会社の仕事をしていた頃、つまりもう40年も前のことだ。仕事を依頼していたカメラマンにカスミソウが好きな男がいた。山形へ来る度に、カスミソウの花を持参した撮影の小物に利用した。テーブルの食卓にカスミソウを添えたり、子役のプロフィール写真にのにも、あえかなカスミソウのイメージを付け加えた。小さく白い花、主役の被写体を引き立てる効果があった。今も、この花が咲くと、あの頃の撮影作業を思い出す。印刷物の使うたった一枚のイメージ写真の撮影に、3時間以上の時間を要した。仕事が終わってから、行きつけの飲み屋で仕事の話をするのが決まりであった。彼は仙台から来ていたので、都会の仕事の情報を聞くのも楽しみであった。この年になって、写真を撮影するのが好きなのも、この時代の経験があったからかも知れない。
近所の庭に、バイカウツギの白い花が咲いていた。この花も、通用の名は「うの花」であるかも知れない。植えている人は、この花をどう認識してしているか、今度聞いてみたい。今日は、台風1号の影響で、初夏の青空は一転雲の多い日になった。梅雨の前触れのような日、「卯の花ぐもり」というのにふさわしい陽気だ。