ひな祭りだが、カミさんがインフルエンザなので、今日はらしいことはしない。ちらし寿司でも買って来て、日本酒でいっぱいと思っていたが無理なようだ。冷蔵庫の冷凍室にスペアリブが入っていたので、スペアリブのマーマレード煮を作ることにした。「ダッチオープンで作るのが一番簡単」とカミさんが言うので、作ってみたが果たしてうまくいったのか、ちょっと心配だ。
カミさんは学生の時、有名な料理教室で勉強したせいなのか、何でもレシピ通りだ。真面目な学生なので、教科書以外のもの、特にカンのようなものは信用できないのだ。私はカミさんの叔父が日本料理の店を開いていて、その店を手伝っているうちに魚のさばき方など見よう見真似で覚えた。レシピもなければ計量カップもない。長年の経験で味付けをしていた。
「料理は適当でいいのじゃーないの」と言うけれど、カミさんには通じない。食べもの屋ではどこでもそうだろうけれど、作りながら使った器具を片付けていく。料理場が器具でゴチャゴチャしているのはみっともないし、作業効率が悪いからだ。鍋も内側だけきれいにしても、外側の底が汚れていると、「火の回りが違ってくる」と注意された。
叔父が一番気にしていたのは、まな板を清潔に保つことだった。まな板の上に、余分なもの、鍋だったり、調理しない野菜や魚や肉などを置いたりすると雷が落ちた。日本料理は生で出すものが多いから、まな板は命というのである。手際がよいことも料理にとっては大事なことで、だから作りながら片付けもしていく。盛り付けも色や形を考え、立体的に見て美しいことにこだわっていた。
さて、スペアリブのマーマレード煮が仕上がるころだ。どんな風に出来ているか楽しみだ。今日の料理にはワインがいいだろう。