今日は、定例福井県議会の最終日でした。議会運営委員会、議会広報委員会、日中友好議員連盟、本会議、新幹線建設計画についての全員協議会、議会改革検討会議などなど会議の連続でした。
私は、議会運営委員会で自民党が提案した「国家秘密法(スパイ防止法)の一日も早い制定を求める意見書」について、重要な問題であり9月議会の委員会審議に付して慎重に議論すべき、と提案しましたが受け入れられませんでした。
本会議では、各委員長の報告について福井駅西口開発予算の問題、県民税増税の問題、福島原発事故派遣職員の手当削減の問題、消費税増税反対請願の不採択は許されない、などを指摘し反対討論をしました。国家秘密法制定意見書などについても再度反対討論にたちました。
消費税増税反対の意見書を不採択にすること、国家秘密法制定意見書採択に反対したのは私だけでした。
議会改革検討会議では、各会派の賛否について議会HPや会議録で表記することなどが決まりました。
以下、反対討論です。
■ 日本共産党の佐藤正雄です。
第47号議案 平成24年度一般会計補正予算案は、不要不急の福井駅西口中央地区市街地再開発支援事業に3600万円余、福井駅周辺土地区画整理事業支援に2億3000万円余を支出する内容がふくまれており、賛成できません。
福井市が計画しているプラネタリウムや能楽堂を含めた多目的ホールを西口再開発ビルに入れる計画案は市民からも厳しい批判がだされています。福井市が見込む年間のプラネタリウム利用者数5万人、は人口100万人を超すさいたま市の市街地に位置する青少年宇宙科学館のプラネタリウムの利用者数レベルであり、このような来場者が本当に期待できるのか、プラネタリウムで本当に駅周辺のにぎわいづくりや回遊性に貢献できるのか、厳しい批判があります。
また、商業床にしても、現在、アオッサでは1階の商業スペースは埋まっているものの、2階、3階では30%も空きがあるのです。このような東口の現況をみるなら、おなじようなことを計画するだけでは、西口再開発ビルも厳しいでしょう。
今の再開発ビルありきの計画に固執し続けるのではなく、本当の意味で身の丈にあった開発、住民ニーズに応えた整備にきりかえることが必要であります。
第48号議案 福井県県税条例の一部改正は、個人県民税均等割で約2億円、退職所得にかかる個人県民税で約5000万円を増税するものであり反対です。
そもそも消費税増税とならび、このような庶民増税はいまおこなうべきではありません。
しかも所得の多少にかかわらず同一金額の負担を求める均等割部分を増税することは、低所得者ほど重い負担割合となり、これは能力に応じて税を負担するという応能負担の原則から外れた公平性を欠く増税であります。
しかも、「緊急防災・減災事業の財源確保」とはいうものの、この税は目的税ではなく普通税で、使いみちについては特定の目的が決められません。一般会計に入る増税分がその事業に上積みして使われる保障や担保はどこにもありません。このような身勝手な、行政当局に都合のいい増税を10年間もつづける条例案であり、反対であります。
第50号議案 福井県一般職の職員等の特殊勤務手当に関する条例の一部改正は、福島原発事故対応に派遣される職員の手当を2万円から13300円へ減額する内容であり反対です。これまでも約500名の県職員が派遣されているとお聞きしていますが、いまだに原発事故も収束せず、高い放射線量地域での勤務を余儀なくされるケースを考慮すれば、減額されるべきではありません。
ところで先日、福島原発事故にかんする国会の事故調査委員会の報告書が発表されました。これには大飯原発再稼働の根拠を崩す大事な指摘がふくまれています。
一つは「自然災害ではなく、明らかに人災だ」と断言したことです。
二つ目は「規制する側と規制される側の力関係が逆転していた」という指摘です。電力会社が力をもち、規制機関が働かなかったという点を強く指摘し、抜本的な見直しが必要だということも提起しています。
三つ目は地震による原子炉の損壊について「ないとは確定的には言えない」と指摘したことです。わたしたちは、地震で原子力プラントが壊れた可能性を排除できないと主張してきましたが、政府は『地震による損傷は確認されていない』とし、もっぱら津波による被害だと説明してきました。福井県の専門委員会もその線にそって議論されています。
政府は大飯原発3、4号機の再稼働にあたり、『地震による損壊はなかった』という立場で対応してきています。事故調の報告で、こうした根拠が崩れてきました。
