前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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2011年12月福井県議会予算特別委員会。原子力行政、福井県立大学、若狭地域の高校統廃合問題

2012年02月23日 | Weblog
2011年12月福井県議会予算特別委員会での質疑です。


「原子力行政について」        佐藤 正雄 委員


◯佐藤委員  日本共産党の佐藤である。
 まず、原子力問題を質問する。知事は読売新聞のインタビューに答えて、「原発の安全性を最高水準にするといいながら、安全対策を進めず、福島のような爆発事故が起こりかねないということを前提に、区域を国民に提示するということはおかしい」と述べている。新たな基準で点検されれば、原子力防災対策を拡大しないということもあり得るのだという考えなのか。


◯知  事  福島事故を教訓にすると、原子力防災対策の範囲、いわゆるEPZの見直しについては必要性を認識しており、県としては事故発生当初から国に要請しているところである。しかし、国の原子力安全委員会は、福島事故における住民避難の実態を十分に把握しているのかどうか、いまだ十分な公表をしていない。立地地域によって地理的条件等も異なるにもかかわらず、地元の意見も十分聞くに至っていない状況にある。
 原発の新たな安全基準の方向性を示して、安全対策をしっかり立てずに、同心円の距離だけを先に示して、また具体的な防災対策については他の省庁に任せているなど、縦割りの検討が進んでおり、まだ福島の教訓を本当に生かしていない状況にある。このままでは地方だけで実効性のある原子力防災計画の策定は難しく、国は防災計画の範囲の科学的、合理的な根拠を明確にしながら、避難計画の策定、広域調整に主体的な役割を果たす必要があるという考えを持っている。


◯佐藤委員  福島事故について、住民避難の実態がまだ詳細に明らかになっていないという面もあると思うが、実際に放射能汚染がどの程度まで広がっているかというと、相当広範囲に広がっているということが明らかになっている。安全対策をいろいろ打つ前に事故が起こる可能性も否定できない。だから、7基の原発がある新潟県は、県内全域を原子力防災の範囲にするという案を、たたき台というか、案を先般示した。
 新潟県の倍の14基もある福井県として、私は前から福井県全域をそういう防災対策の範囲として考える、それは逃げるとかそういうことだけにとどまらず、ヨウ素剤を配備しておくとかいろいろな意味で、そういう範囲にすべきだということを提案している。


◯知  事  防災計画についてはいろいろなレベルがあって、具体的な避難、そして避難行動にも段階がある。また、情報をどこまで提供するか、それはどんな情報のレベルになるか、それから今言われたヨウ素剤とか、医療関係などさまざまなことがあるので、現在の計画を充実しながら、今回の福島の事故を教訓にどこまで具体化できるか、そういうことを着実に進めていきたいと思う。なお、その前提として、現在の原発の安全について、どこが問題であったか、暫定的な状況についてもぜひ明らかにすべきだということを言っている。そういう状況である。


◯佐藤委員  例えば、滋賀県などは県独自に原発事故による放射能汚染のシミュレーションを行った。福井県の場合、滋賀県と違ってSPEEDIがあるし、そこと契約しているわけだから、そのシステムを活用して、もちろん今のシステムではだめで、広げてもらわないといけないが、シミュレーションはできるわけである。
 だから、現実に、もしどこどこの原発でこういう事故が起こればどうなる、こちらの原発で事故が起こればこうなるという具体的なシミュレーションを何通りも示して、それを県民にも示し、県民の意見も聞き、県の防災計画を具体的につくる委員会にも反映させるというようにしないといけない。県民から見ると、一体どうなっているのか見えない。県庁が何をしようとしているのか見えない。少なくとも県民にわかりやすくするためには、そういうシミュレーションを出して、そのシミュレーションに基づいて、ここはやはり避難しなければいけないとか、ここはヨウ素剤を配備しようとか、そういうもうちょっとわかりやすい議論をしてはどうか。


◯危機対策監  被害想定というか、事故想定が前提になるが、福井県はSPEEDIというソフトを活用して、これまでも原子力防災訓練を行ってきた。そして、福島の事故を踏まえ、具体的な安全基準に基づいた安全対策を施して、それに基づいた事故想定というのはどうあるべきなのかということを国に求めていて、それに基づいたシミュレーション、あるいはSPEEDIの活用についても国に求めている。そういうことを前提にした防災対策、被害想定を立てていく必要があると考えている。


◯佐藤委員  そこが問題だと思う。要するに、新しい安全対策をすれば過酷事故は起こらないというように期待するのはわかる。もちろん我々も期待するし、県庁の皆さんも当然期待されるだろう。しかし、期待は期待としていろいろ議論があるように、想定外のいろいろな事態、地震だったり、あるいは知事が以前、今も言っているが、テロだったり、あるいは操作員のミスだったり、いろいろな事態が想定される中で事故は起こるわけである。これまでの原子力防災訓練は一日で終了しており、短時間で事態が収束できるという想定だった。今、9カ月たっている。200倍、300倍、400倍、500倍の想定が必要になるわけである。数時間で事故が収束できるという想定で福島県も福井県もこれまで原子力防災訓練を行っていた。だが、9カ月、10カ月たっても、全く収束のめどが立たない。何百倍もの想定が必要になるわけである。
 だから、そういう安全対策に基づいて処置すれば、そういう想定に基づく大きな原子力防災計画とか訓練は必要でないという前提がおかしいのではないか。


◯危機対策監  先ほど知事も答弁したように、新たな基準があるから範囲の拡大が必要でないとか、そういう考え方ではない。安全対策と防災対策、防災対策は防災対策としてきちんと福島の知見を踏まえて、科学的、合理的に導き出されなければならないというのが県の基本的な考え方である。そこを国に主張している。


◯佐藤委員  いろいろ言われるが、内部から聞こえてくる話は違う。要するに、本当にそれぐらいの規模の、何十キロもの防災対策が必要になるということは考えたくない。そのようなことを考えるのであれば、原発は要らないという議論になるのではないかというようなことを内部では議論していると聞いている。だから、こういう議会の場での表向きの公式答弁と、実際、県庁内部でこういうことを考えたらどうなるのか、こんな計画をつくったらもう原発要らないという議論になるのではないか、そのようなことになると困るからなるべく狭くなるようにできないかとか、いろいろと慎重に、合理的にということをやっているようではだめだと思う。知事は原発が引き続き必要、私はなくしたほうがいいという立場の違いはあるが、ある以上、防災計画は必要である。実際に、福島事故を見れば、30キロどころか、100キロ、200キロ単位で放射能汚染が広がっている。それに備えた計画をつくるのは当然ではないか。


◯知  事  いろいろ推測でいろいろなことを言われると困る。それから、だれが賛成でだれが反対という、その一律な言い方も不適当だと思う。


◯佐藤委員  推測とかではなく、実際の議論をしている。実際の証言に基づいて議論しているわけである。
 かつて、もう20年以上も前であるが、敦賀市に高木孝一という市長がいた。もちろん原発を推進していた方である。なぜ原子力防災計画をつくり、住民の避難訓練を行わないのかということを当時の高木市長と何度か話したことがある。そのとき高木元市長は、「共産党の言うことはわかる。わかるけれども、もし本当に共産党が言うような、住民が逃げ惑う必要があるような事故が起こったとすれば、防災計画というのは竹やり訓練だよ」と言われた。ある意味、原発を推進してきた市長、当事者である。原発が安全だと思ってはいるが、もしそういう過酷事故が起こったりしたら、行政がつくっているような計画は机上のペーパーで、役に立たないと言われた。福井県は、当時、住民参加の防災訓練を行っていなかった。12年前ぐらいまでは行っていなかったのである。12年ぐらい前になってようやく、県民からの声があって、いざというときには住民も逃げようと、こういう訓練を始めたのである。住民が実際に避難する訓練を原子力防災訓練で始めたのは福井県が日本で一番後だったのである。
 今回、こういう事故を受け、滋賀県も真剣に考えている。新潟県も真剣に動き出している。そういうときに、また福井県が最後になってはだめである。そういう点では、きちんとした防災計画の案を県民に示し、県民の意見を聞いてはどうか。


◯危機対策監  県の原子力防災訓練の住民避難訓練は最後であるという指摘であるが、そもそも原子力防災訓練を始めたのは本県が最初である。もう一つは佐賀県であったかと思う。その間の経緯もいろいろあって、住民参加の訓練は、委員指摘の年次で行われたが、県の原子力防災訓練に対する取り組みというのは、全国的にも一番古い。そういう点もぜひ理解いただきたい。


◯佐藤委員  住民参加の訓練をしてこなかったことを僕は問題にしている。きょう問題にしているのは、住民が実際にどう避難するのか、どのようにヨウ素剤を服用するのかが求められているのだから、もっと早く県民にシミュレーションを提供して、県民の意見も聞いて、県民が合意できる計画をつくり、訓練をすべきではないかということを言っているのである。


◯知  事  いろいろな程度はあるが、全国的に見ても実効性のある防災訓練を国と協力しながら行っている。福井県が最も先進的な県であると思う。そこは理解願いたい。
 今回の福島事故で大事な、大きな教訓は、福島の厳しい教訓を生かしていろいろ直すところは直すということをちゅうちょしないで行うということである。国が先頭に立って、我々も国に要請し、また我々のできることを可能な限り行うということが今回の教訓であり、それを今進めている。余り一方的に決めつけないで、いろいろなことを言っていただければありがたい。


◯佐藤委員  一方的に決めつけるのではなく、提案している。こういうことでいかがかと提案しているので、そこは理解いただきたい。
 先日、保安院の方と話をした。今、PAZとかいろいろな区域をつくろうとしているが、こう言われて僕は驚いた。「いろいろあるが、小さい子供は、ヨウ素剤を飲ませるより逃がすのが先である」と。ヨウ素剤を配備するよりも逃がすのが先だというような考え方になると、ヨウ素剤の配備を拡大しようということになってこないと思う。逃げる前にヨウ素剤を飲んで逃げればいいわけであり、ヨウ素剤の配備と住民避難は全く矛盾しないと思う。原発がある以上、きちんと防災訓練の計画を立てるということは矛盾しない。ヨウ素剤を服用して逃げるため、実際に避難をしなければいけない区域をいろいろ想定すること、例えばフランスは各家々にヨウ素剤を配備している。実際の原発事故は昼に起こるか、夜に起こるか、いつ起こるかわからないので、まず家に置くとか、いろいろなやり方をしているわけであり、やはりそういうようなところを福井県は、ある意味、知事が言ったように先進県だと言うのであれば、国がおかしなことを考えていることに対してはそうではない、県民、子供の健康を守るために福井県はこうするのだというように、もっと積極的に打ち出すべきである。今は敦賀と小浜の2カ所に固めて置いているだけであり、これでは実効性がない。


◯健康福祉部長  ヨウ素剤の配備については、今、国でもいろいろな事例を参考に、ヨウ素剤を配備してどのように運用するとか、服用するとか、そういう医学的な部分も含めて検討している。その辺については、私どもも現地に赴いた医師とその手法を検討しているが、配備については、どこまで影響するかとか、そういう部分を見ないとわからないのが現状である。


