昭和19年4月から20年3月までの同学年の集い『シクラメンの会』の写真と決算報告書が出来たので、車が使える午前中に配ってきた。参加者全員に郵送するとかなりの費用が要る。それで前の幹事さんも手配りしていたので、今年は私が配ろうと思い立った。私はこの街で10年間、地域新聞を発行してきた。住所を見ればおおよそ分かる。そのくらい地域に精通しているつもりだったが、新聞づくりから離れて20年も経ち、ずいぶん様相が変わっていた。
皆、72歳か71歳の高齢者なのに、家を訪ねても在宅の人は少ない。それだけ元気な人が多いということだろう。世界的にも先進国は、人口は減少するが寿命は延びているそうだ。このままでは80歳まで働かないと、現状の生活は維持できないと学者が警告していた。戦前の生まれの人たちは粗食で育ったから長生きできるが、戦後の人間は加工食品で育っているから早死にすると予想されていたのに、医学の進歩や環境の改善で長寿になるそうだ。
生産力は上がっているのだから、みんなが食べていけるはずだ。一生懸命働いた人が大きな富を得るのはよい。けれど、富が集中しなければ、みんながそこそこに生きていける。北欧のように高い税率をかけて税金を集め、誰でも一律に国から現金が支給されるようにすればいいと思うが、そんなことをしたら金持ちは国外に出てしまうので、世界的な規模で行わないと実現は難しい。
20代の若者が、「出来たら生活保護を受けて暮らしたい」と言う。本音でそう思っているとしたら、世界に未来はないだろう。先日も名古屋で40代の男が老夫婦を殺害する事件があった。男は生活保護を受けていたがその金をパチンコで無くしてしまい、金目当てで殺したようだ。どういう事情で生活保護を受けることになったのか知らないが、働けるのに働かなくても金が入ると、人はこれをウマイと思うのだろうか。
午後からは風が強く、時々雪を運んでくるのか、窓ガラスに雪が叩きつけられてくる。街角の白梅も紅梅も満開だったのに、この寒さでは可哀想だ。誰もが等しく寒さ暑さを防ぐことが出来る社会にはならないのだろうか。