疲れた。クタクタになってしまった。今日は朝から井戸掘りだった。埋め立てた土地であることはわかっていたけれど、こんなにも大変なことになるとは思わなかった。井戸を掘り始めてみると山土だった。なるほどよくあることであるし、建材などの廃棄物で埋め立てられていないだけでも真面目な業者なのだろうと推測された。ところがその山土には、岩石が多く含まれていた。山を削った土をダンプカーで運び、埋め立てたのだろう。掘っても掘っても、大きな岩石がゴロゴロと出てくる。
午前中から作業を始めたのに、大きな石があってなかなか掘り進めることができない。スコップでは岩石に撥ね返されてダメだ。バール、それも太い鉄管を使った大きなバールを人力で地中に打ち込み、砕いた石をつまみ出していく。バールを地中に打ち込む作業は実に骨が折れる。私のように両手に欠陥のあるものにはしんどい作業だ。みんなの協力もあって、何とか掘り進めたところで、作業中の不注意からこぶし大の石を穴に落してしまった。万事休すである。私たちのような掘り方では大きな石があっては掘り進めない。それでもとやってみたけれど、ムダであった。
午前中に掘り終わるつもりでいたけれど、午後からもう1本掘ることにした。2本目は順調にいった。4時半ごろ、何とか無事に水をくみ出すことができた。汲み上げた水を使って、道具や庭の掃除をし、本日の作業を終わる。5時半を過ぎていた。それから私たちは明日の作業のための材料を購入に出かけた。今日の全ての仕事を終了できたのは午後7時を回っていた。こんな日も初めてである。地中に大きな石が埋まっていて、これを取り除くことに相当な時間を要したことは事実であるが、まだ要領よく作業ができていかないことにも原因はある。
けれども考えてみれば、私たちは作業そのものを楽しんでやっている。だから、作業を始める午前中は特に馬鹿話に花が咲いている。なかなか機知に富んだやり取りもあり、聞いていても面白い。それが、失敗が重なったり、予定していたように作業が進まなくなると、だんだんと無口になる。無口なうちはいいけれど、そのうちにイライラした様子が目に見えるほどになる。こうなると、作業はさらにうまくいかなくなる。「ヨシャ、ここで休憩や」と気分転換を図る。再び馬鹿話が出てくるようなら軌道修正ができたことになる。
「亭主元気で留守がいいなんて言うのは、金を稼いでいる時のことで、年金生活の今は、ズーと留守ならもっといいと言われている」と、情けないことを言う。「ゴミなら出せば帰ってこないけれど、亭主は戻って来るからゴミより始末が悪い」とか、「掃いても動かぬ濡れ落ち葉じゃーどうしようもない」などと、自嘲気味に自らを冷やかしている。こんなに必死に働いているのに、男たちは情けなくなった自分の存在に気付いているようでもある。
午前中から作業を始めたのに、大きな石があってなかなか掘り進めることができない。スコップでは岩石に撥ね返されてダメだ。バール、それも太い鉄管を使った大きなバールを人力で地中に打ち込み、砕いた石をつまみ出していく。バールを地中に打ち込む作業は実に骨が折れる。私のように両手に欠陥のあるものにはしんどい作業だ。みんなの協力もあって、何とか掘り進めたところで、作業中の不注意からこぶし大の石を穴に落してしまった。万事休すである。私たちのような掘り方では大きな石があっては掘り進めない。それでもとやってみたけれど、ムダであった。
午前中に掘り終わるつもりでいたけれど、午後からもう1本掘ることにした。2本目は順調にいった。4時半ごろ、何とか無事に水をくみ出すことができた。汲み上げた水を使って、道具や庭の掃除をし、本日の作業を終わる。5時半を過ぎていた。それから私たちは明日の作業のための材料を購入に出かけた。今日の全ての仕事を終了できたのは午後7時を回っていた。こんな日も初めてである。地中に大きな石が埋まっていて、これを取り除くことに相当な時間を要したことは事実であるが、まだ要領よく作業ができていかないことにも原因はある。
けれども考えてみれば、私たちは作業そのものを楽しんでやっている。だから、作業を始める午前中は特に馬鹿話に花が咲いている。なかなか機知に富んだやり取りもあり、聞いていても面白い。それが、失敗が重なったり、予定していたように作業が進まなくなると、だんだんと無口になる。無口なうちはいいけれど、そのうちにイライラした様子が目に見えるほどになる。こうなると、作業はさらにうまくいかなくなる。「ヨシャ、ここで休憩や」と気分転換を図る。再び馬鹿話が出てくるようなら軌道修正ができたことになる。
「亭主元気で留守がいいなんて言うのは、金を稼いでいる時のことで、年金生活の今は、ズーと留守ならもっといいと言われている」と、情けないことを言う。「ゴミなら出せば帰ってこないけれど、亭主は戻って来るからゴミより始末が悪い」とか、「掃いても動かぬ濡れ落ち葉じゃーどうしようもない」などと、自嘲気味に自らを冷やかしている。こんなに必死に働いているのに、男たちは情けなくなった自分の存在に気付いているようでもある。