◯佐藤委員  旧ソ連のチェルノブイリ原発等はそれで失敗した。放射能が漏れる事故があったときには一刻も早く服用すべきというのが当然の基準になっている。それに基づいて対応願いたい。
 次に、地震の関係と安全対策の問題であるが、東京大学の地震研究所教授で総合資源エネルギー調査会の「地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループ委員」を務めていた纐纈一起先生がこう言っている。「若狭湾原発群の安全審査では、2007年の新潟中越沖地震を受けたバックチェックを審査したときに敦賀原発ともんじゅの地盤の減衰定数が問題になったことがあった。作業部会に出された資料では、減衰定数にひどく大きい値が与えられていて、すなわち、原子炉に到達する揺れが小さくなる計算をしていて、こんなのでいいのかと委員の方から意見が続出して大紛糾したが、関西電力が、美浜原発などの審査に備えて裏で糸を引いていたことが背景にあることがわかった。」と。当時の政府の委員がこのように述べている。
 耐震バックチェックの信頼性、原発の耐震安全性、そういう根本を揺るがす、これまでもいろいろなやらせ問題が次々出てきているからこういうことがあってもおかしくはないといえばそれまでになってしまうかもしれないが、耐震安全性の信頼性を根本から揺るがすような事態ではないか。


◯安全環境部長  纐纈教授がどのように言われたか、直接、私どもは把握してないが、今お尋ねの耐震については、平成18年9月に改定された耐震の設計審査指針に基づき、保安院の審査会において議論されたときのものだと思う。そのときはオープンな議論により再評価が行われていて、議論の結果、地震の揺れが震源から離れるにつれ、どれだけ弱まるかという割合を示すのが減衰定数であるが、敦賀半島の地盤については、当初評価された値よりも小さく見直すこととして、審査会において了承された。さらに保安院は平成22年3月、耐震安全性が確保されることを確認し、原子力安全委員会においてもこの評価は適切であると確認された。こういう経過だと理解している。
 今回の事故を踏まえ、国は県内事業者に対して、天正地震に対する津波の評価、周辺斜面の安定性の評価、浦底断層の建屋などへの影響評価などを指示していて、これらの指示に対する事業者の対応、国の審査状況を注視していきたい。県としては、こういう立場である。


◯佐藤委員  具体的に政府が今回の福島の事故を見て、どう言っているのか、紹介したい。私は11月22日に保安院の方とお会いし、知事が求めている要望に対してどのように考えているかというあたりをいろいろと聞いた。その後、いろいろな変化はあるかもしれないが、私が先月22日の時点で聞いた話はこうであった。まず、耐震安全については二つの確認をしているとのことである。「プラントパラメーターでは、直後に配管に損傷はなかった。地震応答解析でも機器の損傷はなかった。ただ、SSを上回る加速度が観測されていたので、きちんと現場は見ていきたい」ということで、福島第一原発5号機を実際に調べてみたいということであった。もう一つ、地震の点では、「活断層の真上への原発の設置は認めていない。それ以外は安全である」と言われて、「敦賀原発、美浜原発、もんじゅはそれぞれ原発の基礎マットの直下には活断層はないので安全である」と答えていた。それから、高経年化については、「原子力安全委員会が指針改定を行うが、新たな知見には至っておらず、高経年化と事故の関係の新たな知見には至っていない。これまでの枠組みで対応できるとなれば、これまでの枠組みで対応する」とのことである。
 だから、政府というか、保安院からの回答は、福島事故を受け、実際の現場はどうなっているのかと思うようなものなのである。要は、福井県においても言われたが、「地震の影響はなかった。それから敦賀半島の原発も活断層の真上にあるわけではないから安全だ。高経年化については、新たな知見はないので、これまでの枠組みで対応できるかもしれない」と、こんなことを言っているわけである。
 福島原発事故というような大きな事故が起こったにもかかわらず、このような官庁がストレステストを受け取って審査したことは、県民から見れば全く信用できない。これまでのいろいろな耐震チェックにしても、国は全く反省していない。福島原発事故を受けて本当に真剣に取り組むというような態度に国は欠けているのではないか。このような国の姿勢を信用できるのか。


◯知  事  国の検討状況と佐藤議員がどのような話をしているのか、その辺の関係はよくわからないが、それはそれとして、今回の地震による地殻変動とか、地震の発生状況の変化などを踏まえた断層の再評価については、国の地震・津波に関する意見聴取会において、我々が申し上げたことも反映していると思うが、審議されていて、審議の状況を注視し、必要な対応をしたいというのが我々の考えである。


◯佐藤委員  原子力行政の最後にお尋ねしたい。かつて栗田知事のときの原子力のいろいろな進め方を見ると、国民合意ということを一つのポイントに挙げ、敦賀原発の増設を認めるとか、プルサーマルの計画を認めるとか、そういう経過があったと思う。今、承知のように、福島の事故を受け、国民世論は大きくさま変わりをして、原発はもうやめてほしいとか、これ以上ふやしてほしくないという国民が多数を占めるようになった状況がある。県民の中にもそういう声がたくさんあるというのは知事も承知のとおりだと思うが、いずれにしても、今後原子力行政を進めていく上で、知事は国民合意の尊重とか、あるいは県民合意の仕方というのものをどのように考えるのか。


◯知  事  原子力行政については、原発の安全確保を第一に、地域の恒久的な振興、それに基づく県民、国民の合意形成、この三つの柱が基本だと思う。


◯佐藤委員  今後、例えば、敦賀原発の増設問題とか再稼働問題とか、いろいろなテーマがある。再稼働問題でも、先ほどいろいろな議論があったが、県民に福井県として、例えばアンケートをとる、そういう調査をする、原子力行政、再稼働問題だけでアンケートをとる必要はないであろうが、県民に直接聞き、それを県の政策に反映していくということぐらいはどうしても必要だと思う。福島事故を受けての県民説明会を行ってはどうかとか、これまでいろいろな提案をしてきた。説明会を行って、直接意見を聞くということも大事であろうし、いろいろな手法はある。県庁に県民アンケートの手法はあるわけだから、やはりこの機会にそういうアンケート調査、県民調査ということで、意向を聞いて県の政策に反映することが必要ではないか。


◯知  事  住民の信頼の確保について事業者は、本県の要請にこたえ、福島事故を受けた緊急安全対策について、新聞広告、チラシの配付、住民説明会などを通し、情報公開や県民の理解に努めている。形式的な形だけのいろいろなことを行うと、いろいろな課題があったというのも事実であり、実質的に、さまざまな機会を通して、こういう問題に対応することになると思う。また、県の広報紙を配布するほか、県内の放射性部物質の測定結果なども充実し、広報している。さらに国や事業者の安全対策については、県原子力安全専門委員会や安全検証委員会を独自につくり、これを公開し、県民が直接理解できる形で広報しているところである。今後とも、さまざまな手段を通して、市や町とも相談しながら、住民の声を十分聞いてまいりたい。


◯佐藤委員  県として直接県民の声を聞くという姿勢が弱いように思う。やはりそういうことを重視してやってほしい。

        「教育行政について」


◯佐藤委員  教育行政について、最初に福井県立大学の関係でお尋ねする。福井県大学等学術振興基金の額と、その拠出元がどこかという点を尋ねる。それと合わせ、最近、県立大学の中で、教員評価のシステムの押しつけをめぐって学内で反発が起こったと聞く。その内容と理由等について尋ねる。


◯総務部長  まず1点目の財団法人の福井県大学等学術振興基金であるが、これは平成4年度、県立大学を設立した年に設置している。財産としては23億1,500万円で、県と県内の28の事業所が出資している。県立大学の研究費等に活用しているところである。
 現在、県立大学の中で、教員評価システムについての見直しの議論が進んでいる点についてであるが、まず、県立大学の教員の研究活動については、毎年、外部評価委員において、業務実績の評価を受けている。昨年度もほとんどの部分については目標を達成しているが、やはり研究活動をもう少し強化する必要があるという指摘を受けていることも背景にあって、現行の教員評価システムを見直し、教員研究費の配分などに反映していくということで、研究面での競争力を高めながら、今非常に厳しくなっている大学の改革を進めていくことが必要であることから、見直し案をこの8月に提示し、議論されているところである。
 その具体的な内容については、教育活動、研究業績を具体的な学術論文集や授業の時間といった客観的な指標で示したいということで、それについては学部とか学科によって多少異なるので、そのあたりについて、現在、各学部と協議、検討を進めている。


◯佐藤委員  実際にはちょっと修正されたみたいであるが、最初は、これまでの研究費を4割カットというと失礼だが、カットしてほかに使うというようなことで大分、混乱もあったようである。だから、直接、全部県が責任を持っているわけではないかもしれないが、丁寧にやらないといけない。学問研究の場に手を突っ込んで予算をとるというやり方はよくないと思う。
 最初の学術振興基金は23億円余で、3月に解散することも検討されていると聞くが、いろいろな研究活動の充実とかを考えると、解散する理由があるのかどうか。また、解散した後、その資金がどうなるのか。そのあたりはどうか。


◯総務部長  今、公益法人の制度改革があるので、そういったことも踏まえながら、どういった形でこれからこの基金を運用管理していくかを議論している。財団法人という形でなく、例えば大学法人の中で運用するとか、その手法について現在検討を進めており、研究費については、引き続き、そういったところで確保していきたい。


◯佐藤委員  最後に教育長に尋ねる。
 若狭地域の高校再編についてはいろいろな議論がある。私どものところに若狭東高校の同窓会から手紙が来るとか、いろいろなことが起こっている。これだけ百花繚乱の状態で、今、スケジュールをつくって、県の教育委員会の案で推し進めるというようなやり方は、一たん、いろいろな議論を集約するという意味でも見直すべきではないか。無理に進めるべきではないと思うが、見解を尋ねる。


◯教育長  私もこのところ、夜は小浜のほうへ行っていて、きのうも若狭町から高浜町までの教育関係者、それから一昨日は同じく小・中学校の保護者100人近くに集まってもらって、丁寧に意見交換や説明をした。特に保護者の中には、これから若狭地区の様々な課題を解決して、充実していってほしいという思いが非常に強かったと思う。このような課題を解決するためにも、先送りするのではなく、やはり年度内をめどに私どもの最終的な案を示していきたいと考えている。


◯佐藤委員  そういうスケジュールありきで進めることは見直してほしいということを再度要望して終わる。


◯斉藤委員長  以上で、佐藤君の質疑は終了した。
 ここで休憩する。再開は午後1時5分とする。


2011年12月福井県議会厚生常任委員会②。福祉施設の移譲問題、介護保険・障害者福祉について。

2012年02月23日 | Weblog
2011年12月福井県議会厚生常任委員会。「若越みどりの村」と「若越ひかりの村」などの移譲問題、介護保険・障害者福祉についてただしました。


■「若越みどりの村」と「若越ひかりの村」などの移譲議案について
◯佐藤委員  仲倉委員の質問に関連して、今後、建物も解体してつくっていくという費用の話があったかと思うのだが、具体的に解体とか建設で幾らぐらいかかるのか。民営になれば給付金がふえるとかと言ったけれども、国や県からの補助金で大体どれぐらい賄えるのか。前回、部長が答弁されたけれども、それなりにお金が福祉事業団にあるという状況で、どのぐらい賄えるのか、詳しく教えてもらえるか。