いま、変動地形学の専門家からも大飯原発近傍の活断層の疑いが強く指摘され、調査が求められています。
あらためて、福井県として原子力安全専門委員会を開催し、事故調査委員会の報告をうけた議論をおこなうこと、大飯原発で指摘されているF-6断層については活動すれば重大事故を誘発するものであり、ただちに専門家による調査をおこなうことを求めるなど、福井県として積極的なイニシアチブを発揮すべきであります。
つよく求めておきます。
つぎに、請願陳情の委員長報告についてであります。
請願第13号 消費税増税に反対する意見書の提出を求める請願は採択すべきであります。
一般質問でも申し上げましたが、福井県民と県内企業に800億円もの大増税であります。
いま、国民所得はどんどん落ち込み、世帯収入は25年前の水準になっています。こんな時に13.5兆円もの未曾有の大増税をかぶせたら、日本経済の6割をしめる個人消費、雇用の7割をしめる中小企業に大打撃を与え、日本経済と国民生活を奈落に突き落とすことになりかねません。
消費税をどんどん増税しても、経済が悪くなれば、財政は悪化します。
1997年に自民党・橋本政権時代に消費税を引き上げました。その結果、1996年度と2010年度を比較すると、消費税収は7.6兆円から12.7兆円に増税効果はてきめんですが、法人3税は23.3兆円から14.8兆円に落ち込み、
所得税・住民税は28兆円から24.5兆円へ落ち込みなど、トータルでは税収は14兆円も減っているのです。
しかも、今回は年金、医療、介護のあらゆる分野で国民生活にマイナス計画が実行されるわけですからひどいことになります。
また、これは公共発注にも多大な影響を与えます。たとえば、福井県は今後、新幹線やダム、高規格道路など大型公共事業を計画しているわけですが、たとえばこれらに1兆円の事業費を使えば、500億円もの増税負担となるわけで、不要不急の大型事業による財政への影響はこれまでにもまして大きなものとなります。
先日、小浜市議会では同様の請願が採択されました。いま、国会で議論中であり、大増税は困ります、の声を国に届けることは県議会の責務であります。
請願第14号は、福井県生活衛生同業組合連合会からだされた法人県民税減免に関する請願であります。私も直接事情をお聞きしましたが、麺類や喫茶や飲食、氷などの組合でありこの不況のもとで年間2万円の県民税、6万円の市民税の支出も痛い、という深刻な実情であります。とても消費税増税には耐えられない状況であることもうかがえます。
苦しい営業の実態はよくわかるものであり、趣旨をくんで採択すべきであります。
陳情第20号は人権救済機関の設置を目的とする法律の制定に反対するものであり不採択とすべきです。
いわゆる「国内人権機関」は、国連などでは、政府や裁判所、立法だけでなく、政府から独立した人権保障を任務とする国内人権機関を設けて、迅速に人権侵害を救済したり、政策提言や教育活動を行なうことが必要だとされてきています。
1993年にパリの国連総会で「国内人権機関の地位に関する原則」(パリ原則)が採択され、国内人権機関の独立した運用を保障するために確保しなければならない基準が定められました。
2002年、自公政権時に「人権擁護法案」が国会に提出されましたが、この法案は救済の対象となる範囲が狭かったり、マスコミの規制につながる危険があるなどの批判を受け廃案となっています。
1998年の国連自由権規約委員会から「人権侵害の申立を調査するための独立の機関の設置」を勧告されて以降、日本はたびたび国際人権機関から国内人権機関の設置を求められてきています。
裁判に訴える前に人権侵害を救済できることも必要でありますが、これまでは弁護士会等の善意の取り組みに期待していた面が大きかったと考えます。
政府から独立した、とりわけ国や行政機関との関係でもきちんとした調査権限、人員、予算をもつ組織が求められるものであります。
陳情第21号 住民の安全・安心を支える公務・公共サービスの体制・機能充実を求めるものであり採択すべきです。
いま、東日本大震災などもあり、いっそう国として各地域に責任をもつ住民の安全・安心をささえる行政機構の充実が求められています。
今後、全国各地での巨大災害が想定されるなかで、この国民の願いと逆行し、国が国民の防災や安全に責任をもつ体制を解体することなどは許されません。
東日本大震災の教訓でも、研究者の間からは「市町村合併災害」との指摘もされています。各地域の役所機能を解体して広域行政化したために、迅速な情報収集と対応が遅れた、災害が拡大した、との批判があります。
