2011年12月福井県議会予算特別委員会での質疑です。
「原子力行政について」 佐藤 正雄 委員
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤である。
まず、原子力問題を質問する。知事は読売新聞のインタビューに答えて、「原発の安全性を最高水準にするといいながら、安全対策を進めず、福島のような爆発事故が起こりかねないということを前提に、区域を国民に提示するということはおかしい」と述べている。新たな基準で点検されれば、原子力防災対策を拡大しないということもあり得るのだという考えなのか。
◯知 事 福島事故を教訓にすると、原子力防災対策の範囲、いわゆるEPZの見直しについては必要性を認識しており、県としては事故発生当初から国に要請しているところである。しかし、国の原子力安全委員会は、福島事故における住民避難の実態を十分に把握しているのかどうか、いまだ十分な公表をしていない。立地地域によって地理的条件等も異なるにもかかわらず、地元の意見も十分聞くに至っていない状況にある。
原発の新たな安全基準の方向性を示して、安全対策をしっかり立てずに、同心円の距離だけを先に示して、また具体的な防災対策については他の省庁に任せているなど、縦割りの検討が進んでおり、まだ福島の教訓を本当に生かしていない状況にある。このままでは地方だけで実効性のある原子力防災計画の策定は難しく、国は防災計画の範囲の科学的、合理的な根拠を明確にしながら、避難計画の策定、広域調整に主体的な役割を果たす必要があるという考えを持っている。
◯佐藤委員 福島事故について、住民避難の実態がまだ詳細に明らかになっていないという面もあると思うが、実際に放射能汚染がどの程度まで広がっているかというと、相当広範囲に広がっているということが明らかになっている。安全対策をいろいろ打つ前に事故が起こる可能性も否定できない。だから、7基の原発がある新潟県は、県内全域を原子力防災の範囲にするという案を、たたき台というか、案を先般示した。
新潟県の倍の14基もある福井県として、私は前から福井県全域をそういう防災対策の範囲として考える、それは逃げるとかそういうことだけにとどまらず、ヨウ素剤を配備しておくとかいろいろな意味で、そういう範囲にすべきだということを提案している。
◯知 事 防災計画についてはいろいろなレベルがあって、具体的な避難、そして避難行動にも段階がある。また、情報をどこまで提供するか、それはどんな情報のレベルになるか、それから今言われたヨウ素剤とか、医療関係などさまざまなことがあるので、現在の計画を充実しながら、今回の福島の事故を教訓にどこまで具体化できるか、そういうことを着実に進めていきたいと思う。なお、その前提として、現在の原発の安全について、どこが問題であったか、暫定的な状況についてもぜひ明らかにすべきだということを言っている。そういう状況である。
◯佐藤委員 例えば、滋賀県などは県独自に原発事故による放射能汚染のシミュレーションを行った。福井県の場合、滋賀県と違ってSPEEDIがあるし、そこと契約しているわけだから、そのシステムを活用して、もちろん今のシステムではだめで、広げてもらわないといけないが、シミュレーションはできるわけである。
だから、現実に、もしどこどこの原発でこういう事故が起こればどうなる、こちらの原発で事故が起こればこうなるという具体的なシミュレーションを何通りも示して、それを県民にも示し、県民の意見も聞き、県の防災計画を具体的につくる委員会にも反映させるというようにしないといけない。県民から見ると、一体どうなっているのか見えない。県庁が何をしようとしているのか見えない。少なくとも県民にわかりやすくするためには、そういうシミュレーションを出して、そのシミュレーションに基づいて、ここはやはり避難しなければいけないとか、ここはヨウ素剤を配備しようとか、そういうもうちょっとわかりやすい議論をしてはどうか。
◯危機対策監 被害想定というか、事故想定が前提になるが、福井県はSPEEDIというソフトを活用して、これまでも原子力防災訓練を行ってきた。そして、福島の事故を踏まえ、具体的な安全基準に基づいた安全対策を施して、それに基づいた事故想定というのはどうあるべきなのかということを国に求めていて、それに基づいたシミュレーション、あるいはSPEEDIの活用についても国に求めている。そういうことを前提にした防災対策、被害想定を立てていく必要があると考えている。
◯佐藤委員 そこが問題だと思う。要するに、新しい安全対策をすれば過酷事故は起こらないというように期待するのはわかる。もちろん我々も期待するし、県庁の皆さんも当然期待されるだろう。しかし、期待は期待としていろいろ議論があるように、想定外のいろいろな事態、地震だったり、あるいは知事が以前、今も言っているが、テロだったり、あるいは操作員のミスだったり、いろいろな事態が想定される中で事故は起こるわけである。これまでの原子力防災訓練は一日で終了しており、短時間で事態が収束できるという想定だった。今、9カ月たっている。200倍、300倍、400倍、500倍の想定が必要になるわけである。数時間で事故が収束できるという想定で福島県も福井県もこれまで原子力防災訓練を行っていた。だが、9カ月、10カ月たっても、全く収束のめどが立たない。何百倍もの想定が必要になるわけである。
だから、そういう安全対策に基づいて処置すれば、そういう想定に基づく大きな原子力防災計画とか訓練は必要でないという前提がおかしいのではないか。
