おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

一泊

2008年05月26日 | 日記・エッセイ・コラム
学校の近くを車で走っていると、
体育館の傍らにバスが止まっていた。
 
多くの人だかり。
 
なんだろう、なんの騒ぎなんやろう!と近づくと、
バスに乗り込んだ我が子に手を振る親たち。
 
『修学旅行かぁ~』
 
五月晴れのさわやかな風と共に、
懐かしい記憶が蘇る。
時代は変われど、修学旅行は小学校6年間でも
最大のメインイベントだ。
仕事柄、卒業文集を毎年目にするが、
殆んどの児童の思い出は
 
“修学旅行”
 
なのだ。
 
まぁ、これはレコード大賞を取るには
1~2月のヒット曲より、後半のヒット曲のほうが
印象が強いっていう、子供の頃の
思い込みと似ている。
 
6年間の間には色々あったはずだが、
やっぱり、修学旅行はその中でも
特筆すべきエピソードになる。
 
かく言う僕も、卒業文集には修学旅行の事を書いた。
が、本当に書きたかった内容ではなかった。
卒業文集には性格上、正直に書くことは出来なかった。
 
修学旅行の朝、学校までオヤジに車で送ってもらった。
車を降りる時、オヤジがふいに声をかけてきた。
 
「金、あるんか?」
 
お小遣いは、決められた額をオカンから貰っていた。
それとは別に小遣いをくれると言うのだ。
当時から馬鹿正直だった僕は、
限度額をオーバーして持っていくことに躊躇ったが、
 
「ここへ入れといたら、わからへんから!」 
 
と、靴下にねじ込んだ。
そのまま修学旅行に旅立ったが、
もちろん、旅館に着くまで僕の全意識が左足に
集中していた事は、言うまでもない。
 
思えば明日の午後には帰ってくる、
一泊だけの旅行なのだが、
心には強烈な思い出として残る。
 
あのバス、今頃どこを走っているんだろうか。