台風20号は四国から中国地方を横断し日本海に抜けたが、昨夜はガラス窓が割れるのではないかと思う程の猛烈な風だった。今朝になっても風は相変わらず強く、べっとりとした湿度を伴っていた。明日は地域の最後の夏祭りだが、果たして実行できるのだろうか。
どんな時でも決してブレない。単純と言ってしまっては失礼になるが、ある意味では羨ましい。山口県周防大島町で、行方不明になってしまった2歳の男の子を探し出した尾畠春夫さんは、実にスカッとしている。78歳とは思えない茶目なところがあって、人柄が可愛くていい。
井戸掘り仲間に同じ歳の人がいる。彼は尾畠さんを高く評価し、「私と同じ考えだ」と称賛する。「終わったことにくよくよしない。過去は忘れて、前しか見ない。そこが一番いい」と自画自賛する。「尾畠さんは、東日本大震災の仮設住宅が全て無くなるまで、酒は飲まないんだって」と先輩にとって耳の痛いことを伝えると、「その決意は凄いが、私は飲む」と言う。
前向きに生きている人は素晴らしいと思う。でも時々、後ろを振り返って過去を検証するクセも必要ではないだろうか。「そんなことをしていたら、いじけてしまって前に進めない」と叱られそうだが、毎日ではなくても、時にはそんな機会がないと、我武者羅に前進するばかりの社会になってしまいそうだ。
市の国際交流協会の人が、アメリカで暮らす孫がスクスクと育っている様子を書いていた。私の知っているアメリカ人もとても良い人で、全ての人に寛容だ。金足農のナインに熱狂的な応援を送り、被災地の人々に心痛めて、個々人はみんないい人なのに、ある時突然、どうして「ヒトラー・ユーゲント」の少年少女のようになってしまうのだろう。
賢く生きて来たはずの大人たちも、生き残るために豹変する。豹変していることに気付かないのか、気付かないふりをして。「人助け」が生きがいの尾畠さんなら、決してそんな豹変は無いだろう。