「一度、お詣りしとかなくちゃ~」と、ミモロがある日出かけたのは、西陣エリアにある浄土宗の「称念寺」です。
町中にある非公開のお寺で、本堂などへのお詣りはできません。
でも、ミモロが、行きたがったのは、ここが通称「猫寺」と呼ばれているからです。
このお寺の歴史によると…
江戸時代の初期に徳川家康の義兄弟である松平信吉公の帰依を受け創建されたお寺で、当時は、300石という大きな寺領もあり、とても栄えていたそう。ところが、信吉公が亡くなると、松平家との関係も次第に疎遠になり、寺領も減って、お寺自体が衰えていきました。
3代目の住職、還誉和尚の時代は、食べるものにも困るほどの有様に。でも和尚は、大のネコ好きで、1匹のネコをとてもかわいがり、自分が食べずとも、そのネコに与えていたほど。どんなに苦しくても、そのネコを手放さなかったのです。
「愛されたネコちゃんだね~。幸せだよね~。たくさん食べられなくても、自分をかわいがってくれる人のそばにいるの、ネコとして幸せなことだもの…」と、ミモロは、しんみり。
ある月夜の日、托鉢から寺に戻ると、寺には、とても美しいお姫様が、優美な姿で、舞踊っていました。その影をみると、なんと愛するネコの化身だとわかります。「自分がこんなに苦労しているのに、浮かれて踊るとは~」と立腹し、愛したネコを寺から追い出してしまいます。
「え~ひどい~。そのネコちゃん、苦労する和尚さんを慰めようとしたんだと思うよ~。それなのに~あんまりだ~追い出すなんて…。そのネコちゃんにとって、何がなんだかわかんない状況。いいと思って頑張ったのに~」と、報われないネコを思い、涙ぐむミモロです。「まぁ、和尚さんもギリギリの状態で、心に余裕がなかったのかも…」
ネコを追い出して数日後、和尚の夢枕に、そのネコが現れ、「お寺を訪れる武士を丁寧にもてなしてください。そうすればお寺は、また栄えますよ」と告げたそう。
「突然追い出されたのに、そのネコ、偉いね~。長くお世話してもらったことに感謝してるんだもの。できたネコだね~。よくある話は、一度、いじめられたら恨んで化けて出るのにね~」とミモロ。
翌日、訪れたのは松平家の侍。亡くなったお姫様の菩提を弔ってもらいに来たのです。それ以来、お寺と松平家の関係は修復され、以前のようにお寺は栄えたのだそう。
「これは、あのネコの恩返しに違いない」と思った和尚は、境内に松の木を植え、愛したネコを偲んだそう。これが、このお寺のに伝わる「猫の恩返し」というお話です。
「遅いよね~和尚さん、ネコのパワーに気づくの…。きっと追い出されたネコは、どこかで行倒れになったのかも…。かわいそう過ぎる…クスン。でも、一度、失われて、初めて、そのありがたさを知るっていうパターンだよね~。もし、和尚さんがネコが一生懸命慰めてくれてるってわかって、一緒に舞い踊ったら、また別のお話になったかも…」と、想像するミモロです。
境内に植えたと伝わる老松、通称「猫松」は、今も元気です。
長く横に枝を伸ばした松で、その姿は、まるでネコが横たわっているように見えます。
「今も、このお寺を守ってるのかもね~」とミモロ。
ネコによって、救われたお寺は、それから動物の霊位を手厚く供養する「動物供養の寺」として知られます。
供養されるのは、ネコ、犬、うさぎ、鳥などの小動物。納骨、またお墓も作れます。
住職が、毎日御経をあげ、動物たちの御霊を弔う観音堂。
中には、法要された動物たちの名前を書いた紙が並んでいました。
家族の一員の動物たち。亡くなったら、やはり手厚く葬りたいもの。
「いつかよろしくね~」とミモロ。でも、ミモロはここには葬ることはできないと思うけど…。
骨がなくても、法要回向はお願いできます。
さて、境内の奥に行くと、お守りが並んでいました。
「あ、ネコちゃんのイラストのお守り袋だ~」
守り袋のイラストは、ここ縁のネコをイメージし、合掌している姿です。
「
でも、ネコに限らず、家族の一員の動物の健康と長寿を祈願するお守りなんだって~」と、ミモロは熱心に見つめます。
自分のために欲しいの?「え?違うよ、金魚ちゃんのためにどうかなぁ~って思って…」とミモロ。
ミモロが大切にお世話している金魚の健康と長寿を思っているようです。
ミモロが金魚鉢に近づくと、餌をねだりに近づいてきて、口をパクパクさせる金魚です。
「かわいいよね~金魚ちゃん…」と、ネコが世話する不思議な関係。
「でも、猫守りでいいかなぁ~」と悩むミモロでした。
*「称念寺(猫寺)」京都市上京区寺之内通浄福寺西入上る西熊町 075-441-4519
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