◯危機対策監 先ほど知事も答弁したように、新たな基準があるから範囲の拡大が必要でないとか、そういう考え方ではない。安全対策と防災対策、防災対策は防災対策としてきちんと福島の知見を踏まえて、科学的、合理的に導き出されなければならないというのが県の基本的な考え方である。そこを国に主張している。
◯佐藤委員 いろいろ言われるが、内部から聞こえてくる話は違う。要するに、本当にそれぐらいの規模の、何十キロもの防災対策が必要になるということは考えたくない。そのようなことを考えるのであれば、原発は要らないという議論になるのではないかというようなことを内部では議論していると聞いている。だから、こういう議会の場での表向きの公式答弁と、実際、県庁内部でこういうことを考えたらどうなるのか、こんな計画をつくったらもう原発要らないという議論になるのではないか、そのようなことになると困るからなるべく狭くなるようにできないかとか、いろいろと慎重に、合理的にということをやっているようではだめだと思う。知事は原発が引き続き必要、私はなくしたほうがいいという立場の違いはあるが、ある以上、防災計画は必要である。実際に、福島事故を見れば、30キロどころか、100キロ、200キロ単位で放射能汚染が広がっている。それに備えた計画をつくるのは当然ではないか。
◯知 事 いろいろ推測でいろいろなことを言われると困る。それから、だれが賛成でだれが反対という、その一律な言い方も不適当だと思う。
◯佐藤委員 推測とかではなく、実際の議論をしている。実際の証言に基づいて議論しているわけである。
かつて、もう20年以上も前であるが、敦賀市に高木孝一という市長がいた。もちろん原発を推進していた方である。なぜ原子力防災計画をつくり、住民の避難訓練を行わないのかということを当時の高木市長と何度か話したことがある。そのとき高木元市長は、「共産党の言うことはわかる。わかるけれども、もし本当に共産党が言うような、住民が逃げ惑う必要があるような事故が起こったとすれば、防災計画というのは竹やり訓練だよ」と言われた。ある意味、原発を推進してきた市長、当事者である。原発が安全だと思ってはいるが、もしそういう過酷事故が起こったりしたら、行政がつくっているような計画は机上のペーパーで、役に立たないと言われた。福井県は、当時、住民参加の防災訓練を行っていなかった。12年前ぐらいまでは行っていなかったのである。12年ぐらい前になってようやく、県民からの声があって、いざというときには住民も逃げようと、こういう訓練を始めたのである。住民が実際に避難する訓練を原子力防災訓練で始めたのは福井県が日本で一番後だったのである。
今回、こういう事故を受け、滋賀県も真剣に考えている。新潟県も真剣に動き出している。そういうときに、また福井県が最後になってはだめである。そういう点では、きちんとした防災計画の案を県民に示し、県民の意見を聞いてはどうか。
◯危機対策監 県の原子力防災訓練の住民避難訓練は最後であるという指摘であるが、そもそも原子力防災訓練を始めたのは本県が最初である。もう一つは佐賀県であったかと思う。その間の経緯もいろいろあって、住民参加の訓練は、委員指摘の年次で行われたが、県の原子力防災訓練に対する取り組みというのは、全国的にも一番古い。そういう点もぜひ理解いただきたい。
◯佐藤委員 住民参加の訓練をしてこなかったことを僕は問題にしている。きょう問題にしているのは、住民が実際にどう避難するのか、どのようにヨウ素剤を服用するのかが求められているのだから、もっと早く県民にシミュレーションを提供して、県民の意見も聞いて、県民が合意できる計画をつくり、訓練をすべきではないかということを言っているのである。
◯知 事 いろいろな程度はあるが、全国的に見ても実効性のある防災訓練を国と協力しながら行っている。福井県が最も先進的な県であると思う。そこは理解願いたい。
今回の福島事故で大事な、大きな教訓は、福島の厳しい教訓を生かしていろいろ直すところは直すということをちゅうちょしないで行うということである。国が先頭に立って、我々も国に要請し、また我々のできることを可能な限り行うということが今回の教訓であり、それを今進めている。余り一方的に決めつけないで、いろいろなことを言っていただければありがたい。
◯佐藤委員 一方的に決めつけるのではなく、提案している。こういうことでいかがかと提案しているので、そこは理解いただきたい。
先日、保安院の方と話をした。今、PAZとかいろいろな区域をつくろうとしているが、こう言われて僕は驚いた。「いろいろあるが、小さい子供は、ヨウ素剤を飲ませるより逃がすのが先である」と。ヨウ素剤を配備するよりも逃がすのが先だというような考え方になると、ヨウ素剤の配備を拡大しようということになってこないと思う。逃げる前にヨウ素剤を飲んで逃げればいいわけであり、ヨウ素剤の配備と住民避難は全く矛盾しないと思う。原発がある以上、きちんと防災訓練の計画を立てるということは矛盾しない。ヨウ素剤を服用して逃げるため、実際に避難をしなければいけない区域をいろいろ想定すること、例えばフランスは各家々にヨウ素剤を配備している。実際の原発事故は昼に起こるか、夜に起こるか、いつ起こるかわからないので、まず家に置くとか、いろいろなやり方をしているわけであり、やはりそういうようなところを福井県は、ある意味、知事が言ったように先進県だと言うのであれば、国がおかしなことを考えていることに対してはそうではない、県民、子供の健康を守るために福井県はこうするのだというように、もっと積極的に打ち出すべきである。今は敦賀と小浜の2カ所に固めて置いているだけであり、これでは実効性がない。