◯障害福祉課長  まず、福祉事業団の運営状況であるが、代表質問で知事から答弁させていただいたように、現在、約11億円程度の運用引当金がある。それと、今後、民営化することによって毎年約5,000万円の収入がふえていくということで、来年度以降は1億5,000万円以上の引当金が積み上がるという状況にある。これが一つである。
 施設整備については、国庫補助が2分の1、県が4分の1の負担で、事業者が4分の1の負担というのが通常の負担割合になっているので、国庫補助を使いながら、できるだけ負担が軽くなるようにしたい。再整備については、現在のように1階建ての広い建物でいけるか等によって建設費も大分変わってくるかと思うので、そういうことも踏まえながら、再整備をしていくことになるかと思う。

◯佐藤委員  今の計算でいくと、「若越みどりの村」と「若越ひかりの村」の2施設の建てかえが終わるのはいつごろか。

◯障害福祉課長  現在の予定で言うと、平成25年度以降から建てかえの計画に入っていくことになる。国庫補助の状況もあるので、今の時点で何年度と具体的に言うことはできないが、数年かかって終わる予定である。ただ、当然、福祉事業団の状況もあるので、負担が可能な額が積み上がるところが大体めどになるかと思っている。
 そういう意味で、はっきりと何年とは言えないが、この2施設を最初整備した年度は昭和48年度ぐらいで、実際には3年ぐらいかけて整備してきた。それから、若越みどりの村については1年以上かかっているので、少なくとも3年と1年以上なので、両方足した4年程度の期間は再整備にも当然かかってくると思う。ただ、年度については当然国庫補助の状況もあるので、今の段階では明確にはわかりかねる状況である。

◯佐藤委員  そうすると、いろいろ試算され、いろいろ見積もって、平成25年から、それが平成28年になるのか、平成29年になるのかわからないけれども、そういう事業が終わった時点で経営者というか、福祉事業団にお金を使っていけば、建設費用の4分の1の自己負担を使っていけば、資金は大体どれくらい残るようになっているのか。

◯障害福祉課長  実は、現在の状況でも運転資金としては約3億円程度が担保できるような形にはなっている。それを除いてのことであるので、再整備が終わった後でも運営に支障を来すような状況はないと思う。

◯佐藤委員  実際、山本正雄委員が基本協定の中身が不透明だと言われたけれども、事業計画、財政計画の中身も不透明であり、よくわからないが、とにかくやってみれば大丈夫だというような話であろう。これではやはり無責任である。
 普通、例えるのは悪いけれども、例えば市町村合併のときなどで、福井市はどうなるかというときには、国からのお金はこうなる、市のお金はこうなると、10年間か15年間程度の大まかな財政プランを議会に示してくるわけである。これだけの何百人も入所されている施設を県の責任から引き離していこうとするときに、基本協定の内容も今提示できない、財政の試算の見積もりも具体的に提示できないというような無責任な状態で、議会で承認できるのか。

◯健康福祉部長  今、障害福祉課長から取り組み状況について説明したが、福祉事業団が負担すべき試算としては、今の施設を建てかえると大体どれぐらいになるというのを平米当たりの単価で算出していて、若越ひかりの村で20数億円という数字が出ている。ただ、前議会でも申し上げたように、今、福祉事業団と県とで協議をして、いかに費用負担を少なくするかという建設計画と次回の計画などを現実的に協議しているところであるが、それらの数字についてはまだ出ていない。
 それで、最終的に数字が確定するのは、来年度に基本計画をつくり、設計をして、初めて出てくるのである。だから、今の比率の問題は、国の2分の1、県の4分の1は変わらないと思うが、その部分についてはその段階でないと正直申し上げて判断できない。ただ、今の想定である限り、事業者が負担すべき金額は既に留保してある。それと、毎年1億円から1億5,000万円ぐらいが現状の運営を続けている場合は、留保できるというのは多分間違いないだろうと思う。
 これは別に県が一方的に押しつけているわけではなく、福祉事業団の役員の、特に理事長等の方々と経理的な部分も含めて詰めた。だから、今、幾らかかるので、この部分の金額が幾らということはできないけれども、それは福祉事業団と協議した段階でやらせていただいている。
 それから、基本協定についても、先ほど申し上げた項目について福祉事業団と一緒に詰めている。実際、運営をされる福祉事業団の役員の方々が今後ずっと運用していくことであるので、その中で、今こういう形でちゃんと合意をした上で議案として出させていただいているので、その辺は了承いただきたいと思う。

◯佐藤委員  それほど簡単には了解できない。実際、この議会でも外郭団体のいろいろな議論があったが、外郭団体自身がさまざまな経営努力をしており、当然県からも求められるし、みずからも取り組み賃金水準は下げている。それから、正規職員を減らし、パート・臨時・嘱託職員等をふやしているというのが福祉事業団の実態としてあるわけである。だから、正規職員の負担が物すごく重くなってきているという実態なのである。県が責任を持たずに、今度はさらに民営ということになっていけば、どうなるかわからないけれども、当然、人件費の賃下げが続くか、あるいは非正規雇用の増大とかという懸念が出てくるわけである。福祉の現場でそういうことでいいのかということが、やはり県民とすれば非常に心配だという懸念がある。
 それとあわせて、今、部長はいろいろ言われているが、一定の費用を出して当たり前だけれども、理事者の内部で現在検討しているわけである。そういう理事者の内部での検討材料となっている基本協定の内容や資金計画を今議会に示さないで、要するに、移譲後の安定経営を支援するために、建物は無償譲渡するし、土地は無償貸与するということだけで、議会を乗り切ろうとしてもそうはいかない。
 実際、内部で出されている資料によれば、ひかりの村が平成25年から平成27年、みどりの村が平成28年から29年となっていて、建設解体費の合計は35億8,000万円、補助金の予定が18億3,000万円となっているわけである。設置者負担は17億5,000万円。あなた方の内部ではそれは出しているのか。そして、福祉事業団の収支がどうなるかも、平成27年度で累計17億9,000万円ということで出しているわけだろう。これをこのまま使ったら、確かに毎年1億5,000万円ぐらいずつ入ってくるとはいうものの、経営は本当に大丈夫なのかと思う。そうだろう。
 だから、こういう部内で検討された資料を議会に出さないまま、乗り切ろうという姿勢が不満なのである。なぜ議会に部内で検討している資料を正直に出さないのか。基本協定にしても財政計画にしても資料を提出した上で、議論すべきである。こういうやり方はおかしいではないか。こういう議論は、やり直すべきである。この議案は撤回してくれるよう願う。

◯健康福祉部長  佐藤委員の指摘した資料がどういう資料なのか、わからない。

◯佐藤委員  健康福祉部でつくった資料であろう。

◯健康福祉部長  あくまでも、先ほど申し上げたように、建設の重立った面積を単純に掛け算したということであるので、それでかかる費用が大体それぐらいだから、実際に計画をやってみないと、その数字が固まらない段階ではなかなか出せないだろうということで今は出していないけれども、当然それらも含め、経営についても福祉事業団ともあわせて資金計画をやっているので、いいかげんな話ではないと思う。

◯佐藤委員  だから、いいかげんではないと思っているのであれば、内部で検討している資料を議会にきちんと出して、これだけの重要な議案であるので、誠意を尽くして議会の承認を求めたらどうだということを言っているのである。

◯仲倉委員  委員長、佐藤委員がどういう資料を根拠に物を言っているのか、あとの委員には全然わからない状況である。

◯大久保委員長  佐藤委員の持っている資料をコピーするために、暫時休憩する。
                              ~休  憩~

      〔各委員に別添「障害者福祉施設の移譲に関する資料」を配付〕

◯大久保委員長  では、委員会を再開する。

◯健康福祉部長  これは健康福祉部でつくった資料に間違いない。この結果を試算した上で、運営上大丈夫だということを判断させていただいている。

◯佐藤委員  では、さっきの議論に戻り、基本協定書案を議会に出して、説明をしていただかないといけない。条例の本文と、建物は無償譲渡、敷地は無償貸与するから安定経営になるよという説明だけでは、不十分であると言いたかった。また、この資料を見ると設置者負担が17億5,000万円ということである。福井県福祉事業団の資金収支見込みが累計で平成27年度が17億9,000万円だから、この数字だと大丈夫なのかというような気持ちにもなるので、その辺を丁寧に説明していただきたい。

◯健康福祉部長  これは何回も申し上げているように、これはあくまでも概算の段階であるし、先ほどの基本設計なり工期なりについても、現状としてどうなのだろうかということであるので、この形が本当に県として最終的に責任を持てるというところの数字では今の段階ではない。ただ、県としては、建物を移譲したとしても、この機能が大切であるから、機能を維持するためにどうしたらいいかということで、いろいろ試算をして、これなら大丈夫だという内部的な判断の根拠にさせていただいているが、この数字が確定というものではないことだけは、承知いただきたい。
 また、県の姿勢としては、あくまでもこの施設の運営自体はぜひやっていかないといけないというもので、その運営が採算性を割るものであれば、県としてもその段階で当然考えていかなくてはならない。ただ、現状で見る限り、若越ひかりの村の自己負担分についても、現に内部留保金があって、その上で毎年の運営費以外に1億数千万円の積み立てが確実にできるという状況だけは、現状の運営を続けていく限りは間違いないので、それなりに正確であるということで判断したものである。

◯佐藤委員  もう終わるけれども、みずから条例を出してきた、その数値の根拠の試算がある意味ではこれだとしながら、しかし、この数字で県としては責任を持てるかどうかはわからないというのは、やはり無責任だと言わざるを得ない。将来への不安があったら、また県が直接運営するように戻すなどの議論をするぐらい、県がきちんと責任を持つというような福祉施設であるべきだと申し上げておく。


■介護保険、障害者福祉について
◯佐藤委員  介護保険について伺う。前回も答弁してもらったが、今回の計画を見ると、介護保険料の上昇抑制に活用という資料がある。これは具体的にどの程度取り崩して、どの程度抑制されることになるのか。このことは県の事務だろうか。また、市町の基金についてはどういう扱いか。

◯長寿福祉課長  介護保険財政安定化基金の取り崩しについては、県の事務である。
 1点目の介護保険財政安定化基金の取り崩しについては、現在、まだ庁内で財政サイドと調整をしている段階である。ただ、少なくとも取り崩しを行えば50円程度は県でも抑制できるのではないかと思っている。というのも、取り崩した額を3分の1は国へ、3分の1は県に、3分1は保険者にという形で、取り崩し額の3分の1が保険料の上昇抑制に充てられるという介護保険法の規定があるから、そのように影響するものだと思っている。
 2点目の各市町に設置された基金については、市町ごとに3年ごとに実施される介護保険財政の見直しの際、多少余裕が出てきた場合の積み立て準備基金であると推察している。この準備基金を次期計画の策定に当たって、どれだけ各市町の上昇抑制に充てるかは、市町の判断になる。市町によっては既に財源が枯渇しているところもあるし、また財源に余裕があるところはある程度入れた上で、県からの介護保険財政安定化基金の取り崩しの額も合わせ、上昇抑制に充てたりするという形になる。

