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昨日、花吹雪のなかを歩いて、桜の花に青い葉が顔を出した。朝方、小雪が舞い、花か雪か、ちょっと勘違いするような光景だ。足元にチューリップ、シバザクラ。多少の雪などものともせずに、花々がうつろいを見せる。
芝ざくら好天あますところなし 石原舟月
風流心という言葉がある。古い時代からある日本人の感性。月や草花を愛で、風に心をおどろかせ、水の流れに思いを託す。兼好法師も、「人とほく、水草清き所にさまよひあるきたるばかり、心なぐさむる事はあらじ。」と書いている。
夕方、山の端に、月が浮かんでいるのを見たのは三日前。朝、人通りのない川の流れに沿っている桜並木ば、7分咲き。次の日は、もう桜吹雪。歩道に、花びらが美しく降り積っていた。そんな景色の上に、今朝、雪がうっすらと積もる。陽がさすと、雪がとけていくなかから頭をもたげてくるのはシバザクラ。
こんな景色のうつろいを、目撃できることのしあわせ。健康な足があってこそ享受できる春の日のうつろいだ。