このような過ちを繰り返さないことは政治の責任です。現場の公務労働者からだされているこの陳情は採択すべきです。
なお、陳情第15号は障害福祉サービスの充実を求めるものであり、17号は集団的消費者被害回復にかかる訴訟制度の制定を求めるものであり、採択すべきであることを申し上げ反対討論としたします。
■国家秘密法の一日も早い制定を求める意見書に反対討論。
政府がめざす秘密保全法制は、「特別秘密」の範囲を(1)国の安全、(2)外交、(3)公共の安全及び秩序の維持の三分野としており、きわめて広範囲です。公務員だけでなく、研究者や企業の技術者・労働者などにも秘密保持義務が課され、漏えいは過失であったとしても処罰(五年ないし一〇年の懲役刑)の対象となります。さらに、情報取得行為が取締りの対象とされ、共謀、教唆、扇動行為が独立犯として処罰されます。
国政に関する情報は国民に公開されるのが原則であるはずなのに、国民は国政に関わる情報を取得することも議論することもできなくなります。例えば、いま県議会でも議論されている原発の耐震性や制御棒の挿入時間、使用済核燃料の扱いなどは核にかかわる問題として、TPP交渉は外交にかかわる問題として、沖縄、山口などで反対運動がおこっているオスプレイ配備問題などは安全保障の問題として、十分な情報を国民が得られることができなくなる恐れがあります。このことは過大な表現ではなく、現状でも以前は見学できた原発施設の見学が一般県民には許可されない異常事態が国の指示で続いていることからも明らかです。
さらに、「適性評価制度」の導入が計画されています。これは、秘密を取り扱わせようとする者について、行政機関や警察が、職歴、活動歴、信用状態、通院歴等の調査を行い、秘密情報を取り扱う適性を評価するものです。対象者本人だけでなく近親者も調査対象です。公務員だけでなく民間人も対象であり、国民のプライバシー侵害、思想・信条による差別など人権侵害の危険が極めて大きい制度です。
情報公開に逆行し、国民弾圧につながりかねないこのような法律の制定は断じて許されるものではありません。
「拙速な人権救済機関の設置を目的とする法律の制定に反対する意見書」については、陳情20号の反対討論で申し上げたとおりであり、反対であります。
私は、議会運営委員会で自民党が提案した「国家秘密法(スパイ防止法)の一日も早い制定を求める意見書」について、重要な問題であり9月議会の委員会審議に付して慎重に議論すべき、と提案しましたが受け入れられませんでした。
本会議では、各委員長の報告について福井駅西口開発予算の問題、県民税増税の問題、福島原発事故派遣職員の手当削減の問題、消費税増税反対請願の不採択は許されない、などを指摘し反対討論をしました。国家秘密法制定意見書などについても再度反対討論にたちました。
消費税増税反対の意見書を不採択にすること、国家秘密法制定意見書採択に反対したのは私だけでした。
議会改革検討会議では、各会派の賛否について議会HPや会議録で表記することなどが決まりました。
以下、反対討論です。
■ 日本共産党の佐藤正雄です。
第47号議案 平成24年度一般会計補正予算案は、不要不急の福井駅西口中央地区市街地再開発支援事業に3600万円余、福井駅周辺土地区画整理事業支援に2億3000万円余を支出する内容がふくまれており、賛成できません。
福井市が計画しているプラネタリウムや能楽堂を含めた多目的ホールを西口再開発ビルに入れる計画案は市民からも厳しい批判がだされています。福井市が見込む年間のプラネタリウム利用者数5万人、は人口100万人を超すさいたま市の市街地に位置する青少年宇宙科学館のプラネタリウムの利用者数レベルであり、このような来場者が本当に期待できるのか、プラネタリウムで本当に駅周辺のにぎわいづくりや回遊性に貢献できるのか、厳しい批判があります。
また、商業床にしても、現在、アオッサでは1階の商業スペースは埋まっているものの、2階、3階では30%も空きがあるのです。このような東口の現況をみるなら、おなじようなことを計画するだけでは、西口再開発ビルも厳しいでしょう。
今の再開発ビルありきの計画に固執し続けるのではなく、本当の意味で身の丈にあった開発、住民ニーズに応えた整備にきりかえることが必要であります。
第48号議案 福井県県税条例の一部改正は、個人県民税均等割で約2億円、退職所得にかかる個人県民税で約5000万円を増税するものであり反対です。
