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マルコ・ベロッキオ監督『シチリアーノ 裏切りの美学』

2021-12-26 12:00:00 | ノンジャンル
 マルコ・ベロッキオ監督・脚本の2019年作品『シチリアーノ 裏切りの美学』をDVDで観ました。

 サイト「映画ウォッチ」のあらすじに加筆修正させていただくと、
「1980年9月4日、シチリアの都市パレルモ。
 麻薬取引をめぐって抗争が激化したコーザ・ノストラのパレルモ派とコルレオーネ派。とある豪華なパーティに停戦した2つのファミリーが集結した。
表向きは穏やかにふるまっていたそれぞれの幹部だったが、“新旧世界のボス”と呼ばれるパレルモ派の大物幹部トンマーゾ・ブシェッタは不穏な空気を感じていた。
 ブシェッタはその日のうちに、前妻との息子たちアントニオとベネデットを、長年の親友でありパレルモ派のボスでもあるピッポ・カロに預け、現在の妻クリスティーナを連れ、海外ビジネスの拠点であるブラジルのリオデジャネイロへ向かった。
 ブシェッタの不吉な予感は的中した。彼が不在の間シチリアでは、冷酷無比なトト・リイナ率いるコルレオーネ派がパレルモ派の主要メンバーを次々に残虐な手口で抹殺していったのだ。
 息子のアントニオとベネデットは行方不明。息子たちを託したカロとはなぜか連絡が取れない。彼は対決するコルレオーネ派へ寝返っていた。ブシェッタもイタリアに戻る決断を迫られた。
 しかしそこへ突然リオデジャネイロの地元警察に踏み込まれ、ブシェッタは麻薬取引容疑で拘束され、拷問に会う。
 1984年、ブラジルからイタリア政府へ身柄を引き渡されることになったブシェッタは、同年7月15日にローマに送還された。
 サン・ヴィターレ警察署で出会ったジョヴァンニ・ファルコーネ判事は、捜査への協力を迫った。これに対してブシェッタは「私は改悛者でもなければ、密告者でも恥知らずでもない」とプライドで突き返した。
 ファルコーネ判事はマフィア撲滅に人生を捧げたような男だった。ブシェッタは判事の聴取を受けるうちに畏敬の念を抱くようになった。さらには厳しい血の掟を守ってきたコーザ・ノストラが麻薬ビジネスで金儲けに堕落したことへの失望を告白するなど、判事に心を開いていった。
 その後コルレオーネ派から狙われて、からくも逃れたトトゥッチョ・コントルノも捜査協力者となり、ブシェッタは腹をくくり、組織の凶悪犯罪の詳細をファルコーネに伝えていった。その供述から作られた調書は487ページにもおよんだ。
 これを機にイタリアでは全土にわたってマフィアが一斉に逮捕された。コーザ・ノストラは司法当局に身を売ったブシェッタへの報復として、組織に属さない彼の親族までも殺害した。
 1986年2月10日、コーザ・ノストラの幹部を裁く初公判が行われた。しかし野次や暴言が飛び交う法廷は大混乱となった。
 同年4月3日、検察側証人として初めて出廷したブシェッタは「コーザ・ノストラに入ったときの精神と今も変わらない。彼らこそ改悛者です」と述べ、法廷内に設けられた檻の中から憎悪の目を向ける被告のマフィアたちへ対決姿勢を示した。この檻の中にはブシェッタのかつての親友でコルレオーネ派に寝返ったカロの姿もあった。
 4月10日、ブシェッタはついにカロと直接対峙した。カロはブシェッタと知り合いではないとシラを切ったが、ブシェッタは二人が仲良く映っている写真を公開。すべての証言を終えたブシェッタはファルコーネと固い握手を交わし、アメリカで保護されている家族のもとへ発った。
 大裁判は結審した。被告たちには重罪が言い渡され、カロには禁固23年と罰金2億リラが宣告された。
 1990年代初頭、ブシェッタはアメリカ当局に保護され、米国国内の隠れ家を転々として暮らしていた。それは買い物や食事に出かけても、常にコーザ・ノストラの報復の影におびえる生活だった。
 1992年5月23日、撃的なニュースが飛び込んできた。ファルコーネが高速道路に仕掛けられた爆弾によって殺害されたのだ。喜ぶ囚人たち。暗殺の首謀者コルレオーネ派の大ボス、トト・リイナはその翌年に逮捕された。
 その後、ブシェッタはアメリカ某所でトトゥッチョと会った。彼もまたアメリカ当局に保護され車を売って細々と生計を立てていた。トトゥッチョは復讐の機会を狙って、近々シチリアへ帰ろうとしていることを打ち明けた。
 時はさかのぼり若かりし頃のブシェッタ。16歳でコーザ・ノストラに入りボスに命じられた初めての殺しを何度も試みるが成し遂げられないブシェッタは相手の息子が結婚式で親元を離れたその夜、ついにミッションを達成した。この名もなき男は月光がさす中庭でひとり、すでに死期を知っているかのようにゆっくり煙草に火をつけた。そして突然現れたブシェッタの凶弾を浴びて静かに息絶えたのだった。
 裁判では338人が有罪判決。
 その後ブシェッタは穏やかに過ごし、願っていた通りベッドの上で最期を迎えたのだった。」

