有島武郎の「或る女」、やっと読んだ~。お勉強的な気持ちで取り組んだので、どーしても読むもんがない、って時ぐらいしか手が出ないんだよね……。3ヶ月ぐらいかかっちゃったよ。
有島武郎作品=こむずかしい、ってイメージがあったけど、案外読めるもんだねー。心理描写とか筋運びで、けっこう引き込まれた箇所があったもん。ちゃんと “葉子” に同調(シンクロ)できました。
しかし当時の男にしては(偏見? 差別?)有島武郎は、女の心理描写や行動がよく描けてるよなー。葉子が疑心暗鬼になるとことか、虚栄心。えっと……、肉欲に関する描写には、何とも言えないけど……。レッテルを貼られたことに対して、捨て鉢になる部分(ここは男女の性差は関係なしに)は、追い込まれる側の心理がよくわかって、自分でも胸が苦しくなりました。
しかも、病後の葉子のみにくい容貌も、むごいまでに描き出してるところが、白樺派(なの?)。病み衰えた姿が目に浮かぶよーで、こんなん情人が見たら嫌気が差すだろーなー、って感じ。
登場人物では、岡クンがかわいーの! 有島自身が投影されてるのは、古藤か木部あたりかな? この手の女に振り回されてそーだもん。岡クンだって、有島の少年時代の投影かもしれないね(いいトコの坊ちゃんって設定だし)。
結末は、女主人公が死ぬんでしょ、という前知識があったんだけど、最後まで読んでみたら、死んでないじゃん! 婦人病の手術の後、容態が悪化して――、ってとこで終ってるんだもん。そのまま親しい人に看取られずに死んじゃう、ってのがストーリーとしては自然なのかもしんないけど、ちゃんと(?)自殺してもらいたかったよーな気もするし……。
「或る女」の執筆には、「アンナ・カレーニナ」を読んだことが影響してるらしいけど、こっちはちゃんと自殺してたよねー。
個人的には、結末がはっきり書かれてるのが好みなので、そこが少し残念……。(ただ、有島自身も、書き直したり、最終章を足したり、苦労したらしい。)
プロットとしては、葉子の死亡は既定のことだったらしーけど、これを“自殺を試みたが失敗”とか、“大病後に心機一転”とかって筋に変更――ってことは、やっぱありえないな。話の流れ的にも葉子の性格造形的にも。
他の作品とか日記なんかも少し読んだけど、結論としては
有島武郎はやっぱ真面目な優等生だった
ってことかな。
自殺願望は昔からあったらしーんだけど、なんで自殺志向があるのか、がよくわからん。やりたいことがたくさんあれば、そんな選択はしないと思うし……。
世間から拒絶されよーが、批判されよーが、自分が正しいと思ったことをやって堂々と生きてればいーのに。ま、自殺を選択することで自分の信念がつらぬけると思ったんなら、それでいーけどさー。