友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

「酒の種類と量を制限している」

2018年08月11日 17時15分33秒 | Weblog

  「お暑い中 お越し下さり、誠にありがとうございます。ポカリスエットで熱中症対策していただきながら まずは私の歌をアカペラで1曲、いや2曲くらい聞いていただきましょう」。喪主である息子さんの「お礼の言葉」の書き出しである。亡くなられたお父さんは大塚製薬に勤められていた。歌が好きで自宅にホールまで造ってしまい、私も歌を聞かせてもらった。

 なかなか豪快な人だったが、私は亡くなった父親より母親の方が親しかった。彼女は読書クラブにいたので、本を通して話をする機会があり、親しく声をかけてもらった。喫茶店で一緒した時、どうしてそうなったのか分からないが、彼女から新婚旅行でヨーロッパを回った話を聞いた。ダンナは私よりも年下で大企業に勤めていたからヨーロッパだったのか、そんな印象だったが、ふたりは音楽で結ばれたから、彼女は自慢することもなくヨーロッパの街並みを淡々と話してくれた。

 その彼女の方が先に亡くなり、3回忌の当日にダンナは倒れ、そのまま帰らぬ人となったと言う。息子さんの最後のご挨拶も両親のエピソードで、こんな風に故人を語ってくれるのもいいなあーと思った。先日の葬儀でも、孫が亡くなった祖母に語りかけていたが、故人の別の一面を知ることが出来た。お別れをするということは、恭しく儀式を行なうことではなく、参列者が故人を偲ぶことにあると思った。

 その参列者4人で帰りに喫茶店に寄り、故人を偲ぶというより極めて現実的な「おしゃべり」に終始した。私を除く人は痛風持ちで、「お酒の種類と量を制限している」と言う。「そうなの。じゃー量はそのくらい?」と聞くと、「ビールなら500と350の2本」と言う。「えっ、それで制限なの」と大笑いした。「元気に、こんな話が出来ることが大事で、制限は安心の空証文」とまた笑う。みんな70代、それでも元気に地域のために活動している。

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