ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

「第56回 京の冬の旅」。秀吉ゆかりの「鳴虎図」のある「報恩寺」。大学生のボランティアガイドの案内も

2022-01-29 | 寺社仏閣

京都の非公開文化財特別公開が楽しめる「京の冬の旅」。ミモロは、堀川通と今出川通の交差点の近くにある「報恩寺」を訪れました。


天台・浄土兼学の寺であった「報恩寺」は、室町時代に後柏原天皇の勅令により浄土宗のお寺に。かつて大きな伽藍を構えたものの、江戸時代に2度も大火に見舞われ、ほとんどの伽藍を焼失。でも、大切な寺宝は守り伝えられました。


ちなみに104代後柏原天皇は、父の御土御門天皇が崩御し37歳で即位が決まりますが、その時は、まだ応仁の乱の影響が大きく、公家などの多くは都を脱出。さらに資金難もあり、さまざまな援助の末、即位式ができたのは、22年後。57歳で、即位期間は6年ほどに。
でも、仏教を厚く信仰し、お寺の創建などで、荒れた民の心を癒そうとなさった方だとか。
そんな思いで、このお寺もできたのかもしれません。
「あんまり歴史に出てこない天皇さまだけど、すごく優しい方だったんだろうね~」と想像するミモロです。

お寺の内部は撮影できないので、お話だけ…。
見学ができる客殿の仏間には、鎌倉時代の仏師、快慶作と伝えられる本尊である阿弥陀如来三尊像が祀られています。
江戸時代の天明の大火で本堂は焼失。その後、再建されず客殿に安置されているのです。

さて、ここで注目は、中国伝来の「鳴虎図」。

「え?虎さんは、お水飲んでる姿で、吠えてないよ~」とその図を見たミモロ。
そう、この図には、こんな伝説が…。後柏原天皇からこのお寺に下賜された虎の絵で、この虎の姿に一目ぼれした秀吉は、聚楽第へと持ち帰ります。ところが、夜な夜な絵の虎が吠えて眠れない状態に…。そこで再びお寺に戻されることに。
「え~虎さんホームシックになっちゃったのかな?」とミモロ。以来、この寺でおとなしく過ごしています。そのお話にちなみ以来「「鳴虎図」と呼ばれ寺宝となっています。

また、このお寺は、江戸の元和9年(1623)に福岡藩主黒田長政が上洛したおり、ここに滞在。その滞在中に病気が悪化し、ここで亡くなります。
父親はあの黒田官兵衛で、幼いころ、信長への忠誠のため人質として、秀吉に預けられ成長します。その後、秀吉の家臣として武勇を轟かせる武将に。朝鮮出兵などに参加することに。秀吉の死後、石田三成などと対立し、関ヶ原では徳川方の功労者となり、福岡で52万石の大名になります。
「報恩寺」には、父と息子の位牌が並んで祀られて、ミモロもそっと手を合わせました。

客殿の前には、石庭が…


「静かでいいね~」とお庭を鑑賞するミモロです。


「あれ?なんで石の上にフクロウがいる~」

訪れる人の姿をじっと見つめるフクロウの置物でした。

「京の冬の旅」の各寺院には、見どころや歴史を解説してくれるボランティアガイドが常駐しています。いくつかの団体が分かれて担当
するのですが、ここは学生ボランティアガイドが案内します。

「すごく歴史お勉強してるんだ~」とミモロ。「はい、事前に自分たちでいろいろ調べたり、ご住職にお話しを伺ったりするんです」と。京都以外の地域から京都の大学にやって来たお二人。ミモロは、京都の学生さんたちの暮らしに興味を抱きいろいろ質問。
「あの~コロナになって大変だったんじゃない?」とミモロ。現在2回生の女子大生は「はい、入学式もありませんでした」と。4回生ですでに就職も決まっているという男子学生は、「僕は、かろうじて仲間といろんなことできたし、楽しかったですよ」と。

学生ボランティアの活動を通じ、他の大学との交流もできたと…。この日は3人の学生さんが担当していました。

京都に暮らす大学生にとって、京都は、ほかの地域では体験できないアルバイトやボランティア活動があるのです。それは京都の三大祭りなどのお手伝い。時代装束や揃いの半被などを着て参加します。でも、コロナ禍でそんな体験も一切できなくなりました。

大学生にとって、コロナ禍の暮らしは、貴重な経験を奪いました。本当に残念なことです。
大学生だけでなく、若い世代にとっての3年間は、とても大きなこと。コロナの影響は計り知れません。

「お庭も見学できますよ~」と言われ、ミモロは庭へ降りてみました。


お茶室のそばの手水を見たり…

庭を独り占め状態…。

さて、見学を終えたミモロは、その境内のそばを歩きます。


「あ、なんか御陵がある~」
一角に収まる御陵は、111代後西天皇(ごさいてんのう)の皇女、賀陽宮の御陵です。

「こんなとこにひっそりあるんだ~」とミモロ。

後西天皇は、108代の後水尾天皇の第8皇子で、在位期間は、9年。父親の影響から和歌や書などに優れ、禁裏御文庫の整備など、文化事業に尽力なさった天皇です。
「そのお嬢さんのお墓なんだ~どうしてここにあるのかな?」と思うミモロですが詳しいことはわかりません。


まだまだミモロの見学は続きます。

*「京の冬の旅」の詳しい情報はホームページで

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