◯健康福祉部長 ヨウ素剤の配備については、今、国でもいろいろな事例を参考に、ヨウ素剤を配備してどのように運用するとか、服用するとか、そういう医学的な部分も含めて検討している。その辺については、私どもも現地に赴いた医師とその手法を検討しているが、配備については、どこまで影響するかとか、そういう部分を見ないとわからないのが現状である。
◯佐藤委員 旧ソ連のチェルノブイリ原発等はそれで失敗した。放射能が漏れる事故があったときには一刻も早く服用すべきというのが当然の基準になっている。それに基づいて対応願いたい。
次に、地震の関係と安全対策の問題であるが、東京大学の地震研究所教授で総合資源エネルギー調査会の「地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループ委員」を務めていた纐纈一起先生がこう言っている。「若狭湾原発群の安全審査では、2007年の新潟中越沖地震を受けたバックチェックを審査したときに敦賀原発ともんじゅの地盤の減衰定数が問題になったことがあった。作業部会に出された資料では、減衰定数にひどく大きい値が与えられていて、すなわち、原子炉に到達する揺れが小さくなる計算をしていて、こんなのでいいのかと委員の方から意見が続出して大紛糾したが、関西電力が、美浜原発などの審査に備えて裏で糸を引いていたことが背景にあることがわかった。」と。当時の政府の委員がこのように述べている。
耐震バックチェックの信頼性、原発の耐震安全性、そういう根本を揺るがす、これまでもいろいろなやらせ問題が次々出てきているからこういうことがあってもおかしくはないといえばそれまでになってしまうかもしれないが、耐震安全性の信頼性を根本から揺るがすような事態ではないか。
◯安全環境部長 纐纈教授がどのように言われたか、直接、私どもは把握してないが、今お尋ねの耐震については、平成18年9月に改定された耐震の設計審査指針に基づき、保安院の審査会において議論されたときのものだと思う。そのときはオープンな議論により再評価が行われていて、議論の結果、地震の揺れが震源から離れるにつれ、どれだけ弱まるかという割合を示すのが減衰定数であるが、敦賀半島の地盤については、当初評価された値よりも小さく見直すこととして、審査会において了承された。さらに保安院は平成22年3月、耐震安全性が確保されることを確認し、原子力安全委員会においてもこの評価は適切であると確認された。こういう経過だと理解している。
今回の事故を踏まえ、国は県内事業者に対して、天正地震に対する津波の評価、周辺斜面の安定性の評価、浦底断層の建屋などへの影響評価などを指示していて、これらの指示に対する事業者の対応、国の審査状況を注視していきたい。県としては、こういう立場である。
◯佐藤委員 具体的に政府が今回の福島の事故を見て、どう言っているのか、紹介したい。私は11月22日に保安院の方とお会いし、知事が求めている要望に対してどのように考えているかというあたりをいろいろと聞いた。その後、いろいろな変化はあるかもしれないが、私が先月22日の時点で聞いた話はこうであった。まず、耐震安全については二つの確認をしているとのことである。「プラントパラメーターでは、直後に配管に損傷はなかった。地震応答解析でも機器の損傷はなかった。ただ、SSを上回る加速度が観測されていたので、きちんと現場は見ていきたい」ということで、福島第一原発5号機を実際に調べてみたいということであった。もう一つ、地震の点では、「活断層の真上への原発の設置は認めていない。それ以外は安全である」と言われて、「敦賀原発、美浜原発、もんじゅはそれぞれ原発の基礎マットの直下には活断層はないので安全である」と答えていた。それから、高経年化については、「原子力安全委員会が指針改定を行うが、新たな知見には至っておらず、高経年化と事故の関係の新たな知見には至っていない。これまでの枠組みで対応できるとなれば、これまでの枠組みで対応する」とのことである。
だから、政府というか、保安院からの回答は、福島事故を受け、実際の現場はどうなっているのかと思うようなものなのである。要は、福井県においても言われたが、「地震の影響はなかった。それから敦賀半島の原発も活断層の真上にあるわけではないから安全だ。高経年化については、新たな知見はないので、これまでの枠組みで対応できるかもしれない」と、こんなことを言っているわけである。
福島原発事故というような大きな事故が起こったにもかかわらず、このような官庁がストレステストを受け取って審査したことは、県民から見れば全く信用できない。これまでのいろいろな耐震チェックにしても、国は全く反省していない。福島原発事故を受けて本当に真剣に取り組むというような態度に国は欠けているのではないか。このような国の姿勢を信用できるのか。
◯知 事 国の検討状況と佐藤議員がどのような話をしているのか、その辺の関係はよくわからないが、それはそれとして、今回の地震による地殻変動とか、地震の発生状況の変化などを踏まえた断層の再評価については、国の地震・津波に関する意見聴取会において、我々が申し上げたことも反映していると思うが、審議されていて、審議の状況を注視し、必要な対応をしたいというのが我々の考えである。
◯佐藤委員 原子力行政の最後にお尋ねしたい。かつて栗田知事のときの原子力のいろいろな進め方を見ると、国民合意ということを一つのポイントに挙げ、敦賀原発の増設を認めるとか、プルサーマルの計画を認めるとか、そういう経過があったと思う。今、承知のように、福島の事故を受け、国民世論は大きくさま変わりをして、原発はもうやめてほしいとか、これ以上ふやしてほしくないという国民が多数を占めるようになった状況がある。県民の中にもそういう声がたくさんあるというのは知事も承知のとおりだと思うが、いずれにしても、今後原子力行政を進めていく上で、知事は国民合意の尊重とか、あるいは県民合意の仕方というのものをどのように考えるのか。
