入社した頃も、今も、スーツやブレザーはBrooks BrothersやJ.PRESSなどのアメリカン・トラッドと決めている。いい歳こいて・・・とも思うが、独身寮にいた頃、ある知人と、おっさんになってもボタンダウンを着たいもんやなあ、などと夢(?)を語り合ったもので、今もワイシャツはボタンダウンである(惰性と言ったほうが良いかも)。そのBrooks Brothersが経営破綻したと聞いて、驚いた。創業1818年の老舗で、200周年を迎えたばかり。古くはリンカーンやJ.F.ケネディなど歴代大統領に愛されたブランドであることは、独身寮時代に雑誌を貪り読んで知った。その後、アメリカ駐在中、初めてニューヨークに立ち寄ったとき、本店を訪れただけで何も買わなかったが、ひとしきり感動した(買い物はアウトレットで、という不届き者 笑)。報道には、新型コロナウイルス感染拡大による店舗の休業が響いた、とある。
また、アメリカ駐在中に時々利用した百貨店ニーマン・マーカスやJCペニーも、新型コロナウイルス関連で経営破綻した(それぞれ5月7日と5月15日)。ニーマン・マーカスは創業1907年、JCペニーは創業1902年の老舗である。
更に、20数年前、駐在前にアメリカに入り浸っていた頃、レンタカーはいつもハーツを利用していたのだが、そのハーツも、つい先ごろ(と、ググってみると5月22日)、経営破綻した。創業1918年、レンタカー業界の老舗である。報道によると、これも新型コロナウイルス感染拡大による旅客需要の減少が経営悪化に追い打ちをかけた、とある。
いずれも所謂チャプター11、すなわち連邦破産法11条の適用を申請したもので、日本で言うところの民事再生に相当するのだが、こうした老舗企業だけではなく、2000年代にエネルギー界のグーグルと目され、米国のシェール革命を主導したチェサピーク・エナジーも、先月末に経営破綻した。新型コロナウイルスの深刻さが分かるが、歴史の歯車を狂わせたのではなく、歴史の回転を速めてしまったと言うべきなのだろう。小売業はネット通販の台頭で(スーツやブレザーは、それ以前から、ビジネスにカジュアルが広まり、今や在宅勤務で、着る機会はめっきり減った)、レンタカー業界はウーバー・テクノロジーズなどのライドシェア勢に押されて、もともと業績が低迷していると言われていたし、チェサピークは、リース契約を結んだ米国の土地所有者が100万人に達したと言われるが、詰まるところ資産規模は大きくても質が悪く、低エネルギー価格の時代に適応できなかったと解説される。
ついでに日本も、もとより無縁ではない。銀座で店をたたむところが出て来て、空き店舗を中国人が買い占めていると聞くと、複雑な気持ちになる。かつて日本がバブル経済の絶頂にあった1989年、ソニーがコロンビア・ピクチャーズを(1987年のCBSレコードに続き)買収し、三菱地所がNYのロックフェラー・センターを買収したとき、ジャパン・マネーは「アメリカの魂を買う」のかと猛烈な反発を受け、ジャパン・バッシングの火に油を注いだものだった(その後、ロックフェラー・センターの運営会社は経営破綻したが)。当時、日本経済ともどもユーフォリアに浮かれていた私は、ビジネスウィークだったかの表紙にセンセーショナルに書き立てられたそのフレーズを不条理に感じたものだが、この年齢になると、新陳代謝は世の習いとは言え、見慣れた景色が変わることには一抹の寂しさがあり、当時のアメリカ人の腹立たしさや悔しさにも思いを致すのである。まあ、年寄りの感傷に過ぎないのだが。
また、アメリカ駐在中に時々利用した百貨店ニーマン・マーカスやJCペニーも、新型コロナウイルス関連で経営破綻した(それぞれ5月7日と5月15日)。ニーマン・マーカスは創業1907年、JCペニーは創業1902年の老舗である。
更に、20数年前、駐在前にアメリカに入り浸っていた頃、レンタカーはいつもハーツを利用していたのだが、そのハーツも、つい先ごろ(と、ググってみると5月22日)、経営破綻した。創業1918年、レンタカー業界の老舗である。報道によると、これも新型コロナウイルス感染拡大による旅客需要の減少が経営悪化に追い打ちをかけた、とある。
いずれも所謂チャプター11、すなわち連邦破産法11条の適用を申請したもので、日本で言うところの民事再生に相当するのだが、こうした老舗企業だけではなく、2000年代にエネルギー界のグーグルと目され、米国のシェール革命を主導したチェサピーク・エナジーも、先月末に経営破綻した。新型コロナウイルスの深刻さが分かるが、歴史の歯車を狂わせたのではなく、歴史の回転を速めてしまったと言うべきなのだろう。小売業はネット通販の台頭で(スーツやブレザーは、それ以前から、ビジネスにカジュアルが広まり、今や在宅勤務で、着る機会はめっきり減った)、レンタカー業界はウーバー・テクノロジーズなどのライドシェア勢に押されて、もともと業績が低迷していると言われていたし、チェサピークは、リース契約を結んだ米国の土地所有者が100万人に達したと言われるが、詰まるところ資産規模は大きくても質が悪く、低エネルギー価格の時代に適応できなかったと解説される。
ついでに日本も、もとより無縁ではない。銀座で店をたたむところが出て来て、空き店舗を中国人が買い占めていると聞くと、複雑な気持ちになる。かつて日本がバブル経済の絶頂にあった1989年、ソニーがコロンビア・ピクチャーズを(1987年のCBSレコードに続き)買収し、三菱地所がNYのロックフェラー・センターを買収したとき、ジャパン・マネーは「アメリカの魂を買う」のかと猛烈な反発を受け、ジャパン・バッシングの火に油を注いだものだった(その後、ロックフェラー・センターの運営会社は経営破綻したが)。当時、日本経済ともどもユーフォリアに浮かれていた私は、ビジネスウィークだったかの表紙にセンセーショナルに書き立てられたそのフレーズを不条理に感じたものだが、この年齢になると、新陳代謝は世の習いとは言え、見慣れた景色が変わることには一抹の寂しさがあり、当時のアメリカ人の腹立たしさや悔しさにも思いを致すのである。まあ、年寄りの感傷に過ぎないのだが。
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