◯佐藤委員  財政安定化基金を取り崩しても50円程度の抑制にしかならないということである。次の良質な介護サービス、事業者、人材の確保というところにもかかわってくるのである。要するに、介護従事者への交付金制度が今年度で終わる。それを介護保険の財政の中で見てもらうというような議論になってくるとなると、当然、等しくそのままかぶせると、保険料の900円ぐらいの値上げになるというのが厚生労働省の試算である。だから、これは大変なことである。差し引きしても850円の値上げということになってしまう。これは保険料の上昇抑制という大きな枠では1項目あるが、トータルで見ると全く抑制にならないという計画になりかねないのではないか。

◯長寿福祉課長  介護保険の財政安定化基金の残高が26億円ほどになっているので、全部取り崩し、1円も県に残さないとしても、3分の1しか上昇抑制につなげられないので、百数十円の抑制効果にはなるだろうと思う。一方で、財政安定化基金のそもそもの設置目的として、各保険者が介護保険財政のやりくりで苦しくなったときに貸し付けをし、補てんをし、なるべく各保険者が一般会計からの補てんをしなくて済むようにとの視点では、ある程度残さざるを得ないので、財政安定化基金の取り崩しでなるべく保険者に資するようにという意味で、取り崩し額を決定したいと考えている。

◯佐藤委員  なかなか課長も苦しい答弁を言われて、その程度しか現状では言えないだろうけれども、やはり今でも介護保険料の負担が重い、さらには利用料の1割負担が重いということで、サービス利用者の状況を聞くと、使える限度額までフルに使っている人はそれほどいないわけである。さらにこの上、実際の保険料が月々平均で900円程度値上がりするということになれば、やはり年間通じると1万円以上の値上げということになるから、年金暮らしの人にとっては大変大きな負担増になると思う。
 だから、その辺でこの財政安定化基金を取り崩して抑制に活用するということだけにとどまらず、今言われた市町の給付費の準備基金であるとか、これは別にないところもあったが、あるところはあるのだろうから、それも積極的に取り崩して、それぞれの市町あるいは広域連合の介護保険であるから、使えと言ったら失礼だけれども、やはり保険料抑制に使うようにということを県としても働きかけないと、来年の春に大幅な値上げになってしまうのではないか。

◯長寿福祉課長  介護保険料が次期計画でどれぐらいになるかというのは、委員も厚生労働省から出ている情報もあるだろうけれども、今のところは2月ぐらいに固まる介護報酬で各事業がどれぐらい評価されるかと、あわせて施設整備をどれぐらいつくるかが決まらない限り、なかなかわからない。めどとしては、県平均では現在、月額4,253円だけれども5,000円を超えざるを得ないのではないかといった見通しはある。その中で、介護保険の上昇抑制は県が申すまでもなく、保険者でもやはり常にこれまで市町との調整を続けてきた中でも、なるべく上げたくないといったことは聞いていて、その中では準備基金をまず充てているといった対応をしている市町もあるので、保険料の上昇抑制をなるべくしていこうといった思いは、県も市町もこれまでのところ共有化できているのではないかと思っている。

◯佐藤委員  前回議会で言っていたような制度が悪くなるということは、絶対にだめだし、もちろん、悪くなる、保険料は高くなるでは、ひどい話になるので、そうならないように、国に対しても強く要求していただきたいと思うし、県としても市町と広域連合と力を合わせて、最大にできることはしていただきたいと思う。
 それから、障害者関係で2点伺う。「障害者自立支援法」の後の法律である「障害者総合福祉法(仮称)」がつくられていく状況であるが、主にどういうポイントがあって、県としての対応はどうなるのかお尋ねしたい。
 もう一つは、障害者の方が自動車を購入する、あるいは自動車を改造するというときの助成制度が県や市町にはいろいろあると思うのだけれども、具体的にどのような制度があって、利用状況はどうか、2点を伺う。

◯障害福祉課長  まず、障害者総合福祉法は仮称であるが、現在の国の検討状況で言うと、国の予定では平成25年8月施行を目指して、現在は法案を作成している段階と伺っている。ことし8月末の検討部会からの報告の内容を踏まえると、まず一つは谷間のない障害者施策ということで、今まで障害者自立支援法では対象にならなかった、あるいは明確に規定されてなかった障害については、例えば、難病なども障害として扱い、新たに福祉サービスの対象として含める。
 それからもう1点は、基本的には地域生活に基本を置くということで、例えば精神障害をお持ちの方で長期入院されている方を地域生活へ戻すとか、いわば地域生活を主体とした内容になると伺っているが、まだ実際具体的な内容が出ておらず、今後、来年度の通常国会に法案を提出すると伺っている。その内容を踏まえた上で、県としては対応していきたいと考えている。
 それから、身体障害者に対する自動車の助成制度である。一つは運転免許を取得する場合の助成は特に市町で行っている事業で、あるいは自動車改造する場合も市町で補助を行っているが、具体的な実績件数については今年度まだ把握していない。

◯佐藤委員  要するに、自動車改造の助成の具体的な内容として、どういう助成制度があるのか。件数がわからないのであれば、県や市町の助成制度の概要を説明願う。

◯障害福祉課長  県では直接の助成制度はない。これはあくまでも障害者の方が行った自動車改造に対して市町が助成をした場合、県から間接的に補助しているような、地域生活支援事業という中で行っている事業であって、実施主体の市町に対して、かかった費用を県単でお支払いしている状況である。
 助成内容は市町によっても違うが、例えば自動変速機につながるブレーキとアクセルを一体的に改造するなどさまざまな自動車改造があるので、それらに対して大体10万円程度の助成をしている。



2011年12月福井県議会厚生常任委員会①  福井県の原子力行政、原子力防災計画、被災地がれき問題など

2012年02月23日 | Weblog
2011年12月福井県議会厚生常任委員会で原発問題、防災計画、被災地がれき問題などをとりあげました。



■職員給与削減について
◯佐藤委員  今回の職員給与費の削減については、安全環境部の職員何名中、何名が今回の削減の対象になるのか、また、影響額はどのぐらいになるかを伺う。

◯安全環境部長  給与関係については、人事企画課で県庁全体を試算していて、安全環境部で幾らになるのかというのは、今、手元に資料がないので、試算ができるのかどうかも含め、担当する人事企画課へ確認しないとわからないという状況である。

◯佐藤委員  資料がないなら答弁できないのは理解できるが、部長のもとで一生懸命に仕事をしている職員の給与がどれだけ引き下がるのかもわからないのは、冷たいのではないか。

◯安全環境部長  安全環境部で給与関係を管理していないので、理解を賜りたい。


■原発問題
◯佐藤委員  先ほどの部長報告については、ボタンの大きなかけ違いがあるような気がする。部長報告をよく聞くと、野田総理大臣に対し、今、国民の最大の不安は原発の安全対策の方針が示されていないことであり、原発の安全性を高めて国民の信頼を回復するために、明確な方針を示すように知事が求めていくという内容だった。しかし、今、国民の最大の不安というのは、福島原発事故が9カ月たっても、この先一体どうおさまっていくのか、おさまらないのか、あるいは故郷に戻れるのか、戻れないのか、あるいは子供たちの被曝によって今後どういう病気が発生していくのかというようなことが一番であって、原発の安全対策の方針が示されていないことが国民の不安ではないわけである。そもそもスタートがおかしいのではないか。

◯安全環境部長  福島第一原発事故については、確かに収束がかなり長引いているし、今、確実にどういうふうに収束するのかどうかも国としてまだ明確にできないというのは、そのとおりだと思う。
 ただ、原発の立地県としては、福島のような事故がまた起きるのではないかということが最大の不安であって、関心があると思っている。そのためにも、今ある原発をどういうふうに安全性を高めて、福島のような立場にならないようにするのかが最大の関心だということで、申し上げた次第である。

◯佐藤委員  だから、野田総理も国会答弁では、福島第一原発事故の原因の解明がきちんとされないと次のステップには進めないということになっているが、その原因が解明され、福井県を初めとする全国の原発に生かしていく上でも、ストレステストだけでは全然だめであり、福島原発事故を解明しようにも現場にまともに出かけることすらできないという状況である。
 経済産業省は、福島5号機でチェックをかけるといい始めた。要するに、福島1・2・3・4号機の原子炉内にはとても入れないから、5号機なら内部に入って地震の影響がどうだったか等を見ることができるので、5号機でチェックをしたいということを言っている。しかし、実際にメルトダウンした1号機がなぜそうなったのかは、5号機では検証できないわけである。だから、原発の安全対策の方針が示されていないのではないかという角度から入ってしまうと、問題をきちんと全容を解明される前に再稼働へ進もうという動きにすぐになってしまうという懸念があるのではないのか。

◯原子力安全対策課長  福島第一原発の5号機については、聞いているところでは、地震での揺れが大きかったということ、それから今、委員指摘のように炉心損傷等はないので、中には入れるということは事実としてあるかと思うし、先ほどの意見聴取会の中でそういう議論が出ていると思う。
 一方で、技術的知見の意見聴取会では、例えば、1号機の隔離時冷却系と言われているICの状態がどうかとか、3号機での高圧力容器へのところに本当に損傷等はなかったとかいう意見も出ているので、基本的には入れるか入れないかという放射線的環境の厳しさは非常にあるけれども、原子力安全・保安院及び東京電力から意見に対する何らかの回答なり、現在で判明している事実は出されてくるだろうと考えている。

◯佐藤委員  だから、現在判明している事実が全部ではないわけである。実際には全部にはなり得ない。もし仮にあのような事故が起こったときに、事故をおさめることすらできないという最大の欠陥があるわけである。だから、知事や部長が言われるように、安全対策の方針が示されていないのではないかということで、暫定基準を求めているが、県や国が事業者のチェックをかけていくことになると、新たな原発安全神話につながってくるのではないかと心配しているわけである。だから、実際にそういうことで、福井県は踏み出すべきではないと思うが、いかがか。

◯原子力安全対策課長  今回の事故で炉心溶融は短時間で起きている。それに対して、最初に問題となった電源が喪失したという事実であるとか、プラントがその後どう挙動していたのかが一番大きな問題かと思う。そういう点を含め、今ある原子力発電所の安全性をさらに向上させていくのはどうしても必要なことである。できる範囲で、より具体的に今回の事故の解明を進めながら、今ある原子力発電所の安全性を高めるのは、非常に重要なことだと考えている。

◯佐藤委員  今ある原発の安全性を高めるのは当然である。しかし、福島のような事故が起こり得るのではないかということを国民、県民は心配して、いろいろな議論になっている。だから、そういう心配がきちんと解明されないのに、暫定基準でいいのではないかという視点がおかしいのではないかというのが私の意見である。