◯知 事 原子力行政については、原発の安全確保を第一に、地域の恒久的な振興、それに基づく県民、国民の合意形成、この三つの柱が基本だと思う。
◯佐藤委員 今後、例えば、敦賀原発の増設問題とか再稼働問題とか、いろいろなテーマがある。再稼働問題でも、先ほどいろいろな議論があったが、県民に福井県として、例えばアンケートをとる、そういう調査をする、原子力行政、再稼働問題だけでアンケートをとる必要はないであろうが、県民に直接聞き、それを県の政策に反映していくということぐらいはどうしても必要だと思う。福島事故を受けての県民説明会を行ってはどうかとか、これまでいろいろな提案をしてきた。説明会を行って、直接意見を聞くということも大事であろうし、いろいろな手法はある。県庁に県民アンケートの手法はあるわけだから、やはりこの機会にそういうアンケート調査、県民調査ということで、意向を聞いて県の政策に反映することが必要ではないか。
◯知 事 住民の信頼の確保について事業者は、本県の要請にこたえ、福島事故を受けた緊急安全対策について、新聞広告、チラシの配付、住民説明会などを通し、情報公開や県民の理解に努めている。形式的な形だけのいろいろなことを行うと、いろいろな課題があったというのも事実であり、実質的に、さまざまな機会を通して、こういう問題に対応することになると思う。また、県の広報紙を配布するほか、県内の放射性部物質の測定結果なども充実し、広報している。さらに国や事業者の安全対策については、県原子力安全専門委員会や安全検証委員会を独自につくり、これを公開し、県民が直接理解できる形で広報しているところである。今後とも、さまざまな手段を通して、市や町とも相談しながら、住民の声を十分聞いてまいりたい。
◯佐藤委員 県として直接県民の声を聞くという姿勢が弱いように思う。やはりそういうことを重視してやってほしい。
「教育行政について」
◯佐藤委員 教育行政について、最初に福井県立大学の関係でお尋ねする。福井県大学等学術振興基金の額と、その拠出元がどこかという点を尋ねる。それと合わせ、最近、県立大学の中で、教員評価のシステムの押しつけをめぐって学内で反発が起こったと聞く。その内容と理由等について尋ねる。
◯総務部長 まず1点目の財団法人の福井県大学等学術振興基金であるが、これは平成4年度、県立大学を設立した年に設置している。財産としては23億1,500万円で、県と県内の28の事業所が出資している。県立大学の研究費等に活用しているところである。
現在、県立大学の中で、教員評価システムについての見直しの議論が進んでいる点についてであるが、まず、県立大学の教員の研究活動については、毎年、外部評価委員において、業務実績の評価を受けている。昨年度もほとんどの部分については目標を達成しているが、やはり研究活動をもう少し強化する必要があるという指摘を受けていることも背景にあって、現行の教員評価システムを見直し、教員研究費の配分などに反映していくということで、研究面での競争力を高めながら、今非常に厳しくなっている大学の改革を進めていくことが必要であることから、見直し案をこの8月に提示し、議論されているところである。
その具体的な内容については、教育活動、研究業績を具体的な学術論文集や授業の時間といった客観的な指標で示したいということで、それについては学部とか学科によって多少異なるので、そのあたりについて、現在、各学部と協議、検討を進めている。
◯佐藤委員 実際にはちょっと修正されたみたいであるが、最初は、これまでの研究費を4割カットというと失礼だが、カットしてほかに使うというようなことで大分、混乱もあったようである。だから、直接、全部県が責任を持っているわけではないかもしれないが、丁寧にやらないといけない。学問研究の場に手を突っ込んで予算をとるというやり方はよくないと思う。
最初の学術振興基金は23億円余で、3月に解散することも検討されていると聞くが、いろいろな研究活動の充実とかを考えると、解散する理由があるのかどうか。また、解散した後、その資金がどうなるのか。そのあたりはどうか。
◯総務部長 今、公益法人の制度改革があるので、そういったことも踏まえながら、どういった形でこれからこの基金を運用管理していくかを議論している。財団法人という形でなく、例えば大学法人の中で運用するとか、その手法について現在検討を進めており、研究費については、引き続き、そういったところで確保していきたい。
◯佐藤委員 最後に教育長に尋ねる。
若狭地域の高校再編についてはいろいろな議論がある。私どものところに若狭東高校の同窓会から手紙が来るとか、いろいろなことが起こっている。これだけ百花繚乱の状態で、今、スケジュールをつくって、県の教育委員会の案で推し進めるというようなやり方は、一たん、いろいろな議論を集約するという意味でも見直すべきではないか。無理に進めるべきではないと思うが、見解を尋ねる。
◯教育長 私もこのところ、夜は小浜のほうへ行っていて、きのうも若狭町から高浜町までの教育関係者、それから一昨日は同じく小・中学校の保護者100人近くに集まってもらって、丁寧に意見交換や説明をした。特に保護者の中には、これから若狭地区の様々な課題を解決して、充実していってほしいという思いが非常に強かったと思う。このような課題を解決するためにも、先送りするのではなく、やはり年度内をめどに私どもの最終的な案を示していきたいと考えている。
◯佐藤委員 そういうスケジュールありきで進めることは見直してほしいということを再度要望して終わる。
◯斉藤委員長 以上で、佐藤君の質疑は終了した。
