい中国人め」「もう一度触ってみろ。この野郎」。
「死ね。先祖と同じガス室で」。
「死ね、お前ら黒人、クソな奴め。私の国から出てけ」。
 映画「宗教差別も行なわれる」。
 記者「イスラム問題とは?」トランプ「そうとも。キリスト教は衰退が激しく、100.万人も減った。どんどん力が衰えている。宗教としても勢力としても」。
 映画「もし中間層が減少したら専制の可能性が高まる」。
 男「時給7ドル30の仕事で週17時間だけ。クソだ。何もかも」。(中略)
 映画「市民が指図に従うほかない時」。
 トランプ「メディア? フェイク・ニュース? いや、専制のチャンスだ」。
 映画「下品で歪んだメディア。驚くほど不正直だ」。
 トランプ「私の知る最悪のウソつきだ。でも殺しはしない。決して殺しはしないが、どうかな…殺さない。友好的な記者がほしい」。
 映画「質問は抑えられる」。
 トランプ「そんなこと聞くな。ひどい記者だ」。(中略)
 トランプ「まっとうな質問か?」(中略)記者「漏れた情報が真実なら、なぜ記事がフェイクなんです?」「報告がニセだ」。
 映画「本や新聞やラジオが統制されたら」。
 トランプ「座れ。座れ。座れよ」記者「質問をする権利が。私は記者だ。私には…。私に触らないで」。
 映画「大衆は支配者の望むものを読み、受け入れるだろう」。
 トランプ「真実だ。本に書いてある」。
 トランプ「それが“よい”質問だ」
 トランプ「言うことを聞け。私が法律だ」。
 トランプ「私が大統領だ。連中は違う」。群衆、拍手喝さい。
 ベン=ギアット「彼には意図が。過去のファシストの手口と同じです。汚職などの悪事が表ざたになった時、司法は傷つけられる」。
 トランプ「判事が裁く国はアメリカだけだ。諜報機関も。FBIも腐ってる。(中略)フェイクだ。皆さんが見聞をしていることは真実じゃない」。

(また明日へ続きます……)

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マイケル・ムーア監督『華氏119』その2

2020-01-22 07:19:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

「6月26日フリント」。市民「突然ドカンだ。警告なんてない」。ナレーション「オバマの国防総省はフリントを演習場に利用した。未来における市街戦に軍が備えるために」。
「演習の目的は?」「リアルな訓練を行なうことだ」。「事前の通知もなく市民は射撃訓練の標的になった」。「あなたは?」「米軍陸軍の者だ」「なぜフリントで?」「空きビルが多く利用できるからだ」。(中略)「フリント市民にとって“テロ”の定義はまったく違うものになった」。
“フリント市 給水処理施設”の字幕。「2016年の大統領選で、両党を通じて彼(トランプ)はただ一人“犯行現場”を訪れた候補者だった。共和党の仲間の知事の手際を称賛しに来たんだろう。誰かが彼に聞いた。『メディアの大変な注目を浴びていますが、どのように対処を?』『まるで嵐ですか?』。彼は答えた。『私が嵐だ』。知っての通り、かつて嵐を操縦した者がいた。彼こそ嵐を生み出した男だった。私たちはその化身を見ているのだった」。
 ヒトラーの白黒映像。T・スナイダー(エール大学、歴史学教授)「人は彼をヒトラーとは比較しきれないと言って歴史を顧みない。完全な比較などないと考えている。歴史は膨大なパターンや構造の宝庫で、今のような混沌の時に自分の位置を知る手がかりだ」。
 映像はヒトラー時代のドイツ。「ドイツは偉大な自由民主主義の国だった。世界で初めて国民皆保険を導入した。印刷機を発明し、世界で最もよく本を読み、1つの街にいくつもの地方紙があるのは普通だった。出版の自由度も高い。最高の映画も作った。芸術、文化、科学。世界最高の知性と言われた。1932年11月、彼らはオーストリア移民を国のリーダーに選んだ。政治経験のない彼は既存の政治家と違い、率直にものを言って、実に新鮮だった。女性は彼を愛し、子供たちも会うと大喜び。動物が大好きな男だった」。
「ヒトラーの夕食を見よ。祝宴なのにスープも飲まずクラッカーのみ。冗談を言い、物語を話し、ダンスもお手の物。“ドイツ・ファースト”を掲げ、国歌斉唱を軽視したサッカー・チームを処罰した。(敬礼しなかったので活動停止。)完全雇用の保障をうたい、道路やインフラを整備した。収容所も。新しいメディアも活用。ラジオにニュース映画。1935年には独自のテレビ局を開設。アメリカよりも4年も早い」。「ハイル・ヒットラー」と敬礼する女性。「フェイク・ニュースも活用した」。当時のニュース映画「収容所ではユダヤ人たちが、それぞれの職業を続けています」。「このすさまじい大群衆。だがナチ党は国会の議席の32%しか占めていなかった。旧国会(ライヒスターク)のことだ。一般投票では左翼政党が勝っていた。ヒトラーは不満だった。ヒトラーの首相就任から数週間後、テロ事件が発生。国会議事堂に何者かが火を放ったのだ。ナチ党の仕業と噂された。国家緊急事態を作り出すためと。だが彼は共産党のせいとし、党の活動を禁止にする。共産党は国会の議席も奪われた。リベラル派は抑え込まれ、民衆はアドルフ・ヒトラーの全権掌握を支持した。このユダヤ人の新聞は社説を書いた。“皆、冷静になるべき”と。“ナチスは権力掌握をしたが、ヒトラーと仲間は公約をすべて実行などしない。彼らにはできない。憲法が許さないからだ”と。アメリカではNYタイムズ紙も同意した。さほどひどい状態ではないと米国民を安心させている。“中道派、バランスを保つ”。お追従(ついしょう)まで書いた、“ヒトラーの反ユダヤ主義はさほど純粋でも暴力的でもなく、支持者を獲得するエサに利用しているに違いない”と。ヒトラーやムッソリーニに対し、最初民衆は言った。狂ってるだけだと。共和党で言えば、典型的な反応だ」。R・ベン=ギアット(NY大学、暦学教授)「あえて権力を与えて、操縦しよう」。
 トランプ「順調かな? 大統領だぞ。大統領。信じられるか?」。ベン=ギアット「歴史は繰り返されてきた。彼らは作られ、正当化され、最後に全権を握る」。J・ベイナー元下院議長(共和党)「共和党じゃない。トランプ党だ」。
「2017年1月20日午後12時5分、就任宣誓の数分後」。トランプ「神に誓う」。「トランプは書類を提出した。“2020再選キャンペーン”だ。数日後には支持集会を再開させた」。
 トランプ「アメリカを偉大なままに。(ジェスチャーもして)ビックリマーク!」
「2期目への選挙運動も始めた」。
 トランプ「任期が延長できたら話は別だ」。ベン=ギアット「観測気球です。突飛なことを言って反応を見る」。
 トランプ「4年、8年、あるいはルーズベルトのように16年だっていい」。
 トランプ「16年まで延長すべきか? 議員諸君、どうだ?」。ベン=ギアット「民主主義や人権からもあり得ない」。

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