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お互いに詩才を認め合い、意気投合した二人の詩人。室生犀星と萩原朔太郎は、大正5年に同人誌「感情」を創刊した。日本の詩の世界をリードする雑誌が生まれた。二人はこの雑誌に自らの詩を発表し、同人となる詩人を募った。また、西洋の詩の翻訳を載せ、外国の詩の世界の紹介にも意欲的であった。そして表紙には、ロダンの言葉をフランス語で刷りこんでいる。
そのロダンの言葉に共鳴するものがある。おそらく、同人誌の読者は若い知性が多かったと思われるが、高齢になった私の心を打つ言葉がある。
「汚れのない朝は退き、その羞じらいは消えた。太陽が昇りつつある。大木たちは小さい雲を葉のように繁らせている。雄鶏が歌って挨拶をする。一人の女が通りかかった。彼女は両腕にとても小さい赤ん坊を抱いている。彼女は友愛をこめた挨拶としてそれを私に差し出す。彼女の目は幸福を与えてくれる。熱意を示されることは心を慰めてくれる。」
詩の雑誌を飾るカリグラフィーである。文章の内容にも注目したいが、書道のような文字の美しさも注目を引く。また別の号にはやはりロダンの言葉「私はこんなふうに作った。自然のなかで私はこんなふうに見たから」これらの言葉は、犀星が目指す、西洋を意識した新しい詩の世界があった。