ここで休憩する。再開は午後1時5分とする。
「原子力行政について」 佐藤 正雄 委員
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤である。
まず、原子力問題を質問する。知事は読売新聞のインタビューに答えて、「原発の安全性を最高水準にするといいながら、安全対策を進めず、福島のような爆発事故が起こりかねないということを前提に、区域を国民に提示するということはおかしい」と述べている。新たな基準で点検されれば、原子力防災対策を拡大しないということもあり得るのだという考えなのか。
◯知 事 福島事故を教訓にすると、原子力防災対策の範囲、いわゆるEPZの見直しについては必要性を認識しており、県としては事故発生当初から国に要請しているところである。しかし、国の原子力安全委員会は、福島事故における住民避難の実態を十分に把握しているのかどうか、いまだ十分な公表をしていない。立地地域によって地理的条件等も異なるにもかかわらず、地元の意見も十分聞くに至っていない状況にある。
原発の新たな安全基準の方向性を示して、安全対策をしっかり立てずに、同心円の距離だけを先に示して、また具体的な防災対策については他の省庁に任せているなど、縦割りの検討が進んでおり、まだ福島の教訓を本当に生かしていない状況にある。このままでは地方だけで実効性のある原子力防災計画の策定は難しく、国は防災計画の範囲の科学的、合理的な根拠を明確にしながら、避難計画の策定、広域調整に主体的な役割を果たす必要があるという考えを持っている。
◯佐藤委員 福島事故について、住民避難の実態がまだ詳細に明らかになっていないという面もあると思うが、実際に放射能汚染がどの程度まで広がっているかというと、相当広範囲に広がっているということが明らかになっている。安全対策をいろいろ打つ前に事故が起こる可能性も否定できない。だから、7基の原発がある新潟県は、県内全域を原子力防災の範囲にするという案を、たたき台というか、案を先般示した。
新潟県の倍の14基もある福井県として、私は前から福井県全域をそういう防災対策の範囲として考える、それは逃げるとかそういうことだけにとどまらず、ヨウ素剤を配備しておくとかいろいろな意味で、そういう範囲にすべきだということを提案している。
◯知 事 防災計画についてはいろいろなレベルがあって、具体的な避難、そして避難行動にも段階がある。また、情報をどこまで提供するか、それはどんな情報のレベルになるか、それから今言われたヨウ素剤とか、医療関係などさまざまなことがあるので、現在の計画を充実しながら、今回の福島の事故を教訓にどこまで具体化できるか、そういうことを着実に進めていきたいと思う。なお、その前提として、現在の原発の安全について、どこが問題であったか、暫定的な状況についてもぜひ明らかにすべきだということを言っている。そういう状況である。
◯佐藤委員 例えば、滋賀県などは県独自に原発事故による放射能汚染のシミュレーションを行った。福井県の場合、滋賀県と違ってSPEEDIがあるし、そこと契約しているわけだから、そのシステムを活用して、もちろん今のシステムではだめで、広げてもらわないといけないが、シミュレーションはできるわけである。
だから、現実に、もしどこどこの原発でこういう事故が起こればどうなる、こちらの原発で事故が起こればこうなるという具体的なシミュレーションを何通りも示して、それを県民にも示し、県民の意見も聞き、県の防災計画を具体的につくる委員会にも反映させるというようにしないといけない。県民から見ると、一体どうなっているのか見えない。県庁が何をしようとしているのか見えない。少なくとも県民にわかりやすくするためには、そういうシミュレーションを出して、そのシミュレーションに基づいて、ここはやはり避難しなければいけないとか、ここはヨウ素剤を配備しようとか、そういうもうちょっとわかりやすい議論をしてはどうか。
◯危機対策監 被害想定というか、事故想定が前提になるが、福井県はSPEEDIというソフトを活用して、これまでも原子力防災訓練を行ってきた。そして、福島の事故を踏まえ、具体的な安全基準に基づいた安全対策を施して、それに基づいた事故想定というのはどうあるべきなのかということを国に求めていて、それに基づいたシミュレーション、あるいはSPEEDIの活用についても国に求めている。そういうことを前提にした防災対策、被害想定を立てていく必要があると考えている。
◯佐藤委員 そこが問題だと思う。要するに、新しい安全対策をすれば過酷事故は起こらないというように期待するのはわかる。もちろん我々も期待するし、県庁の皆さんも当然期待されるだろう。しかし、期待は期待としていろいろ議論があるように、想定外のいろいろな事態、地震だったり、あるいは知事が以前、今も言っているが、テロだったり、あるいは操作員のミスだったり、いろいろな事態が想定される中で事故は起こるわけである。これまでの原子力防災訓練は一日で終了しており、短時間で事態が収束できるという想定だった。今、9カ月たっている。200倍、300倍、400倍、500倍の想定が必要になるわけである。数時間で事故が収束できるという想定で福島県も福井県もこれまで原子力防災訓練を行っていた。だが、9カ月、10カ月たっても、全く収束のめどが立たない。何百倍もの想定が必要になるわけである。
だから、そういう安全対策に基づいて処置すれば、そういう想定に基づく大きな原子力防災計画とか訓練は必要でないという前提がおかしいのではないか。
◯危機対策監 先ほど知事も答弁したように、新たな基準があるから範囲の拡大が必要でないとか、そういう考え方ではない。安全対策と防災対策、防災対策は防災対策としてきちんと福島の知見を踏まえて、科学的、合理的に導き出されなければならないというのが県の基本的な考え方である。そこを国に主張している。