そもそも消費税増税とならび、このような庶民増税はいまおこなうべきではありません。
しかも所得の多少にかかわらず同一金額の負担を求める均等割部分を増税することは、低所得者ほど重い負担割合となり、これは能力に応じて税を負担するという応能負担の原則から外れた公平性を欠く増税であります。
しかも、「緊急防災・減災事業の財源確保」とはいうものの、この税は目的税ではなく普通税で、使いみちについては特定の目的が決められません。一般会計に入る増税分がその事業に上積みして使われる保障や担保はどこにもありません。このような身勝手な、行政当局に都合のいい増税を10年間もつづける条例案であり、反対であります。
第50号議案 福井県一般職の職員等の特殊勤務手当に関する条例の一部改正は、福島原発事故対応に派遣される職員の手当を2万円から13300円へ減額する内容であり反対です。これまでも約500名の県職員が派遣されているとお聞きしていますが、いまだに原発事故も収束せず、高い放射線量地域での勤務を余儀なくされるケースを考慮すれば、減額されるべきではありません。
ところで先日、福島原発事故にかんする国会の事故調査委員会の報告書が発表されました。これには大飯原発再稼働の根拠を崩す大事な指摘がふくまれています。
一つは「自然災害ではなく、明らかに人災だ」と断言したことです。
二つ目は「規制する側と規制される側の力関係が逆転していた」という指摘です。電力会社が力をもち、規制機関が働かなかったという点を強く指摘し、抜本的な見直しが必要だということも提起しています。
三つ目は地震による原子炉の損壊について「ないとは確定的には言えない」と指摘したことです。わたしたちは、地震で原子力プラントが壊れた可能性を排除できないと主張してきましたが、政府は『地震による損傷は確認されていない』とし、もっぱら津波による被害だと説明してきました。福井県の専門委員会もその線にそって議論されています。
政府は大飯原発3、4号機の再稼働にあたり、『地震による損壊はなかった』という立場で対応してきています。事故調の報告で、こうした根拠が崩れてきました。
いま、変動地形学の専門家からも大飯原発近傍の活断層の疑いが強く指摘され、調査が求められています。
あらためて、福井県として原子力安全専門委員会を開催し、事故調査委員会の報告をうけた議論をおこなうこと、大飯原発で指摘されているF-6断層については活動すれば重大事故を誘発するものであり、ただちに専門家による調査をおこなうことを求めるなど、福井県として積極的なイニシアチブを発揮すべきであります。
つよく求めておきます。
つぎに、請願陳情の委員長報告についてであります。
請願第13号 消費税増税に反対する意見書の提出を求める請願は採択すべきであります。
一般質問でも申し上げましたが、福井県民と県内企業に800億円もの大増税であります。
いま、国民所得はどんどん落ち込み、世帯収入は25年前の水準になっています。こんな時に13.5兆円もの未曾有の大増税をかぶせたら、日本経済の6割をしめる個人消費、雇用の7割をしめる中小企業に大打撃を与え、日本経済と国民生活を奈落に突き落とすことになりかねません。
消費税をどんどん増税しても、経済が悪くなれば、財政は悪化します。
1997年に自民党・橋本政権時代に消費税を引き上げました。その結果、1996年度と2010年度を比較すると、消費税収は7.6兆円から12.7兆円に増税効果はてきめんですが、法人3税は23.3兆円から14.8兆円に落ち込み、
所得税・住民税は28兆円から24.5兆円へ落ち込みなど、トータルでは税収は14兆円も減っているのです。
しかも、今回は年金、医療、介護のあらゆる分野で国民生活にマイナス計画が実行されるわけですからひどいことになります。
また、これは公共発注にも多大な影響を与えます。たとえば、福井県は今後、新幹線やダム、高規格道路など大型公共事業を計画しているわけですが、たとえばこれらに1兆円の事業費を使えば、500億円もの増税負担となるわけで、不要不急の大型事業による財政への影響はこれまでにもまして大きなものとなります。
先日、小浜市議会では同様の請願が採択されました。いま、国会で議論中であり、大増税は困ります、の声を国に届けることは県議会の責務であります。
請願第14号は、福井県生活衛生同業組合連合会からだされた法人県民税減免に関する請願であります。私も直接事情をお聞きしましたが、麺類や喫茶や飲食、氷などの組合でありこの不況のもとで年間2万円の県民税、6万円の市民税の支出も痛い、という深刻な実情であります。とても消費税増税には耐えられない状況であることもうかがえます。