 なかなか見ごたえのある2時間30分でした。

フレデリック・ワイズマン監督『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』その2

2021-12-25 11:58:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

 ジェファーソン・マーケット分館で19世紀アメリカの奴隷制についての女性研究者によるセミナーが開かれる。誰もが自由な社会は存在したことがないとして、奴隷制を肯定した南部主義者ジョージ・フィッツヒューを取りあげる。彼にとって、北部の労働者は主人のいない奴隷であった。フィッツヒューと反対に、カール・マルクスとリンカーンを自由な社会を肯定して奴隷制を否定した論者として取り上げる。
 公共図書館ライブではミュージシャンのパティ・スミスが登場。好きなのはフィクションで、回想記なんか書くことがないと思っていた彼女が回想記を書いた。大好きなジャン・ジュネの『泥棒日記』とのつながりを語る。
 幹部たちの会議では、蔵書購入の方針が論じられる。紙の本に比べて電子本の需要が大きく伸びていた。
 公共図書館ライブでは、ムハンマド黒人文化研究図書館館長が作家のタナハシ・コーツを迎える。黒人コミュニティー内部の暴力を自作で扱った彼だが、それは黒人への抑圧に関係していると言う。「我が家ではマルコムXが神でした」と語るコーツ。
 本館内部に巨大なクリスマスツリーが飾られる頃、幹部たちは来年度の予算獲得へ向けて話し合いを始める。
 ハーレム地区のマコームズ・ブリッジ分館をムハンマド黒人文化研究図書館館長が訪れ、一般利用者の話に耳を傾ける。アフリカ系住民の抱える様々な問題が取り上げられる。女性教員はマグロウヒル社の地理の教科書が、あたかもアメリカの黒人は自由意志で移住したかのような嘘の記述をしているという大問題を取り上げる。ムハンマド館長は子供たちが真実を学ぶことのできる場所として、この地区に黒人文化研究図書館があると言う。
 公共図書館ライブでは陶芸家のエドムンド・デ・ワールが自作を朗読する。モデレーターがデ・ワールの人生と創作に欠かせない音楽の一つとしてグレン・グールド演奏のゴルトベルク協奏曲をかけ、その曲と共にこの映画のエンド・クレジットが流れる。」

 3時間半を超える映画でしたが、楽しく観ることができました。また改めてワイズマンの映画ではカメラが動かないことに気づかされました。

フレデリック・ワイズマン監督『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』その1

2021-12-24 11:56:00 | ノンジャンル
フレデリック・ワイズマン監督『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』その1