◯佐藤委員 いろいろ言われるが、内部から聞こえてくる話は違う。要するに、本当にそれぐらいの規模の、何十キロもの防災対策が必要になるということは考えたくない。そのようなことを考えるのであれば、原発は要らないという議論になるのではないかというようなことを内部では議論していると聞いている。だから、こういう議会の場での表向きの公式答弁と、実際、県庁内部でこういうことを考えたらどうなるのか、こんな計画をつくったらもう原発要らないという議論になるのではないか、そのようなことになると困るからなるべく狭くなるようにできないかとか、いろいろと慎重に、合理的にということをやっているようではだめだと思う。知事は原発が引き続き必要、私はなくしたほうがいいという立場の違いはあるが、ある以上、防災計画は必要である。実際に、福島事故を見れば、30キロどころか、100キロ、200キロ単位で放射能汚染が広がっている。それに備えた計画をつくるのは当然ではないか。
◯知 事 いろいろ推測でいろいろなことを言われると困る。それから、だれが賛成でだれが反対という、その一律な言い方も不適当だと思う。
◯佐藤委員 推測とかではなく、実際の議論をしている。実際の証言に基づいて議論しているわけである。
かつて、もう20年以上も前であるが、敦賀市に高木孝一という市長がいた。もちろん原発を推進していた方である。なぜ原子力防災計画をつくり、住民の避難訓練を行わないのかということを当時の高木市長と何度か話したことがある。そのとき高木元市長は、「共産党の言うことはわかる。わかるけれども、もし本当に共産党が言うような、住民が逃げ惑う必要があるような事故が起こったとすれば、防災計画というのは竹やり訓練だよ」と言われた。ある意味、原発を推進してきた市長、当事者である。原発が安全だと思ってはいるが、もしそういう過酷事故が起こったりしたら、行政がつくっているような計画は机上のペーパーで、役に立たないと言われた。福井県は、当時、住民参加の防災訓練を行っていなかった。12年前ぐらいまでは行っていなかったのである。12年ぐらい前になってようやく、県民からの声があって、いざというときには住民も逃げようと、こういう訓練を始めたのである。住民が実際に避難する訓練を原子力防災訓練で始めたのは福井県が日本で一番後だったのである。
今回、こういう事故を受け、滋賀県も真剣に考えている。新潟県も真剣に動き出している。そういうときに、また福井県が最後になってはだめである。そういう点では、きちんとした防災計画の案を県民に示し、県民の意見を聞いてはどうか。
◯危機対策監 県の原子力防災訓練の住民避難訓練は最後であるという指摘であるが、そもそも原子力防災訓練を始めたのは本県が最初である。もう一つは佐賀県であったかと思う。その間の経緯もいろいろあって、住民参加の訓練は、委員指摘の年次で行われたが、県の原子力防災訓練に対する取り組みというのは、全国的にも一番古い。そういう点もぜひ理解いただきたい。
◯佐藤委員 住民参加の訓練をしてこなかったことを僕は問題にしている。きょう問題にしているのは、住民が実際にどう避難するのか、どのようにヨウ素剤を服用するのかが求められているのだから、もっと早く県民にシミュレーションを提供して、県民の意見も聞いて、県民が合意できる計画をつくり、訓練をすべきではないかということを言っているのである。
◯知 事 いろいろな程度はあるが、全国的に見ても実効性のある防災訓練を国と協力しながら行っている。福井県が最も先進的な県であると思う。そこは理解願いたい。
今回の福島事故で大事な、大きな教訓は、福島の厳しい教訓を生かしていろいろ直すところは直すということをちゅうちょしないで行うということである。国が先頭に立って、我々も国に要請し、また我々のできることを可能な限り行うということが今回の教訓であり、それを今進めている。余り一方的に決めつけないで、いろいろなことを言っていただければありがたい。
◯佐藤委員 一方的に決めつけるのではなく、提案している。こういうことでいかがかと提案しているので、そこは理解いただきたい。
先日、保安院の方と話をした。今、PAZとかいろいろな区域をつくろうとしているが、こう言われて僕は驚いた。「いろいろあるが、小さい子供は、ヨウ素剤を飲ませるより逃がすのが先である」と。ヨウ素剤を配備するよりも逃がすのが先だというような考え方になると、ヨウ素剤の配備を拡大しようということになってこないと思う。逃げる前にヨウ素剤を飲んで逃げればいいわけであり、ヨウ素剤の配備と住民避難は全く矛盾しないと思う。原発がある以上、きちんと防災訓練の計画を立てるということは矛盾しない。ヨウ素剤を服用して逃げるため、実際に避難をしなければいけない区域をいろいろ想定すること、例えばフランスは各家々にヨウ素剤を配備している。実際の原発事故は昼に起こるか、夜に起こるか、いつ起こるかわからないので、まず家に置くとか、いろいろなやり方をしているわけであり、やはりそういうようなところを福井県は、ある意味、知事が言ったように先進県だと言うのであれば、国がおかしなことを考えていることに対してはそうではない、県民、子供の健康を守るために福井県はこうするのだというように、もっと積極的に打ち出すべきである。今は敦賀と小浜の2カ所に固めて置いているだけであり、これでは実効性がない。
◯健康福祉部長 ヨウ素剤の配備については、今、国でもいろいろな事例を参考に、ヨウ素剤を配備してどのように運用するとか、服用するとか、そういう医学的な部分も含めて検討している。その辺については、私どもも現地に赴いた医師とその手法を検討しているが、配備については、どこまで影響するかとか、そういう部分を見ないとわからないのが現状である。
