台風13号が房総半島から北へと向かっている。この地方の風は幾分和らいだが、猛暑は相変わらず続いている。仙台に住む次女たちは暴風雨の圏内だろうか。何事も無ければと祈るばかりだ。私が中学3年の9月、伊勢湾台風に襲われ、名古屋市は莫大な被害が出た。名古屋とわずかしか離れていない我が家は、風と雨の激しさは覚えているが、大したことはなかった。
翌日、学校へ行くと、体育館の屋根が吹き飛んでいたし、校舎は窓ガラスが割れていたり、各教室に被害が出ていた。校舎の後片付けと掃除の日が何日か続いた。名古屋の姉の家は高潮が押し寄せて床下浸水だったが、目の前の市電が走る道路は一面、水と流されてきた物に覆われていたと聞いた。
時の流れは速い。この暑さのせいではないだろうが、知り合いの何人かが亡くなった。葬儀で、夫婦の最後の様子を聞くと、当たり前だがそれぞれ違う。もう少し傍にいて、自分が気を付けていたなら、まだ逝くことはなかったと悔やむ妻。衰えていく妻を毎日病室に見舞い、手足をさすり、孫の話を聞かせ、亡くなってしまうと、気が抜けたように呆然としている夫。
自宅治療の夫は動くことも出来ないから、何から何まで妻の世話無くしては生きていられない。それでも九州男児らしく、「おい」とか「あれ」と妻に言いつけ、妻の世話の仕方に文句をつける。自分勝手で口うるさい夫なのに、いじめ返すこともなく、むしろ「私をこんなにも必要としている」と夫を愛おしく感じている妻。最後になって、傍から見ると相変わらずに見えるのに、不思議に満たされた表情だった。
今日は名鉄百貨店で行われている『終活フェア』で、下重暁子さんの講演を聞きに行く。何しろ「ポイントがたまっているから、この後、それで食事をしよう」というカミさんの提案もある。