ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

50年ぶりに復活した京都「岡崎神社」の剣鉾の巡行。ウサギのデザインの剣鉾の鈴が響く氏子町

2023-10-19 | 祭事・神事・風習

今年の干支、ウサギを神様のお遣いに祀る京都の「岡崎神社」。

境内の至る所に、ウサギの姿が見られます。

平安時代、都を守るために四方に祀られた大将軍社のひとつで、清和天皇皇后の藤原高子創建の「東光寺」の鎮守社がそのルーツと言われています。古くから、安産・厄除けの神様として朝廷から崇敬されたそう。
ご祭神は、素戔嗚尊、奇稲田姫命などです。
安産と言われるウサギ。そして昔、この辺りは、森で、たくさんのウサギがいたとも言われ、それで神社には、狛犬ではなく、狛ウサギが参拝者を迎えます。

10月16日は、「岡崎神社」の秋のお祭り。


祭り好きのミモロもさっそく出かけました。「そろそろ祭りの行列来るかな?」

「あ、来た~」神輿渡御を先導する剣鉾の姿が…

ミモロの前で、剣鉾が差し上げられました。

カ~ン、カ~ンと涼やかな鈴の音が、響き、周囲からは、拍手が…

そして、ミモロの前を剣鉾が過ぎてゆきます。


揃いの装束の剣鉾の差し手のみなさん。その背中には、ウサギが染められています。


実は、「岡崎神社」での剣鉾の差し上げは、なんと50年ぶり。
今回、いつも「粟田神社」の剣鉾などをご奉仕する、荒井さんの姿も…


剣鉾の差し手になるには、練習が必要。そのため人材不足で、剣鉾が祭りに登場することができない神社も多いのです。
「岡崎神社」では、剣鉾だけでなく、神輿も、ずっとお蔵の中で、祭りを見守っています。でも、今年は、剣鉾が復活。

神社には、今回のウサギの剣鉾以外にも、複数の剣鉾が…。本来は、それぞれの町で祀るものですが、今は神社に…


「あの~他の剣鉾も差し上げられるんですか?」とミモロは、荒井さんに尋ねます。
「う~金属の部分は、大丈夫なんですが、差し上げるための棹がないんです。それを修復しないと…」と荒井さん。

それぞれの剣鉾は、異なった意匠で作られており、それに合う棹が必要。
「このウサギの剣鉾の棹使えないんですか?」とミモロ。
「接続する部分のサイズが異なったりするんで、それは無理ですね~」と。

今回、復活したウサギの意匠の剣鉾の棹には、やはりウサギのデザインの錺金具が施されています。

昔の錺職人の技が光る部分です。

「ホント、昔の職人さんの技ってスゴイよね~。デザインもやって、それをさまざまな技法で作るんだから…」とミモロ。
そう、京都の神輿をはじめ、祭具は、まさに動く伝統工芸品。
その職人さんたちは、名を残すことなく、その技を後世に残すのです。

改めて剣鉾をじっくり拝見。

棹の部分と同じく、波とウサギのデザインです。

「なんでウサギと波が一緒にデザインされるの?ウサギと月はわかるけど…」とミモロ。
さらに「ウサギって、泳げるの?サーフィン好きなの?」とさらに想像力は膨らみます。

ウサギと波の組み合わせは、謡曲「竹生島」にちなむものとか…。
月夜の竹生島の景色を描写する一節に、あまりに美しい月夜で、まるで魚が木に登り、月に棲むウサギが湖面に映る月光の中を飛び跳ねているよう…という意味の部分があるのだそう。

その情景を描いたのが、「波濤兎」という模様に。
ウサギが、元気よく波を蹴るように跳ねる姿に、勢いを感じ、おめでたい文様になったとも…。諸説あるはず…

「昔の人って、想像力豊かだね~」とミモロ。
確かに、以前、琵琶湖で湖面に映る月明りを見た時、なにか月から降りてきそうな気がしたもの…。

「ミモロ、因幡の白兎かと思ってた~あれも、サメの背中をウサギがジャンプして渡るお話でしょ!」と。
でも、それだと後で、ウサギは、皮を剥がれちゃう…あんまりおめでたくないかも…。
「まぁね~。月から降りたウサギの方が、ロマンチックな感じだよね~」と納得したミモロです。

「そろそろお神輿到着するかも~」とミモロは、神社の前へ


*「岡崎神社」の詳しい情報はホームページで


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