◯佐藤委員 旧ソ連のチェルノブイリ原発等はそれで失敗した。放射能が漏れる事故があったときには一刻も早く服用すべきというのが当然の基準になっている。それに基づいて対応願いたい。
次に、地震の関係と安全対策の問題であるが、東京大学の地震研究所教授で総合資源エネルギー調査会の「地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループ委員」を務めていた纐纈一起先生がこう言っている。「若狭湾原発群の安全審査では、2007年の新潟中越沖地震を受けたバックチェックを審査したときに敦賀原発ともんじゅの地盤の減衰定数が問題になったことがあった。作業部会に出された資料では、減衰定数にひどく大きい値が与えられていて、すなわち、原子炉に到達する揺れが小さくなる計算をしていて、こんなのでいいのかと委員の方から意見が続出して大紛糾したが、関西電力が、美浜原発などの審査に備えて裏で糸を引いていたことが背景にあることがわかった。」と。当時の政府の委員がこのように述べている。
耐震バックチェックの信頼性、原発の耐震安全性、そういう根本を揺るがす、これまでもいろいろなやらせ問題が次々出てきているからこういうことがあってもおかしくはないといえばそれまでになってしまうかもしれないが、耐震安全性の信頼性を根本から揺るがすような事態ではないか。
◯安全環境部長 纐纈教授がどのように言われたか、直接、私どもは把握してないが、今お尋ねの耐震については、平成18年9月に改定された耐震の設計審査指針に基づき、保安院の審査会において議論されたときのものだと思う。そのときはオープンな議論により再評価が行われていて、議論の結果、地震の揺れが震源から離れるにつれ、どれだけ弱まるかという割合を示すのが減衰定数であるが、敦賀半島の地盤については、当初評価された値よりも小さく見直すこととして、審査会において了承された。さらに保安院は平成22年3月、耐震安全性が確保されることを確認し、原子力安全委員会においてもこの評価は適切であると確認された。こういう経過だと理解している。
今回の事故を踏まえ、国は県内事業者に対して、天正地震に対する津波の評価、周辺斜面の安定性の評価、浦底断層の建屋などへの影響評価などを指示していて、これらの指示に対する事業者の対応、国の審査状況を注視していきたい。県としては、こういう立場である。
◯佐藤委員 具体的に政府が今回の福島の事故を見て、どう言っているのか、紹介したい。私は11月22日に保安院の方とお会いし、知事が求めている要望に対してどのように考えているかというあたりをいろいろと聞いた。その後、いろいろな変化はあるかもしれないが、私が先月22日の時点で聞いた話はこうであった。まず、耐震安全については二つの確認をしているとのことである。「プラントパラメーターでは、直後に配管に損傷はなかった。地震応答解析でも機器の損傷はなかった。ただ、SSを上回る加速度が観測されていたので、きちんと現場は見ていきたい」ということで、福島第一原発5号機を実際に調べてみたいということであった。もう一つ、地震の点では、「活断層の真上への原発の設置は認めていない。それ以外は安全である」と言われて、「敦賀原発、美浜原発、もんじゅはそれぞれ原発の基礎マットの直下には活断層はないので安全である」と答えていた。それから、高経年化については、「原子力安全委員会が指針改定を行うが、新たな知見には至っておらず、高経年化と事故の関係の新たな知見には至っていない。これまでの枠組みで対応できるとなれば、これまでの枠組みで対応する」とのことである。
だから、政府というか、保安院からの回答は、福島事故を受け、実際の現場はどうなっているのかと思うようなものなのである。要は、福井県においても言われたが、「地震の影響はなかった。それから敦賀半島の原発も活断層の真上にあるわけではないから安全だ。高経年化については、新たな知見はないので、これまでの枠組みで対応できるかもしれない」と、こんなことを言っているわけである。
福島原発事故というような大きな事故が起こったにもかかわらず、このような官庁がストレステストを受け取って審査したことは、県民から見れば全く信用できない。これまでのいろいろな耐震チェックにしても、国は全く反省していない。福島原発事故を受けて本当に真剣に取り組むというような態度に国は欠けているのではないか。このような国の姿勢を信用できるのか。
◯知 事 国の検討状況と佐藤議員がどのような話をしているのか、その辺の関係はよくわからないが、それはそれとして、今回の地震による地殻変動とか、地震の発生状況の変化などを踏まえた断層の再評価については、国の地震・津波に関する意見聴取会において、我々が申し上げたことも反映していると思うが、審議されていて、審議の状況を注視し、必要な対応をしたいというのが我々の考えである。
◯佐藤委員 原子力行政の最後にお尋ねしたい。かつて栗田知事のときの原子力のいろいろな進め方を見ると、国民合意ということを一つのポイントに挙げ、敦賀原発の増設を認めるとか、プルサーマルの計画を認めるとか、そういう経過があったと思う。今、承知のように、福島の事故を受け、国民世論は大きくさま変わりをして、原発はもうやめてほしいとか、これ以上ふやしてほしくないという国民が多数を占めるようになった状況がある。県民の中にもそういう声がたくさんあるというのは知事も承知のとおりだと思うが、いずれにしても、今後原子力行政を進めていく上で、知事は国民合意の尊重とか、あるいは県民合意の仕方というのものをどのように考えるのか。
