きさらぎのなかばになると知り顔に早くも来(き)けるつばくらめかな(夫木抄)
つばくらめ簾(すだれ)うごかす羽風(はかぜ)にもかつ散る庭の花ぞ匂へる(草根集)
つばくらめ簾の外にあまた見えて春日(はるひ)のどけみ人影もせず(風雅和歌集)
あはれにも軒ばの燕(つばめ)来鳴くなり去年(こぞ)も巣がけし宿をたづ ねて(草根集)
この春も古巣たづ ねて山がつの宿をはなれぬつばくらめかな(草庵集)
軒端あれて春はむかしのふるさとに古巣たづ ぬるつばくらめかな(壬二集)
ふるさとのねぐらいでけるほどもなく雲井はるかに飛ぶつばめかな(蒙求和歌)