◯原子力安全対策課長  暫定というのは、なかなか言葉は難しいのだけれども、わかる範囲で安全性を高めるための基準をつくっていくべきだということで、なかなか放射線環境が厳しい中で、どこまで原子炉の中を見た上で確実なことが言えるかというのは難しいところもあるので、できる範囲、わかる範囲で、まず安全性を高めるための基準というのをつくっていくべきだということを申し上げている。そういう意味では、例えば、電源車と消防ポンプが最初に緊急安全対策として国が指示したようなところがあるけれども、そういうことだけではなくて、設備の健全性も含めて、今回の事故の知見をより反映させてほしいというのが我々の意見である。

◯佐藤委員  実際に、経済産業省なども、今回の事故でそういう基準を示して再稼働をさせたいという気持ちはあるわけである。だから、平成23年6月時点で、県庁と県議会に原子力安全・保安院の審議官が来られて、福井県の原発は大丈夫であり、稼動させていただきたいと言いに来たわけである。最初から経済産業省はそういう気持ちなのである。だから、そういう国の気持ちに福井県がのっかってしまってはいけない。やはり県庁としては福島のような事故が起こったら、大変なことになるわけであり、知事は原発事故を起こさないと言っているけれども、その保証がないわけである。国はプラントパラメーターを見ても異常はなかったとか、地震応答解析を見ても特に問題はないと言っているが、結局、地震では損傷していないというようなことだけを言って、原発を稼動させようとしているわけである。だから、こういう従来の原子力政策をそのまま延命したいという思惑を福井県に押しつけられたら、県民はたまったものでないと思うわけである。
 昨夜もNHKで津波検証のテレビ番組が流れていて、まじめに研究し、大きな津波のことを指摘した研究者が排除されて、東京電力の対策がしっかりとられなかったというような番組をやっていた。そういう失敗を繰り返してはならないというのは、原発・地震・津波問題でもあるわけだから、やはり福井県は、最大現に安全を考えるべきだと思うが、部長、いかがか。

◯安全環境部長  今ほど課長からも答弁したが、この福島第一原発事故の後、緊急安全対策を国はとっている。それは仮に福島のようなことが起きても、最終的には電源をある程度確保するのと海水を入れて原発を冷却するということで、最後のところは踏みとどまれるという対策である。これは、最初から福島の事故の収束は大切であるけれども、次に、ほかの原発に同じような津波なり地震が来ても、最後のところは踏みとどまるという緊急安全対策がいるのであれば、県も直ちに国に申し上げて、国がそういう手続をとるだとか、この後、原発がどういう経過で壊れたかということを生かしながら、安全対策をどうとるかということも検証しながらやっていくということを私どもは申し上げた。
 福井県の立場はとにかく、あれだけの被害を受けて、事故の前後で安全基準や審査基準が何も変わらないというのでは認められないということで、国で今度の福島の事故を受けた対策をしっかりと基準にも反映して対策をとってほしいということである。決して国が進めたからといって県がそのままノーチェックにしているわけではない。そういう姿勢は県として堅持していかなければいけない。

◯佐藤委員  もう終わるが、やはり大きな勘違いがあると思うのである。というのは、一般質問でほかの議員も質問されていたが、活断層の上に原発があり、そこが何メートルもずれたときに、幾ら海水を注入して原子炉を冷やしても全然話にならないわけだから、そういうことも考えれば、活断層の上にある原発とか、あるいは直近にある原発はもうだめだというぐらいの厳しさが必要だということを申し上げておく。

■市町の原発体制
◯佐藤委員  防災のためではなく、安全の確認の場だということで、表裏一体みたいなところが実際上はあると思う。EPZをせっかく拡大し、鯖江市、越前市、福井市等が防災計画をつくらなければいけないという状況になってきている。計画をつくるけれども、実態の安全確認までは物は言うことができないということは、おかしいと言えばおかしいので、自治体のトップがいいのか、担当者がいいのかは別として、原子力発電所に対して、あるいは国の原子力安全・保安院に対して物を言う場をきちんとつくるべきである。県には定期的な会議もいろいろあるだろうから、県の部長や知事に対して物を言う場はあるとは思うが、原子力発電所や国の原子力安全・保安院に対して物を言う場をつくることは必要ではないのか。

◯原子力安全対策課長  原子力安全管理協議会でも国に対して物を言う場面もある。例えば今回の事故においては、国の説明を求められた市町村については、国の原子力安全・保安院の地域統括管理官が市町の議会等に説明に行っている。そういう意味で例えば、今回の福島の事故を踏まえた安全の問題を国に説明していただきたいという要望があれば、そういう方々に対しての説明対応は、聞くところでは地域統括管理官が積極的に動かれていると思っているので、原子力環境安全管理協議会の委員がそこに入るか入らないかということとは、場面が違うかと考えている。

◯佐藤委員  なぜそれほどにこだわるのかという気もするが、要するに、今、全体として原発の危険性に備えようということで、防災対策も考える、計画もつくるということになってきているわけだから、やはりみずからいろいろな原発問題について安全チェックをしたいという自治体があれば、どうぞ出席して直接意見を述べていただきたい、あるいはチェックをしていただきたいというようにして、それに県がブレーキをかける必要はないと思う。
 もう一つは、言葉が間違うとまずいが、本議会の質問でも言ったように、原発のある自治体では原発にどうしても頼りがちになる。今、実際のところは敦賀市でも美浜町でも高浜町でも、きちんと原発を動かしてほしいとか、新しい原発をつくってほしいとか、市長や町長はいろいろなことを言われているのが現実である。
 だから、客観的な立場で厳しくチェックできる市町も入れば、福井県全体としては、より重層的に県民益の立場でチェックできることにもつながるのではないのか。

◯原子力安全対策課長  原子力環境安全管理協議会は、それぞれの立場、考え方で委員が発言される会合だと思っている。
 先ほど言っているように、周辺自治体として、現状においても、南越前町や越前町の方々が入っておられるのも事実である。ただ、その経緯もあるので、原子力環境安全管理協議会は県内の原子力の課題を議論する場であるので、今後どういう委員がよいのか、また、防災と一緒に考えるかどうかというのはあるものの、そういう議論をしていくのは必要かと思っているが、現状においては、やはり、それぞれの自治体で勉強されるのが一つの手段ではないかと思っている。

◯佐藤委員  それぞれの自治体で勉強したらいいのではないかと言うのではなくて、そういう勉強する場を設ければ、防災の範囲も広がると該当する自治体といろいろ率直に意見交換も質問もでき、それを持ち帰って今の細川委員の発言にもあったように、各自治体の議会で聞かれたときには理事者も答弁できるというようになっていくのが一番いいと思うので、そのことを要望しておく。


■原子力防災
◯佐藤委員  防災の関係で、一般質問でも聞いたが、新潟県が素案を出した防災計画では、新潟県全域を対象にしたヨウ素剤の配分を考えるというものである。ある意味では当然だと私は思うが、課長はどう思うか。

◯危機対策・防災課長  新潟県では国の防災指針の見直し案をそのまま取り入れたような状況である。福井県としては、国の指針どおりで実効性があるのか見きわめていきたいと考えている。

◯佐藤委員  実効性があるというのは意味不明なので、言語明瞭に説明願う。

◯危機対策・防災課長  国はUPZを出したが、具体的な内容が、例えばヨウ素剤をどうするのか、災害時の要援護者に対してどうするのか、それから福島の住民避難のときにどういうふうな問題が起き、今後どうしていくのかということが出ていない。そういうことを見きわめながら、具体的な例を出してほしいという意味である。

◯佐藤委員  原発がある以上は、さっきいろいろ議論があったけれども、ああいう事故が起こり得る、放射性物質の拡散事故が起こり得るという立場で、県民の安全を守るということを考えて、当然、ヨウ素剤等を国の言う50キロとか30キロとかの範囲にかかわらず配備するということが、どうしても必要だと思うのである。
 今、課長がいろいろな課題を挙げたが、その課題をクリアできないかもしれない。敦賀市の担当者も「もう敦賀市はどうしようもない」と言われるのは当然である。敦賀市民全部がもういなくなるというときに、病院の患者はどうする、施設に入っている患者はどうするという議論になる。敦賀市ではお手上げであるのは当然だと思う。そういうことまで考えなければいけない。
 原発が必要かということは、当然問われてくる。しかし、ある以上はそういう事態に備えるという立場で、原子力防災計画の案をまずつくり、県民の意見を聞くことが必要だと思うが、福井県としての案はいつ発表されるのか。そして、その案に基づき県民の意見をどうやって聞くのか、2点を伺う。

◯危機対策監  原子力防災計画の改定時期は、できるだけ早く行うというのが基本的な方針である。したがって、そういうところから今着手しているわけであるけれども、また国の防災指針を見きわめていく必要のある部分があるので、現時点ではっきりと明示できる段階ではない。
 現在、改定のための検討委員会の中に、市長会あるいは町村会の代表の方も入っていただいているし、市町の意見をこれから改定の中で聞いていくということも当然考えていかなければならないことであるので、当然そうした前提のもとに作業を進めていきたいと思っている。

◯佐藤委員  新潟県は案を発表したが、パブリックコメントというやり方かどうかは別として、県民から意見を募るということを実施するぐらいはきちんとやるべきだし、県として市町へ出向いて、福井県としてはこう考えるという説明をするような会の開催ぐらいはやるべきではないか。

◯危機対策監  新潟県は新潟県のやり方でやっているわけで、福井県がコメントする立場にはないけれども、県は県の改定計画のスケジュールに沿って、必要に応じて市町の意見を承っていく、あるいは案を示す段階で承っていく。それはいろいろやり方があるかと思うけれども、いずれにしても市町の意見を、あるいは協働しながら、相談しながら進めていくという点に変わりはないと考えている。

◯佐藤委員  市町の意見というときにひっかかるのは、住民の意見をちゃんと聞くことが大事であるということである。要するに、市の担当者が入っているとか、市長会、町村会の代表が何か住民の意見の代表者であるかように言われると、どうなのかという気がするわけである。だから、これだけ不安も高まっているわけだから、やはり自治体ごとに、あなたのまちではこうなると、こういう対象になるということぐらいは、県が出向いて説明するのは当然ではないか。

◯危機対策監  市町に委員として入っていただいているので、その委員を通して住民の方々の意見を承っていくという基本姿勢でいきたいと思っている。
 それから、出向いて説明するとか、あるいは集まっていただいて説明をするとか、いろいろやり方はあろうかと思うけれども、どちらでなければならないと決めつけするようなものではないと考えている。

◯佐藤委員  終わるけれども、やはり県民のそういう不安の高まりとか関心の高まりに、福井県としてしっかりこたえたらどうかということを言っているわけである。だから、代表が来ているからその人に伝われば住民に伝わるのではないわけだから、やはり関心のある人は、何月何日何時から、どこそこの公民館で説明会を開くとか、役場で説明するので、どうぞ来ていただいて意見をおっしゃっていただきたいというぐらいのことを当然やるべきである。そこで、またいい計画を考えていくというようにすることが最小限、私は必要だと思うが、部長の考えを求める。

◯安全環境部長  防災の件については、今も危機対策監から申し上げたように、今から丁寧につくって、市町と協働でやっていかないと、本当にそれこそ実効性がないので、市町が住民意見をどう集約するか、また説明をどうしていくのか、県でも確認しながら、意見集約を一緒に進めていきたいと思う。

