三日前、ANAの香港行きチャーター便で、中型旅客機B787(ドリームライナー)が世界で初めて営業運航しました。エンジンはロールスロイス製ながら、日本企業が機体部品の35%を手掛け(B777では20%、B767では15%、なお35%という数字はボーイング社自身の負担割合に等しい)、ANAがローンチ・カスタマーとして深く関わってエアライン側のニーズを多く反映したこともあって、準国産機と呼ばれています。ニュースや新聞で見た方も多いと思いますので、繰り返しになりますが、その「凄さ」を私なりに再確認したいと思います。
ポイントは、東レの炭素繊維複合材が多用されていることで、重量ベースで機体の50%を構成します。先ずはその軽くて強い素材が、主翼の設計(三菱重工)変更と相俟って、燃費を20%向上して航続距離を伸ばし、これまでLCCに見られるように中型機は中・短距離主体という常識を覆し、NY便などのアメリカ東海岸路線や欧州路線の直行便など長距離運行を可能にしました(航続距離が延びただけで、全ての長距離路線をカバーできるわけではない)。そして、これまでの主力素材だったアルミなどに比べて軽量で強度が高いために可能になった設計上の余裕を、機内の気圧や湿度を快適にするなどの居住性を上げることに活かしているのが最大の特徴です。例えば、目・・・その強度により、これまでより天井を20cm高くして閉塞感を和らげ、客室窓を広く取って(高さ39cm→47cm)視界も広くなりました。耳・・・客室内の気圧は高度6000フィート(ANAによれば富士山の三合目、しかし実際には五合目くらい?)に保つことができ(在来機では高度8000フィート、ANAによれば富士山の五合目、しかし実際には六合目強くらい?)、酒にも酔いにくいし、耳鳴りも緩和されたようです。またエンジン音が伝わりにくい設計で客室内は以前よりも静かになりました。肌・・・これまで金属疲労や腐食を防ぐために機内の湿度は下げざるを得ませんでしたが(0~5%)、B787では気にすることなく湿度を25%まで上げて、肌のカサカサ感も少なくなったと好評のようです。そのほか、ここまでやるのかという工夫が随所に見られます。TOTOの洗浄機能付き便座ウォシュレットが標準装備されているほか、窓がついたバリアフリー仕様のトイレも機内に一ヶ所ですが装備され、窓の日除けは、透明度を電動で5段階に調整できるエレクトロクロミズムを使った電子カーテンに代わり、室内照明は、レインボーカラーを含めて14種類のLED光を客室乗務員が調整できるそうです。
ご覧の通り、準国産機と呼ばれる所以は、日本企業のかかわりが、単に量ではなく質としての工夫にあらわれていることで、エコであることと、居住空間としての快適さにあります。トヨタやホンダや日産が自動車業界で仕掛けてきたことと似た変化が航空業界でもようやく起こりつつあるのを見るような既視感(デジャヴ)があります。これまで飛行機と言えば、安全性第一であることは別格として、機能性が重視されてきました。一度になるべく多くの人をなるべく早く目的地に送り届ける。狭い機内に閉じ込められて、まるでブロイラーのように、時間が来ると飯を食わされ、用がなくなると灯りを消して寝かしつけられるだけの、アメリカ的な効率を追求した、およそ人間性には程遠い設計でした。所詮は移動時間なのだから、座席は狭くても仕方ない、窮屈に本を読むか寝るしかない、飯は不味くても仕方ない(機体の問題ではなく、航空会社の方針ですが)と、誰もが諦めてきましたが、B787を見ると、さすがにこんなトイレが必要なのかと、馴染みがないアメリカ人からは反発が多かったようですが、日本人が設計するとこうなるという、きめ細かな心配りが感じられ、飛行機だから・・・と思考停止していたのを、飛行機でも・・・と発想転換する、ごく当たり前の感動が湧いてきました。これが世界標準になるかというと、そういうわけでもないでしょうが、一定の支持を集める世界として厳然としてある、これがニッポン(日本という漢字よりもカタカナ表記したくなる)の面目でしょう。
ポイントは、東レの炭素繊維複合材が多用されていることで、重量ベースで機体の50%を構成します。先ずはその軽くて強い素材が、主翼の設計(三菱重工)変更と相俟って、燃費を20%向上して航続距離を伸ばし、これまでLCCに見られるように中型機は中・短距離主体という常識を覆し、NY便などのアメリカ東海岸路線や欧州路線の直行便など長距離運行を可能にしました(航続距離が延びただけで、全ての長距離路線をカバーできるわけではない)。そして、これまでの主力素材だったアルミなどに比べて軽量で強度が高いために可能になった設計上の余裕を、機内の気圧や湿度を快適にするなどの居住性を上げることに活かしているのが最大の特徴です。例えば、目・・・その強度により、これまでより天井を20cm高くして閉塞感を和らげ、客室窓を広く取って(高さ39cm→47cm)視界も広くなりました。耳・・・客室内の気圧は高度6000フィート(ANAによれば富士山の三合目、しかし実際には五合目くらい?)に保つことができ(在来機では高度8000フィート、ANAによれば富士山の五合目、しかし実際には六合目強くらい?)、酒にも酔いにくいし、耳鳴りも緩和されたようです。またエンジン音が伝わりにくい設計で客室内は以前よりも静かになりました。肌・・・これまで金属疲労や腐食を防ぐために機内の湿度は下げざるを得ませんでしたが(0~5%)、B787では気にすることなく湿度を25%まで上げて、肌のカサカサ感も少なくなったと好評のようです。そのほか、ここまでやるのかという工夫が随所に見られます。TOTOの洗浄機能付き便座ウォシュレットが標準装備されているほか、窓がついたバリアフリー仕様のトイレも機内に一ヶ所ですが装備され、窓の日除けは、透明度を電動で5段階に調整できるエレクトロクロミズムを使った電子カーテンに代わり、室内照明は、レインボーカラーを含めて14種類のLED光を客室乗務員が調整できるそうです。
ご覧の通り、準国産機と呼ばれる所以は、日本企業のかかわりが、単に量ではなく質としての工夫にあらわれていることで、エコであることと、居住空間としての快適さにあります。トヨタやホンダや日産が自動車業界で仕掛けてきたことと似た変化が航空業界でもようやく起こりつつあるのを見るような既視感(デジャヴ)があります。これまで飛行機と言えば、安全性第一であることは別格として、機能性が重視されてきました。一度になるべく多くの人をなるべく早く目的地に送り届ける。狭い機内に閉じ込められて、まるでブロイラーのように、時間が来ると飯を食わされ、用がなくなると灯りを消して寝かしつけられるだけの、アメリカ的な効率を追求した、およそ人間性には程遠い設計でした。所詮は移動時間なのだから、座席は狭くても仕方ない、窮屈に本を読むか寝るしかない、飯は不味くても仕方ない(機体の問題ではなく、航空会社の方針ですが)と、誰もが諦めてきましたが、B787を見ると、さすがにこんなトイレが必要なのかと、馴染みがないアメリカ人からは反発が多かったようですが、日本人が設計するとこうなるという、きめ細かな心配りが感じられ、飛行機だから・・・と思考停止していたのを、飛行機でも・・・と発想転換する、ごく当たり前の感動が湧いてきました。これが世界標準になるかというと、そういうわけでもないでしょうが、一定の支持を集める世界として厳然としてある、これがニッポン(日本という漢字よりもカタカナ表記したくなる)の面目でしょう。
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