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今週の山は黒伏山(1227m)である。嘆いていた長雨がようやく晴れた日、4年前にアクシデントで撤退した山へのリベンジである。写真では切れ落ちた山が見えているが、視点をかえればこの壁面は比高300m、巾1.5㌔の大岩壁が見えるはずだ。東北最大の岩場で、ロッククライムのメッカでもある。さらに視点をひくと、南北に二峰が重なるように聳えている。南の山端が90°に切れ落ちた山が、今回登る黒伏山、観音寺黒伏山と呼ばれ北は沢渡黒伏山(1100m)。かつて麓に黒伏神社を持ち、修験道の行者の修行の場であった。今もこの山に登るのは、上級の沢や岩の技術を身に着けた登山者しか近寄れない山である。船形山を山形では御所山と呼んでいるが、黒伏山は仙台カゴ、最上カゴ、柴倉山と五つの山を行者が巡礼したのでこう呼ばれるとの説がある。
我々が歩いたコースは、野川を渡渉する大平コースである。山裾を巻いて沢筋の石やらや雑木林を抜ける長いだらだら道を分岐まで、コースタイムで1時間40分。その先はブナ林を抜けて尾根への急登、尾根の道は傾斜の比較的ゆるい道が山頂に続く。ここもコースタイムで1時間30分。先月の朝日縦走にもなかったような急な山道だ。但し距離は短い。出した脚に重心を移動させながら練習通りに登ると、さほどの疲労感もなくほぼコースタイムで頂上に着く。頂上のあたりがガスって、雑木林が幻想的に見える。頂上には灌木に被われて見晴らしはない。
昭和3年黒伏山は大きな山火事があった。頂上の灌木帯も大火に焼かれ、かなり広く草原化し、灌木も進入できない時期が五十以上続いた。今見られる頂上の風景は、山火事以前の佇まいを取り戻したようである。一匹の猿が山道の中央で、一行を睨みつけるような形相で道を塞いでいた。近づいても動こうとしない。Sさんが「ごめんなあ。道を通らせて!ごめん」とやさしく声をかけると、猿はふいと身をひるがえしてもりなかに消えた。本日の参加者11名。内男性3名。病が癒えて久しぶりに山を歩きに来た人、5日後に奥穂に挑む人、純粋に山を楽しむ人。山に来る人の動機はそれぞれだ。コロナでなかなか趣味の集いも遠ざかっている現状では、山で思い切って体力を使うことは楽しい。
頂上で昼食。狭い場所を占領し尽くすような形のなかに、ソロの男性が2人、違ったコースから登ってきた。本日行き会ったたった二人の人である。我々は登った道をそのまま下る。急な道は、下りでも登り以上に筋肉を使う。ロープにつかまり、灌木にすがり、転倒に注意を払って慎重に下る。坂の多い分岐まで所要1時間。その先は長く、悪路を交えた帰路である。3時30分無事に渡渉を終わって駐車場に着く。帰宅5時。
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