◯佐藤委員  終わるが、県は、国は県に丸投げしてはだめだと言う。今の部長の言い方は、市町がしっかりやらないとだめだということで、結局、いざというときには迷惑するのは住民である。福島では住民が一番困っているので、いざというときに住民はどうすればいいのかというトレーニングをしてもらうことが大事になってくる。原子力防災だけに限らず、そういう機会に積極的に県としてもさまざまなことを提供するよう取り組んでいただきたいと要望しておく。


■敦賀民間最終処分場問題、被災地のがれき問題
◯佐藤委員  敦賀市民間最終処分場の件なのだが、採石の許可を求めている業者と最終処分場を経営していた業者との関係はどうか。

◯循環社会推進課長  それぞれ法人であるが、その法人として関係は何らない。

◯佐藤委員  個人的な関係はなかったのか。

◯循環社会推進課長  処分場をやっていたキンキクリーンセンターのオーナーと採石事業者の当時の社長が兄弟関係であるということである。

◯佐藤委員  たしか、そう記憶している。だから、採石した跡が処分場になったということだから、午前中、各委員から懸念が表明されたように、処分場の100億円ぐらいかけた工事が台なしになるという健全性が阻害されることは、絶対に許してはいけないということはもちろんである。そういう関係業者に対して、ここが所管ではないのだろうが、採石の許可を与えると、しかも、それが専門の委員の先生方からも懸念材料が幾つも出されているということで、これは県庁全体としてどうなるかという問題提起であり、認める、認めないというのは、安全環境部ではないけれども福井県庁としての判断になるわけだから、きちんと慎重にやるべきではないか。

◯循環社会推進課長  判断については、委員が言われるとおりであり、採石法という法律に基づいて産業労働部で判断されることになる。採石法では、「公共の用に供する施設を損傷し、または農業、林業などの産業の利益を損じ、公共の福祉に反すると認めるときは、認可してはならない」という限定列挙の許可である。その基準もあり、該当するかどうかをきちんと判断していくことが必要になる。
 処分場については、公共用に供する施設を損じることがないかという視点で、専門家からの意見をいただいて判断をした。その中で、いろいろな条件をきちんと守ってもらわなければならない注意事項があるので、業者に採石を認可することになれば、注意事項を守っていただくような条件にする形になろうかと思う。

◯佐藤委員  やはり市民は、処分場を工事したといってもあのままだから、大きな地震が来たときに壊れるのではないかとか、いろいろな心配をしている。完全撤去を求めていた市民の声がたくさんあったわけだから、県は完全撤去をするのではなく、あの場で自然浄化するという方針を唱えた責任がある。だから、県が民間最終処分場の立地等を認めてきたという責任があるし、そして完全撤去のときにセメント化するということにした責任もある。今回、採石を認めて、それで処分場の安定化に影響が出るようなことになったら、敦賀市民に対してもう示しがつかないわけである。そこはきちんと判断をしていただきたいと思う。

◯循環社会推進課長  今、判断については、安全環境部だけではなくて、これからいろいろな分野の意見を、敦賀市も含めて、産業労働部でまとめて判断をしていくことになろうかと思う。私どもとすると、午前中申し上げた採石事業がされても、その施設の管理や事業の運営の状況を産業労働部、土木事務所、保健所、安全環境部とでしっかりと連携してきちんと見ていこうと、また報告などもしっかり求めていこうとしており、監督をきちんとやっていくことで臨まなければいけないと思っている。

◯佐藤委員  もう一つ別で、本会議でも質問が出たが、被災地の瓦れきの受け入れについて、知事は受け入れまではしないという表現ではなかったかもしれないが、今のところ考えていないという表現だった。
 先日、新聞報道では、高浜町であったか、受け入れるということを首長がマスコミに対してか、議会かは忘れたが、言われているということである。県が被災地の瓦れきを受け入れないと言っている理由と、高浜町が受け入れると言っている理由や根拠について、簡潔に説明していただきたい。高浜町が受け入れるという方針を決めた場合には、県ではどう対応するのか、あわせて伺う。

◯循環社会推進課長  災害廃棄物は一般廃棄物の扱いになる。一般廃棄物について、区域外から搬入、受け入れるということになると、その判断というのは市町村の判断ということになるが、同時に、受け入れる場合には地域の方々の同意を得る形になる。
 被災地の瓦れきについては、承知のとおり放射性物質による汚染の懸念をされており、広域処理を進めると今、国が取り組んでいるが、ただ、その対応の仕方を地方に任せるような感じになっているので、そうではなくて、やはり住民の同意と、いわば受け入れられる環境をきちんとつくっていくということが必要だろうと思う。そうでないと、広域処理というのはなかなか進められないだろうと考えている。
 高浜町長も、住民の合意とか議会の理解等で、国がしっかり規制、管理を行っていくということを前提でという話だったと聞いている。
 だから、私どもは、国がまずそういう受け入れられるような環境づくりをきちんとやらなければいけないであろうということを、全国知事会を通して申し上げていきたいと、代表質問で答弁したかと思う。

◯佐藤委員  実は先日、私も環境省へ行って話をお聞きしたが、環境省自身が、そもそも環境省の管轄なのかという気持ちであったらしいのである。そういう放射性物質が付着した瓦れきは、環境省の所管ではないという気持ちだった。その仕切りの中で環境省に来たから、環境省の人も弱っているという気持ちはあるだろうと思う。原発を解体したときのクリアランスレベルは100ベクレルだが、今回は8,000ベクレルだという基準の決め方は、今言われたように、住民だれしも不安が強い。そんな不安が強いのに、押しつけることはできないだろうというような話をしたわけであるが、押しつけはしないが協力はしてもらうと、強気なのである。しかし、そういうものを地方に押しつけても、地方はどうするのかという話であるが、きちんと焼却炉で燃やしてもらうとか、最終処分場で処分してもらうとか、いろいろなことをやってもらわないといけないということである。
 環境省も、意外と簡単に考えているような気がする。だから、焼却場で燃やすといっても、放射性物質を含んでいるかもしれない瓦れきを燃やして、放射性物質が大気等の中にさらに拡散したらどうするのかという問題もあるし、処分場に埋めるといっても、放射性物質に対応する処分場が福井県などの普通の地方公共団体にあるわけではないから、やはりその辺では非常にずさんだと思うのである。だが、環境省の担当者は、いや、それはちゃんと深く埋めてもらって50センチぐらい覆土してもらえば大丈夫だとか、あるいは30メートルぐらい離れていれば人には影響ないとか、いろいろ本当かうそかわからないが、そういうことを言われていた。こういう状況では、今、課長が言われたように、とても住民同意が形成できるはずがないのである。だから、そこのところをきちんと国に対して言っていかないといけないと思う。
 敦賀市の最終処分場の話をしたが、不正確かもしれないが、敦賀市は阪神・淡路大震災の瓦れきを受け入れ、震災後は国道27号も瓦れきを運ぶトラックで非常に混雑したという話を聞いている。当時は福井県や敦賀市がそのように受け入れをしたとは思うが、今回はそれと同じようなレベルで応援することは、単純ではないということである。今の課長の答弁のように、国が受け入れられる環境づくりをしろという言い方だけでは不正確である。県民に対する説得力が弱い。だから、今言ったように、どう処分したらいいのかがきちんと明確にならない限り、軽々な受け入れはできないと考えることが重要ではないのか。

◯循環社会推進課長  委員が言うとおり、国民がこれなら瓦れきを受け入れても安全、大丈夫だという基準の選定方法、どういうものを運ぼうとしているのか等のもろもろの情報も含め、国が中心になって取り組んでいくべきだと思っている。そういう意味では、委員と同じような思いである。





2011年12月福井県議会での一般質問と答弁。福井県の原子力行政、木質バイオマス、冤罪・福井事件

2012年02月23日 | Weblog
2011年12月福井県議会での一般質問と答弁の議事録です。

◯7番(佐藤正雄君) 県民の皆さん、議場の皆さん、おはようございます。日本共産党の佐藤正雄でございます。
 まず最初に、原子力問題について知事に質問いたします。
 福島原発事故は、国民をだまし続けてきた政治のうそ、その仕掛けを明るみに出しました。徹底した除染、全面賠償、再稼働反対などの緊急要求実現と一体に、原発ゼロの日本を目指す闘いが各地で大きく広がっております。被災地のお寺の住職の方が、謝れ、償え、なくせ原発と、苦渋の心情を語っておられましたが、そのとおりだと思います。
 しかしながら、西川知事の提案理由説明や代表質問への答弁を聞いておりますと、国民・県民の願いとは裏腹に、この福井丸の進路がますます原発推進の巨大な渦に巻き込まれていくような気がします。その象徴が、11月27日に決められたエネルギー研究開発拠点化計画推進方針です。これは、幅広い原子力関連技術を活用し、産業の活性化を図ることにより、地域と原子力の自立的な連携を目指すという拠点化計画の基本方向は普遍だとして、原子力安全研修施設の建設、ナトリウム工学研究施設の整備、新型燃料研究開発施設の建設などなど、これまで以上の原発推進の方針、見直しが求められている高速増殖炉「もんじゅ」にしがみつくことも含めて計画されております。
 なぜこうなるのか。第一に知事の姿勢でありますし、あわせて委員の人選です。今、国の原子力やエネルギー関係の審議会などは福島事故を踏まえて、これまで国の政策とは違うからと排除してきた学者やNPO関係者などを登用し、国民世論を少しは反映させる努力を行っております。
 しかし、福井県のエネルギー研究開発拠点化計画を議論する委員会の委員には、そのような努力を行った形跡は見られません。メンバーには、関西電力、北陸電力、日本原電の各社長、原子力研究開発機構の理事長、経済産業省審議官、資源エネルギー庁長官、文部科学省研究開発局長、関西経済連合会などがずらりと名前を連ねております。最強の原発推進の選抜チームではありませんか。これでは、結論が従来の原発行け行けどんどんと変わらないのは当たり前ではありませんか。
 改めて、県民世論が公平に反映される委員会に改組し、議論のやり直しを求めたいと思いますが、知事の見解をお尋ねします。
 計画の中身は、アジア原子力フォーラム、FNCA会合など、まさに日本の原発業界の海外への原発輸出事業を後押しするような企画です。
 私たちは先日、内閣府の担当者と面会し、福島事故1周年で原発推進の会議をなぜ福井県で開催するのかとただしたところ、福井県から、ぜひ福井県で開催してほしいという要請があったからですと言われました。全く福島事故を受け、原発への不安を高める県民を裏切る行為であります。
 さらに、福井県国際原子力人材育成センターは、原発の導入を計画している国々の研修を行い、国際的に活躍できる原子力人材を育成するのが目的だと書かれております。まさに、安全性に疑問符がついた日本の原発を世界へ拡散する拠点に福井県をしようとするものであり、断じて許されません。
 改めて、期限を定めて原発をなくしてほしいという県民の声にこたえて、時代錯誤の強烈に原発を推進する福井県エネルギー研究開発拠点化計画の抜本的な見直しを求めるものであります。