◯知 事 原子力行政については、原発の安全確保を第一に、地域の恒久的な振興、それに基づく県民、国民の合意形成、この三つの柱が基本だと思う。
◯佐藤委員 今後、例えば、敦賀原発の増設問題とか再稼働問題とか、いろいろなテーマがある。再稼働問題でも、先ほどいろいろな議論があったが、県民に福井県として、例えばアンケートをとる、そういう調査をする、原子力行政、再稼働問題だけでアンケートをとる必要はないであろうが、県民に直接聞き、それを県の政策に反映していくということぐらいはどうしても必要だと思う。福島事故を受けての県民説明会を行ってはどうかとか、これまでいろいろな提案をしてきた。説明会を行って、直接意見を聞くということも大事であろうし、いろいろな手法はある。県庁に県民アンケートの手法はあるわけだから、やはりこの機会にそういうアンケート調査、県民調査ということで、意向を聞いて県の政策に反映することが必要ではないか。
◯知 事 住民の信頼の確保について事業者は、本県の要請にこたえ、福島事故を受けた緊急安全対策について、新聞広告、チラシの配付、住民説明会などを通し、情報公開や県民の理解に努めている。形式的な形だけのいろいろなことを行うと、いろいろな課題があったというのも事実であり、実質的に、さまざまな機会を通して、こういう問題に対応することになると思う。また、県の広報紙を配布するほか、県内の放射性部物質の測定結果なども充実し、広報している。さらに国や事業者の安全対策については、県原子力安全専門委員会や安全検証委員会を独自につくり、これを公開し、県民が直接理解できる形で広報しているところである。今後とも、さまざまな手段を通して、市や町とも相談しながら、住民の声を十分聞いてまいりたい。
◯佐藤委員 県として直接県民の声を聞くという姿勢が弱いように思う。やはりそういうことを重視してやってほしい。
「教育行政について」
◯佐藤委員 教育行政について、最初に福井県立大学の関係でお尋ねする。福井県大学等学術振興基金の額と、その拠出元がどこかという点を尋ねる。それと合わせ、最近、県立大学の中で、教員評価のシステムの押しつけをめぐって学内で反発が起こったと聞く。その内容と理由等について尋ねる。
◯総務部長 まず1点目の財団法人の福井県大学等学術振興基金であるが、これは平成4年度、県立大学を設立した年に設置している。財産としては23億1,500万円で、県と県内の28の事業所が出資している。県立大学の研究費等に活用しているところである。
現在、県立大学の中で、教員評価システムについての見直しの議論が進んでいる点についてであるが、まず、県立大学の教員の研究活動については、毎年、外部評価委員において、業務実績の評価を受けている。昨年度もほとんどの部分については目標を達成しているが、やはり研究活動をもう少し強化する必要があるという指摘を受けていることも背景にあって、現行の教員評価システムを見直し、教員研究費の配分などに反映していくということで、研究面での競争力を高めながら、今非常に厳しくなっている大学の改革を進めていくことが必要であることから、見直し案をこの8月に提示し、議論されているところである。
その具体的な内容については、教育活動、研究業績を具体的な学術論文集や授業の時間といった客観的な指標で示したいということで、それについては学部とか学科によって多少異なるので、そのあたりについて、現在、各学部と協議、検討を進めている。
◯佐藤委員 実際にはちょっと修正されたみたいであるが、最初は、これまでの研究費を4割カットというと失礼だが、カットしてほかに使うというようなことで大分、混乱もあったようである。だから、直接、全部県が責任を持っているわけではないかもしれないが、丁寧にやらないといけない。学問研究の場に手を突っ込んで予算をとるというやり方はよくないと思う。
最初の学術振興基金は23億円余で、3月に解散することも検討されていると聞くが、いろいろな研究活動の充実とかを考えると、解散する理由があるのかどうか。また、解散した後、その資金がどうなるのか。そのあたりはどうか。
◯総務部長 今、公益法人の制度改革があるので、そういったことも踏まえながら、どういった形でこれからこの基金を運用管理していくかを議論している。財団法人という形でなく、例えば大学法人の中で運用するとか、その手法について現在検討を進めており、研究費については、引き続き、そういったところで確保していきたい。
◯佐藤委員 最後に教育長に尋ねる。
若狭地域の高校再編についてはいろいろな議論がある。私どものところに若狭東高校の同窓会から手紙が来るとか、いろいろなことが起こっている。これだけ百花繚乱の状態で、今、スケジュールをつくって、県の教育委員会の案で推し進めるというようなやり方は、一たん、いろいろな議論を集約するという意味でも見直すべきではないか。無理に進めるべきではないと思うが、見解を尋ねる。
◯教育長 私もこのところ、夜は小浜のほうへ行っていて、きのうも若狭町から高浜町までの教育関係者、それから一昨日は同じく小・中学校の保護者100人近くに集まってもらって、丁寧に意見交換や説明をした。特に保護者の中には、これから若狭地区の様々な課題を解決して、充実していってほしいという思いが非常に強かったと思う。このような課題を解決するためにも、先送りするのではなく、やはり年度内をめどに私どもの最終的な案を示していきたいと考えている。
◯佐藤委員 そういうスケジュールありきで進めることは見直してほしいということを再度要望して終わる。
◯斉藤委員長 以上で、佐藤君の質疑は終了した。
ここで休憩する。再開は午後1時5分とする。