かーちゃんはつらいよ

施設入所した18歳そうちゃん(自閉症、最重度知的障害、強度行動障害、てんかん)のかーちゃんが書く雑記。

映画「ちづる」

2012年01月27日 19時32分11秒 | みゆみゆとの生活
今日の午前中、名駅のシネマスコーレで、映画を観てきました。
「ちづる」というドキュメンタリーです。

まず、映画館に行くというのが、何か月ぶり?いや何年ぶり?
そして、シネマスコーレ
懐かしすぎる、小さい映画館。
独身時代、映画が大好きで、よく通いました。
ハリウッド映画も観たけど、好みは仏映画をはじめとするヨーロッパ映画や、ベトナム・中国・インドなどのアジア映画。
ほとんどは忘却の彼方、というのが悲しいですが
ともかく、インディーズ中心のマイナー映画館に足を運ぶのは、青春を思い出させてくれます

今日はめちゃめちゃ寒かったので、ミニ湯たんぽと熱々のお茶を持参。
小さな小窓からチケットを買って、人が一人しか通れない狭い入り口を入ると、もうそこが客席。
飲み物の自動販売機とか、ポップコーンとか、そんなものを置くような場所は一切ない、映画そのものを楽しむ空間です。
水筒のお茶を飲んでいると、
「上映中の飲食は・・・他のお客様のご迷惑にならないようにお気を付け下さい。」とアナウンス。
おー、そういえば、昔、おにぎり持参して来てたわ。。

前置きが長くなりました。
大好きなんです、映画館が。忘れてたけど。

この、「ちづる」という映画。
自閉症(知的障害あり)の妹(20歳)を持つ大学生が、監督してます。
立教大学の卒業制作として作られた、家族のドキュメンタリーです。
マスコミなどで取り上げられ、注目されているようです。
私は、自閉症協会からの案内で知りました。

妹に興味がなく、自閉症と知的障害の違いも知らなかった、という監督が、
映画撮影を通して家族との絆を深める物語。
・・・文字にすると単純に感じてしまいますが。
瑞々しい感性で撮った、自然体のちづるちゃんの透明感のある目が、我が家のそうちゃんと重なって見えて。

小銭を握りしめて、ジュースを買いに行き、わかってるのに2つ買って、お母さんに「ひとつだけでしょ、約束破ったらだめだよ。」と叱られてたり。
嬉しいことがあると、ケタケタと笑い続けたり。
とっても表情豊かなちづるちゃん。

ちづるちゃんを通して、家族の交流と成長がカメラに収められていく。
全部観て思ったのは、これは母の物語だな、ということ。
もちろん同時に、監督本人の成長物語でもあるんだけど。
どうしても、私が母だからかな。母目線で見てしまいました。
苦悩の中で、現実を受け入れつつ、それを楽しむこともしながら、子育てをし、人生の選択をしていく母。
映画の中で、母は強く、ほがらかで、ゆるぎなかった。
きっとそれは、息子から見た母。

その強さ、ほがらかさに行きつくまでのこれまでの道のりを思い、映し出されるちづるちゃんの笑顔を見ていたら、少し目がうるみました。
そして、うちの子どもたちに、会いたくなりました

シネマスコーレで2月5日まで、上映されています。
お時間とご興味のある方、観に行ってくださいね。

今回の映画鑑賞、特筆すべきは。
客席に、自閉症当事者と思われる成人の方がグループで数名来られていました。
始まる前から、「おなかすいた」を連呼したり、目に入るもの全て実況中継してくれたり
それでも映画が始まると、きちんと映画鑑賞を楽しんでいた様子。
面白かったのは、ちづるちゃんがプチパニックになっていたりお母さんがちづるちゃんを叱っている場面になると、急にみんながエキサイティングしたこと。
「あっダメ!そんなことしたら!」「危ないって!それは。やめてやめて!」とか。
素直な心で、画面の中を感じてるんだなーと。
ほんとは、映画館や劇場での雑音は気になるものですが、今日は映画の内容もあって、その外野の声そのものも含め、映画だなーと。
みんなで一緒に同じ場面を観て、感嘆したり涙したり、空気を共有すること。
これが、映画館の醍醐味だなーなんて、嬉しく思いながら。
心の栄養、しっかり蓄えました