 次に、原子力防災の問題です。
 知事は、福島事故を受けて、国が示した防災対策を講じるべき範囲の拡大と、原発の安全強化というのを二律背反でとらえておられるようです。
 しかし、例えば新潟県では、新潟県全域にヨウ素剤を配布する、活用する、そういう防災エリアとする案を先日発表いたしました。私も福島事故の惨状を見れば、福井県全域を原子力防災対策を講じるべきエリアとすべきと提案してきましたけれども、新潟県の考え方は、住民要求にもこたえたものだと思います。
 ところが、福井県はどうでしょうか。安全な原発にすると言っているのに、防災対策の範囲の拡大はおかしいなどと言っています。そして、福島事故を受けた暫定基準を求めていますが、まさに新たな原発安全神話を振りまくようなものではありませんか。
 先日、永平寺が主催して原発問題でのシンポジウムが開催されました。そこで、原発から45キロ離れている福島県飯舘村の酪農家の方が、飯舘の話を若狭のこととして受けとめてくださいと言われました。この被災地からの警告を重く受けとめなければなりません。
 新潟県の例も参考にして、県民の安全・安心に責任を持つ原子力防災計画をつくるつもりがあるのかないのか、知事が明確に御答弁ください。

 3点目に、原発事故時の放射能の拡散予測を行うSPEEDIについてお尋ねします。
 先日、県議会厚生常任委員会で敦賀の原子力保安検査官事務所でお話をお聞きしましたが、今の国の議論では、原子力防災にSPEEDIを活用しない方向になっているということです。
 しかし、モニタリングの充実とSPEEDIの役割は全く別であり、両方の充実が必要です。いわば、モニタリングというのは、雨が降ってきましたよというのと同様、実測値です。実際の観測です。SPEEDIは、午後から雨が降るでしょうというような予報・予測の意味があります。だから、単純に同心円の拡散予測ではなく、風向・風速などを計算し、その流れで予測するわけであります。知事として、このSPEEDIシステムの積極活用を国に求めるべきです。
 また、福井県庁のシステムは、現在原発から10キロの狭いエリアしか予測できません。しかし、システムとしては92キロ四方の計算ができるということですから、福井県庁のシステムも福井県全域をカバーするシステムにするとともに、国や県のホームページ上で「今、事故が起こったら」というシミュレーションもアップして、県民の原子力防災意識を高める内容にすべきではありませんか、お尋ねいたします。


 第二に、森林林業を軸とした地域産業について2点、提案と質問をいたします。
 福島原発事故を受けて、一層再生可能エネルギーの取り組みが進められ、太陽、風力、小水力、バイオマスなど、さまざまな発電様式とともに、熱の利用や省エネルギーなど、無限の可能性が広がっています。
 例えば、地熱発電ということになると場所は限られてきますが、地中熱利用ならどこでも可能性があります。実際、福井県の試験研究機関も先駆的な研究と実践を行っております。エネルギー利用をその形態のトータルで考えていくことを提案しておきます。
 ところで、福井のエネルギーの潜在可能性として森林資源は有望であり、福井県もことし2月に福井県木質バイオマス利用実態調査業務報告書を出しております。京都市などでは、本格的に行政として後押しして木質バイオマスを進めています。ペレット生産工場をつくり、公共施設の冷暖房、個人のペレットストーブ購入への補助制度などを行っています。
 また、高知県梼原町では、600キロワットの風力発電を2基つくり、もうけを森林間伐などに活用しています。間伐した所有者に1ヘクタール当たり10万円を交付し、間伐面積は以前の倍になっております。太陽光発電には上限80万円の補助制度、ペレットストーブには4分の1の補助制度をつくり、積極的に自然エネルギーの導入を進めています。木質バイオマスとしてペレット工場をつくり、昨年度は1,200トンを生産、温泉や老人ホームなどにペレット利用の冷暖房設置を進めています。さらに、地元の木材を活用して家を建てた場合に、最大で200万円の補助、施主が40歳以下の場合は300万円を補助する制度をつくり、木材の地産地消にも力を入れております。
 このような取り組みは、ことしの奈良県や和歌山県などの台風災害でも、山の荒れという問題が指摘されておりますが、地産地消の上でも大変重要です。間伐材を使うなど、採算がなかなか取れない課題がありますが、そういう分野だからこそ、森林組合などと協力して進めることが必要です。
 県として、森林組合や市町、環境NPOなどとも連携し、県内の間伐材や端材を活用しての木質ペレットの生産供給体制の確立、公共施設へのペレットボイラーの普及、個人普及促進のための補助金制度の創設などを一体的に考え、促進すべきではありませんか。

 さて、2点目は、森林林業を支える上で、川下の工務店、大工さんとの連携も必要です。福井県建築組合にお話をお聞きしますと、毎年100人程度の大工さんが転職や廃業をしていく現状にあり、現在会員は3,000名ほどに減少しているとのことです。このままではプレカットを扱った経験しかない職人ばかりとなり、将来の大震災後の復旧は、かつての福井大震災後のときのようには進まないと、こういう懸念があるそうです。
 まだ間に合う今こそ、県内の工務店や大工さんを支援して、技術の継承を図らなくてはなりません。そのための有効な政策として、全国的にも県や市が取り組み始めているのがリフォーム助成制度です。もちろん、福井県にも県産材活用や省エネなどの助成制度はあるわけですが、これら既存の制度を抜本拡充することを提案いたします。
 また、新築助成の要件も緩和すべきです。具体的には、「県庁の土木部、農林水産部にまたがっている窓口を一本化し、ワンストップで対応できる機構とし、書式ももっと簡便なものに改善すること」「新築助成の際の敷地面積基準200平米を、普通の個人住宅でも対象となるように150平米程度に引き下げること」「福井県内に主たる事務所があれば、仕様に条件をつけず、あらゆる住宅リフォーム工事に適用する助成制度とすること」など、福井の中小企業、大工さんを応援する地域活性化の起爆剤となるようにすべきではありませんか。
 住宅産業というのは、あらゆる業種が関係し、すそ野が広いわけです。他県の事例を見ても、経済効果は投資額の数十倍となり、業者支援、雇用維持拡大でも大きな効果です。これまで行っている自治体は全国で約300自治体と言われておりますが、新たに県段階でも佐賀県がスタートしましたし、長野県も新年度からの事業検討を始めております。
 福井県としても、おくれることなく取り組まれるよう、積極的な答弁を求めます。


 最後に、警察行政についてお尋ねします。
 まず、福井女子中学生殺人事件についてです。全国的にも大きく報道されましたが、一貫して無罪を訴えてこられた前川彰司さんに、再審開始の決定が出されました。私も支援団体の国民救援会の会員であり感慨無量でありますが、長年にわたる支援活動を物心両面で支え続けている多くの県民、弁護士など、関係者に敬意を表したいと思います。
 しかしながら、昨日、名古屋高検金沢支部は、再審を開始するとした名古屋高裁金沢支部の決定を不服として、名古屋高裁に異議を申し立てました。まだ苦しめるのかの怒りでいっぱいであります。
 この事件は、前川さんが犯行を否認し続け、本人自供がない事件であります。しかも、事件当時は家族と食事をしていたわけで、前川さんの指紋なども犯行現場では発見されず、確たる証拠にも欠けるものです。
 しかし、別の事件で逮捕されていた暴力団員が、みずからの減刑を不服とし、関係者にあたかも前川さんが犯人であるかのような偽証をさせたのです。この工作にも警察が関係していたと報道されております。再審に至るやっとの検察による証拠開示でも、ますます前川さんの無罪が裏づけられ、今回の決定となりました。犯行時間には家族と食事をしていたという無実の前川さんを、暴力団関係者の偽証に基づき、また誘導して殺人犯として逮捕し、本人と家族の人生を破壊した福井県警察の罪はまことに重いものがあります。お母さんは、息子さんの無罪を信じつつ亡くなられております。
 ことし、6月の国会でも、警察庁刑事局長は、年間160数万件の取り調べが行われておりますけれども、それに当たる一人一人の警察官の意識改革、これに引き続き努力をする必要があると答弁をされております。
 そこで、最近の足利事件や布川事件などの冤罪事件のように、再審開始が決定されるような事案を引き起こしたことについて、県警本部長の見解をお尋ねいたします。
 あわせて、冤罪事件を生み出す温床となっている密室の取り調べの可視化について質問します。
 今、世界ではイギリス、アメリカ、フランス、イタリア、オーストラリアなどで、取り調べの全過程の録音・録画がされ、可視化されています。また、イギリス、アメリカ、フランス、イタリア、オーストラリア、ドイツ、韓国などでは、取り調べに弁護人の立ち会いが認められています。
 日本は、可視化もされず、弁護人の立ち会いも認められず、冤罪が生まれやすい状況が続いております。国連の拷問禁止委員会は、日本には取り調べを規制する適切な制度が存在していないことを指摘し、可視化と弁護人の立ち会いを勧告しております。
 福井女子中学生殺人事件の前川さんも、取り調べにおいて警察官から暴力的な行為を受けたこと、また、取り調べにおいて誘導質問を受けたことなどを語っております。可視化は、警察による不法な取り調べを抑制することになり、冤罪事件を生まない一つの方策ではありませんか。また、警察の側から見ても、恣意的な取り調べなどを排除でき、過ちを防ぐことになるのではありませんか。明解な見解をお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。

◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。
    〔知事西川一誠君登壇〕

◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、エネルギー研究開発拠点化計画の御質問でございました。
 委員のメンバーといいましょうか、議論のやり方についての御質問でございました。
 現在、国会で審議されているベトナム等との原子力協定は、野田総理も、「福島事故の経験や教訓を国際社会と共有し、平和利用として安全性の高い技術を海外に提供することに意義がある」というような発言をしておられます。
 エネルギー政策は、冷静かつ慎重な議論が必要であり、資源が乏しい我が国では、原子力発電にかわる新たな電源確保の展望がなお見えない中で、「原子力はなお重要な基幹電源である」という認識を十分に理解した上で議論されていくべきかと思います。
 拠点化計画は、原子力そのものの将来ビジョン、エネルギービジョンとか、あるいは安全対策議論をする場ではなくて、原子力が集積する本県の特徴を最大限に生かしながら、地域の産業の活性化、嶺南、若狭地域を中心に、いかに長期的な振興が図れるか。それについて責任を持ち、また実行のできる人たちが集まって議論しているところであります。
 今回の会議では、福島の事故を受けて、さらに「原子力防災・危機管理機能の向上」を、「充実・強化分野」として推進することにいたしております。
 一方で、地域と原子力の自立的な連携を目指すという拠点化計画の基本方向は、こういう中で堅持しながら、エネルギーに関する国際的な研究開発、人材育成の拠点形成を進めていくという状況であります。
 それから、原子力の事故に関係いたしまして、他県の例も参考に、県民の安全・安心に責任を持つ原子力防災計画をつくるつもりがあるかということであります。
 30キロだとか全県をどうするかということについては、今、全く別の御質問もいただきましたけれども、この問題につきましては、福島事故における避難の実態はもとより、ヨウ素剤の配布など福島で実際にどの範囲で配り、だれが、どのように、どこまで摂取したか。また、その結果はどうであったかというのは今の状況でわからないんです。これをまず明らかにしなければ、この問題のしっかりした対応はできないと思います。
 また、国として大がかりな避難訓練の策定や広域調整にどのような主体的な役割を果たすかなどの方針についても残念ながら示されておりません。こうした状況では、地方だけで実効性のある原子力防災計画の策定、有効性を持った対策は厳しいんであります。
 県としては現在、モニタリングポストの県内全域への整備のほか、海上保安庁・自衛隊による原発周辺への着岸訓練の実施、避難計画の前提となる交通量予測の基礎調査など、独自の対策を進めているところであります。
 今後、さらに住民避難訓練の強化、避難経路、受け入れ先等を定めた避難計画の策定などさまざまな防災対策を着実に進め、県民の安全・安心が実際に確保されるよう、万全を期してまいりたいと、このように考えております。
 そのほかにつきましては、関係部長から答弁いたします。