 フレデリック・ワイズマン監督・政策・録音・編集の2017年作品『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』をWOWOWシネマで観ました。

 サイト「映画ウォッチ」の「ネタバレあらすじ」の一部を修正して転載させていただくと、
「カメラは五番街と42丁目との交差点に位置するニューヨーク公共図書館(NYPL)本館へ。回転ドアを開けて中に入る。今日は出入り口近くで「利己的な遺伝子」で知られるイギリスの進化生物学者・動物行動学者リチャード・ドーキンス博士のトークが行われている。それは気軽に誰もが立ち見ができる。ドーキンスは真実への愛を語り、無宗教者の立場から、進化論を否定するキリスト教原理主義者を忌憚なく批判する。
 NYPLは多くの司書を抱える。彼らの電話応対は、電話の相手の借り出し状況の説明から、極めて専門的な文献調査にも及ぶ。もちろん本館で司書から直接、資料についてアドバイスを受ける人もいる。
 NYPLは財源をニューヨーク市と民間の寄付から半分ずつ得ている。トニー・マークス館長は公民協同の重要性を語る。そして市からの財源が増えれば、民間からの寄付も増えるという相乗効果を期待する。加えてインターネットの利用促進と資料のデジタル化という課題を語る。
 NYPLの特徴あるコレクションの一つがピクチャー・コレクション。担当者が課外授業の高校生にコレクションを説明する。1915年に誕生して以来、ニューヨークの多くのアーティストが利用してきたコレクションだ。ここでは、収集された写真イメージが「動く犬」等のカテゴリーに分けてフォルダーに入れられている。
 NYPLの本館や分館では「図書館」というイメージを超える多彩な事業が行われている。舞台芸術図書館では音楽会が開かれ、ブロンクス分館の就職フェアでは消防署等の職員による説明会が開かれる。著者を招いてのトークもある。西アフリカを研究対象とする歴史家ルドルフ・ウェアは、奴隷制に反対するイスラム聖職者を王が奴隷として売った史実を話し、イスラム教と奴隷制度を関連付ける主張の嘘を暴き立てる。そして公共図書館ライブで、かつてアンチ・サッチャーソングを歌ったエルヴィス・コステロは認知症になって亡くなったイギリスのサッチャー元首相について、今も彼女が国にしたことを許していないと語る。
 ジョージ・ブルース分館ではネット環境のない人のために、ネット接続用機器貸し出しについての説明がある。一方でシニア向けのダンス教室が開催されている分館もある。
 そうした地域に密着した分館のほかに、NYPLには舞台芸術図書館を含む四つの研究図書館がある。その一つ、黒人文化研究図書館の前や内部の廊下に多数のキャンドルが飾られ、火が灯される。今日は黒人文化研究図書館の90周年を祝う式典の晩である。ムハンマド黒人文化研究図書館館長が挨拶をする。
 幹部たちの会議ではホームレス問題が議論される。図書館はあらゆる人に開かれるべきだが、はたしてホームレスの人たちが眠るためだけに図書館に来るのを、どこまで許容していいのか。館長は、最終的に変えるべきはこの街の文化、私たちのホームレスへの態度だと考える。

(明日へ続きます……)

フレデリック・ワイズマン監督『コメディ・フランセーズ 演じられた愛』

2021-12-23 11:54:00 | ノンジャンル
 フレデリック・ワイズマン監督・録音・編集の1996年作品『コメディ・フランセーズ 演じられた愛』をWOWOWシネマで観ました。