苦しい営業の実態はよくわかるものであり、趣旨をくんで採択すべきであります。
陳情第20号は人権救済機関の設置を目的とする法律の制定に反対するものであり不採択とすべきです。
いわゆる「国内人権機関」は、国連などでは、政府や裁判所、立法だけでなく、政府から独立した人権保障を任務とする国内人権機関を設けて、迅速に人権侵害を救済したり、政策提言や教育活動を行なうことが必要だとされてきています。
1993年にパリの国連総会で「国内人権機関の地位に関する原則」(パリ原則)が採択され、国内人権機関の独立した運用を保障するために確保しなければならない基準が定められました。
2002年、自公政権時に「人権擁護法案」が国会に提出されましたが、この法案は救済の対象となる範囲が狭かったり、マスコミの規制につながる危険があるなどの批判を受け廃案となっています。
1998年の国連自由権規約委員会から「人権侵害の申立を調査するための独立の機関の設置」を勧告されて以降、日本はたびたび国際人権機関から国内人権機関の設置を求められてきています。
裁判に訴える前に人権侵害を救済できることも必要でありますが、これまでは弁護士会等の善意の取り組みに期待していた面が大きかったと考えます。
政府から独立した、とりわけ国や行政機関との関係でもきちんとした調査権限、人員、予算をもつ組織が求められるものであります。
陳情第21号 住民の安全・安心を支える公務・公共サービスの体制・機能充実を求めるものであり採択すべきです。
いま、東日本大震災などもあり、いっそう国として各地域に責任をもつ住民の安全・安心をささえる行政機構の充実が求められています。
今後、全国各地での巨大災害が想定されるなかで、この国民の願いと逆行し、国が国民の防災や安全に責任をもつ体制を解体することなどは許されません。
東日本大震災の教訓でも、研究者の間からは「市町村合併災害」との指摘もされています。各地域の役所機能を解体して広域行政化したために、迅速な情報収集と対応が遅れた、災害が拡大した、との批判があります。
このような過ちを繰り返さないことは政治の責任です。現場の公務労働者からだされているこの陳情は採択すべきです。
なお、陳情第15号は障害福祉サービスの充実を求めるものであり、17号は集団的消費者被害回復にかかる訴訟制度の制定を求めるものであり、採択すべきであることを申し上げ反対討論としたします。
■国家秘密法の一日も早い制定を求める意見書に反対討論。
政府がめざす秘密保全法制は、「特別秘密」の範囲を(1)国の安全、(2)外交、(3)公共の安全及び秩序の維持の三分野としており、きわめて広範囲です。公務員だけでなく、研究者や企業の技術者・労働者などにも秘密保持義務が課され、漏えいは過失であったとしても処罰(五年ないし一〇年の懲役刑)の対象となります。さらに、情報取得行為が取締りの対象とされ、共謀、教唆、扇動行為が独立犯として処罰されます。
国政に関する情報は国民に公開されるのが原則であるはずなのに、国民は国政に関わる情報を取得することも議論することもできなくなります。例えば、いま県議会でも議論されている原発の耐震性や制御棒の挿入時間、使用済核燃料の扱いなどは核にかかわる問題として、TPP交渉は外交にかかわる問題として、沖縄、山口などで反対運動がおこっているオスプレイ配備問題などは安全保障の問題として、十分な情報を国民が得られることができなくなる恐れがあります。このことは過大な表現ではなく、現状でも以前は見学できた原発施設の見学が一般県民には許可されない異常事態が国の指示で続いていることからも明らかです。
さらに、「適性評価制度」の導入が計画されています。これは、秘密を取り扱わせようとする者について、行政機関や警察が、職歴、活動歴、信用状態、通院歴等の調査を行い、秘密情報を取り扱う適性を評価するものです。対象者本人だけでなく近親者も調査対象です。公務員だけでなく民間人も対象であり、国民のプライバシー侵害、思想・信条による差別など人権侵害の危険が極めて大きい制度です。
情報公開に逆行し、国民弾圧につながりかねないこのような法律の制定は断じて許されるものではありません。
「拙速な人権救済機関の設置を目的とする法律の制定に反対する意見書」については、陳情20号の反対討論で申し上げたとおりであり、反対であります。