◯議長(田中敏幸君) 安全環境部長石塚君。
    〔安全環境部長石塚博英君登壇〕

◯安全環境部長(石塚博英君) 私のほうからは、SPEEDIのシステムにつきまして、そのSPEEDIのシステムの積極活用を国に求めるべきではないか。また、福井県の全域をカバーするシステムへの更新でありますとか、シミュレーションのアップなどについてのお尋ねをいただきました。
 福島の原発事故を踏まえますと、原子力の災害時に迅速かつ的確な避難を実施いたしますためには、SPEEDIを積極的に活用いたしまして、予測範囲の拡大でありますとかシミュレーションのための事故想定など、システムの充実強化を図ることが重要であると考えております。
 県では、既に本年9月に文部科学大臣に対しまして、SPEEDIの充実強化につきまして強く要請し、11月24日に原子力安全委員会が本県に来県しておりますけれども、その際にも改めて強く求めたところでございます。
 今後は、さらに立地14道県で構成いたします「原子力発電団体協議会」や「全国知事会」を通じまして、国に強く要請をしていきたいと、このように考えております。

◯議長(田中敏幸君) 農林水産部長山田君。
    〔農林水産部長山田義彦君登壇〕

◯農林水産部長(山田義彦君) 私からは2点、お答えをさせていただきます。
 まず、県内の間伐材や端材を活用した木質ペレットストーブ、ボイラーの普及についてお尋ねがございました。
 平成14年12月に国が策定いたしましたバイオマス・ニッポン総合戦略に基づきまして、県内では四つの地区におきまして、バイオマスタウン構想を策定いたしますなど、木質バイオマスの有効利用を進めてきたところでございます。
 その結果、県内ではペレットストーブが民間施設で41台、公共施設で51台の合計92台、ペレットボイラー3台、まきストーブにつきましては、一般家庭に約1,000台普及いたしますとともに、木質ペレットにつきましては、3カ所で年間約300トンが現在生産されているところでございます。
 さらに、県では木質バイオマスの有効利用を進めますために、昨年度、外部委員によります検討を行いまして、原料となる間伐材の低コスト安定供給、及びストーブやボイラーなどの需要拡大というふうなものが課題として示されたところでもございます。このため、県内各地で需要と供給を結びつける推進体制をつくりますなど、総合的に木質バイオマスの利用促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、住宅の新築リフォームに対する助成についてお尋ねをいただきました。
 県では、県産材の利用拡大、また住宅市場の活用化を図りますために、県産材を使った住宅の新築やリフォームに対して支援を行っているところでございます。平成22年度の県の組織改正におきまして、農林水産部内に県産材住宅推進室を新たに設置いたしまして、県産材を利用した住宅への支援を一本化したところでございます。
 また、新築・リフォームの申請につきましては、申請する方の利便性への配慮もございまして、県内各農林、各土木の両事務所で受け付けを行いまして、申請書につきましても国の住宅エコポイント制度の書式を利用するなど、簡略化にも努めているところでございます。
 新築住宅の敷地面積の基準につきましては、平成21年度に200平米未満への支援も追加いたしました。さらに、平成22年度には、国の住宅エコポイント制度を活用いたしますなど事業の拡充も図りまして、今年度は新築住宅150棟、住宅リフォーム250件に支援させていただいているところでございます。
 今後とも、県産材の利用拡大を図りますために、地域の工務店、また大工さんが活用しやすい事業となりますように努めてまいりたいというふうに考えております。

◯議長(田中敏幸君) 警察本部長尾崎君。
    〔警察本部長尾崎徹君登壇〕

◯警察本部長(尾崎 徹君) 警察行政について、2点お答えいたします。
 最初に、福井女子中学生殺人事件についてでございますけれども、本事件は、平成9年11月、最高裁において有罪が確定し、その後平成16年7月に再審請求が出され、本年11月30日、名古屋高裁金沢支部において再審開始が決定されましたが、この決定については昨日、名古屋高等検察庁金沢支部が異議申し立てをしたと承知しております。この件につきましては、県警としてお答えすべき立場にございませんので、答弁は差し控えさせていただきます。
 次に、取り調べの可視化についてお答えいたします。
 取り調べの可視化につきましては、現在、国家公安委員会委員長が主催する外部有識者からなる研究会において、治安水準を落とすことのない可視化のあり方、捜査手法の高度化等について、幅広い観点から議論しているほか、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」においても、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するという観点から審議されているところでございます。
 この問題は、警察捜査や治安そのものに大きくかかわる極めて重要なものであることから、警察庁のほうでは、警察捜査の実情や研究会等における結果を踏まえ検討中でありまして、県警としても政府でどのような検討がなされているかを踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

◯議長(田中敏幸君) 質問時間が限られていますので、簡潔に願います。
 佐藤君。

◯7番(佐藤正雄君) 知事に再質問しますが、知事は今、拠点化計画の問題で安全議論ではなくて、地域の活性化が主題なんだとおっしゃったけれども、要するに地域をどうしていくかということが、今、私が壇上で紹介したようなメンバーの皆さんによって左右されてしまうんですよ。
 要するに、原発中心の地域活性化ということになって、選択肢が狭まっていくという問題があると思うので、そういう点では全体もうちょっと地域をどうするのかという議論を進めていく上でも、メンバーの構成は考えるべきだというのが1点、お尋ねします。
 それともう1点は、福島事故でヨウ素剤の活用などの状況がわからないから、今はなかなか進まないんだとおっしゃったけど、そこが問題なんですわ。要するに、これまでは範囲が10キロだったと。ところが、実際は30キロ、40キロも避難させられて避難所に行ったと、ヨウ素剤はないと。あるいは、福島県庁が段ボールで届けたけれども、服用できなかったと、これが大きな問題なんですよ。だから、やはり広く原子力防災意識を県民に徹底するということが大事なんじゃないですか。
 2点、簡潔にお尋ねします。

◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。

◯知事(西川一誠君) まず、拠点化計画につきましては、さっき申し上げましたような、問題を重点に、ターゲットに置いた協議会ですから、そのこと。ほかのことについてもいろいろ関連して行動すべき事項かもしれませんが、ここでそういうすべてのことを要求するのは、ちょっと難しいんじゃないかと思います。
 それから、防災の問題でありますけれども、これは今回の福島の避難の状況など、基本的な考え方をもとに対応しなければならないと思います。大事なことは、原発そのものの安全性をまずどうやって確保するのかということを先にしっかり決めた上で、その後のいろんな対応を並行し、あるいは関連づけながら議論するということが重要だと思います。
 そういうことを立地の市や町、福井県、住民の皆さんと一緒になって、福井県として考えていくと、こういうことがポイントになると、このように思います。


福井県議会での保安院の説明会開催に反対。開催されないことに。山本太郎さん、素敵な方ですねえ。

2012年02月23日 | Weblog
      昨日は県内でもさまざまな原発をめぐる動きがありましたが、


      NHK・・・県議会 安全対策説明は見送り

      原発の再稼働をめぐって地元の同意が焦点となる中、県議会は22日、各会派の代表者会議を開き、原子力安全・保安院がまとめた安全対策について、説明を受けるか話し合いましたが、「まだ県が求める安全基準が明確でない」として、見送ることを決めました。

県議会の各会派の代表者会議は、一部の議員から24日から始まる2月定例県議会に、国の原子力安全・保安院が福島第一原発の事故を受けてまとめた安全対策などについて説明を受けてはどうかという提案が出されたことから開かれたもので、各会派から11人の議員が集まりました。

会議は非公開で行われ、参加した議員によりますと「県が求める安全基準がまだ明確でない」とか、「説明を受けることで再稼働に向けて動いているように捉えられる可能性がある」などと慎重な意見が相次ぎ、保安院からの説明を見送ることを決めたということです。・・・・・



     この記事では「一部の議員」となっていますが自民党会派が正式に田中議長に要請し、田中議長が開会日の24日に原子力安全保安院の説明を聞く、として代表者会議に提案されました。

  しかし、民主党会派、山田議員、細川議員、そして私が、「この時期の開催には反対」を主張したため、見送られることになったものです。

      私も傍聴しましたが、20日の県の安全専門委員会の説明の内容ではまったく不十分なものでしたし、安全委員会委員長も「2次テストまでみないと・・・」などと言いだし、国の機構のなかでも、福井県の要請にきちんと答えられる状況ではありません。

そのような状況のなかで、議会だけが「説明を聞く」と言っても、無用な誤解を県民にあたえるだけだと思いますね。



               ★


      NHK・・・大飯原発再稼働反対で署名提出

      大飯原子力発電所の3・4号機の再稼働をめぐる議論が進められる中、22日、県内外の市民団体が県庁を訪れ、再稼働に反対する、あわせて5万7490人の署名を提出しました。署名を提出したのは、小浜市や若狭町、関西で活動する3つの市民団体で、各団体の代表など12人が県庁を訪れました。一行は、原子力安全対策課の岩永幹夫課長と面会、「福島の事故を受けて全国に不安が広がっている。この声を受け止めて欲しい」と述べて大飯原発3・4号機の再稼働に反対する署名を提出しました。市民団体によれば、去年の12月15日から、街頭活動やインターネットを通じて集めたもので、県内や関西を中心に47都道府県の署名だということです。

これに対し岩永課長は、「県民の安心安全を確保しながら再稼働の問題には対応していきたい」と応えていました。・・・・・・



     原発反対県民会議の中嶋さんや石地さんも参加され、県議会議事堂まで要望書をとどけてくださいました。お疲れ様です。がんばりましょう!


     議会が終わったあと、「一度お会いしたい」との要請をうけ、グリーンピースの佐藤潤一事務局長、高杉智之広報担当とお会いしました。田中議長とも懇談されたということで、議会の様子などをお話ししました。

     また、俳優の山本太郎さんもいらっしゃって原発のことや新幹線のことなど懇談しました。
なんと、集英社からだされた著書「脱原発  闘う役者の真実」のサイン本をいただきました!ありがとうございました!素敵な方ですねえ。
     敦賀の山本市議から頼まれていたことを思い出し、あつかましく「3.11は敦賀に来ていただけませんか」とお願いしましたが、「その日は青森なんです」・・・ということで残念でした。今日、明日は小浜市と福井市で「山本太郎と語るつどい」を開催するそうですので、お話ししたい方は参加されたらいいでしょうね。