 サイト「MOVIE WALKER PRESS」から紹介文を転載させていただくと、
「モリエールの時代から三百年以上もの歴史と伝統を誇る、世界で最も古いフランスの国立劇団“コメディ・フランセーズ”の全貌をとらえたドキュメンタリー。作品の中で、マリヴォーの『二重の不実』、フェドーの『アメリーを頼む』、モリエールの『ドン・ジュアン』、ラシーヌの『ラ・テバイッド』という四つの芝居が上演されている。監督・録音・編集は、『チチカット・フォーリーズ』『バレエ』などのドキュメンタリー作家、フレデリック・ワイズマン。製作はジャン・ラビブ、T.セラル、ピエール=オリヴィエ・バルデ、ドモニク・ブルゴワとフレデリック・ワイズマン。撮影はジョン・デイヴィ。出演は「猫が行方不明」のコラリー・ザオネロ、「太陽と月に背いて」のアンジェイ・スヴェリンほか、演劇界で活躍する面々。97年山形国際ドキュメンタリー映画祭特別賞を受賞。」

 3時間43分という長編ながら、楽しく観させてもらいました。


小津安二郎監督『早春』

2021-12-22 11:52:00 | ノンジャンル
 小津安二郎監督・共同脚本の1956年作品『早春』をNHKプレミアムで再見しました。

 サイト「映画ウォッチ」のストーリーのあらすじに加筆修正させていただくと、
「六郷土手近くの長屋に住んでいる杉山(池辺良)は、丸ビルにある東和耐火煉瓦の社員。今朝も妻の昌子(淡島千景)に起こされ、出勤するために蒲田駅へ向かいます。駅のホームでは通勤仲間である青木、藤井、イチ子、それに金子千代(岸恵子)通称“金魚”などと合流し、一緒に大宮行きの電車に乗り込みました。彼らは休日も一緒に遊びに出かけるほど仲が良く、今度の日曜日も江ノ島にハイキングに出かけるつもりです。
 ハイキング当日、一同が疲れを覚えながら歩いていると、後ろからトラックがやってきます。その荷台には杉山と千代が乗っていました。遅れ気味だった2人は一緒にトラックを呼び止め、一気に他の仲間たちを追い抜かしてやろうとしたのです。
 これをきっかけに杉山と千代は仲を深めますが、それには千代の方が積極的でした。彼女は男性に対して気が多く、以前から同僚たちの噂の種になっています。今度は杉山がターゲットというわけです。
 一方、杉山の方は普段から鬱々としています。というのも昌子との仲があまり良くないからでした。大学時代、杉山は喜多川という行きつけのおでん屋の娘である彼女と恋に落ち、結婚したのですが、最初の子供を亡くしてからはその生活にも張り合いが失われ、2人の仲にもすきま風が吹いていたのです。そんな杉山を落とすのは千代にとって簡単なことでした。
 料亭で逢びきをしてから、杉山と千代は鈴ヶ森の海辺の旅館で体の関係を結びます。あっさりと浮気はしたものの、杉山は昌子を裏切った事が予想以上の負い目となります。
 やがて仲間たちに2人の仲が知られたこともあって、関係はそれ以上進みませんでしたが、家にいても以前以上に口数が少なくなります。しかも千代がいかにも愛人という態度でしばしば家を訪れるため、昌子も夫の浮気に勘付いてしまうのです。昌子は腹を立て、実家に帰ってしまいます。
 そんな折、杉山に転勤の話が持ち上がります。浮気と妻との不和で悩んでいた彼は、それを承諾することを決意。昌子にとりあえず知らせた上で、1人岡山の三石へと旅立ちます。
 新しい職場にも慣れ始めた頃、工場から下宿へ帰ってくると、そこには昌子がいました。杉山は改めて浮気の件を妻に侘び、昌子もそれを受け入れます。二人きりの生活になり、ようやく夫婦にも平穏が訪れたところで、映画は終わります。

 この映画はキャストがものすごいことになっていて、上記以外にも笠智衆、山村聰、杉村春子、浦邊粂子、三宅邦子、東野英治郎、加東大介、須賀不二夫、田中春男、中北千枝子、中村伸郎、宮口精二、長岡輝子、菅原通濟(特別出演)が出演していて、それを見ているだけでも楽しめました。また登場人物が団扇であおぐシーンがやたらに多いのも印象的でした。