monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 春 二月 梅

2013年02月05日 | 日本古典文学-春

二月於式部大輔中臣清麻呂朝臣之宅宴歌
恨めしく君はもあるか宿の梅の散り過ぐるまで見しめずありける
 右一首治部少輔大原今城真人
見むと言はば否と言はめや梅の花散り過ぐるまで君が来まさぬ
 右一首主人中臣清麻呂朝臣
梅の花香をかぐはしみ遠けども心もしのに君をしぞ思ふ
 右一首治部大輔市原王
梅の花咲き散る春の長き日を見れども飽かぬ礒にもあるかも
 右一首大蔵大輔甘南備伊香真人
(万葉集~バージニア大学HPより)

きさらきまて梅のはなさき侍らさりけるとしよみ侍ける 中務
しるらめや霞の空をなかめつゝ花もにほはぬ春をなけくと
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

二月になりぬ。紅梅のつねのとしよりもいろこくめでたうにほひたり。
(蜻蛉日記~バージニア大学HPより)

梅を 後宇多院御歌
二月やなを風さむき袖のうへに雪ませにちる梅の初花
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

きさらきの比雪ふるあした、後白河院の梅壷の女御もとへまかりたりけるに、たゝにはいかになと女房の申侍けれは、軒ちかき梅をおりてさしいるとてよめる 藤原清輔朝臣
梅花にほひも雪にうつもれはいかにわきてかけさはおらまし
返し 読人しらす
君みすはかひなからまし梅の花にほひは雪にうつもれすとも
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

二月廿二日、梅花のもとに御いしたてさせ給て、花宴せさせ給に、殿上のをのことも歌つかうまつりけるに 源寛信朝臣
折てみるかひもあるかな梅のはなけふ九重にゝほひまさりて
(拾遺和歌集巻~国文学研究資料館HPより)

はるのよのつきにまかへるうめのはなたたかはかりそしるへなりける
(堀河百首~日文研HPより)

宴席詠雪月梅花歌一首
雪の上に照れる月夜に梅の花折りて送らむはしき子もがも
右一首一二月大伴宿祢家持作
(万葉集~バージニア大学HPより)

御前近き紅梅の、色も香もなつかしきに、鴬だに見過ぐしがたげにうち鳴きて渡るめれば、まして「春や昔の」と心を惑はしたまふどちの御物語に、折あはれなりかし。
(源氏物語・早蕨~バージニア大学HPより)

二月の十日、雨すこし降りて、御前近き紅梅盛りに、色も香も似るものなきほどに、兵部卿宮渡りたまへり。(略)花をめでつつおはするほどに、前斎院よりとて、散り過ぎたる梅の枝につけたる御文持て参れり。
(源氏物語・梅枝~バージニア大学HPより)

(二月廿余日)御前の梅は、西は白く、東は紅梅にて、すこし落ちがたになりたれど、なほをかしきに、うらうらと日の気色のどかにて、人に見せまほし。
(枕草子~新潮日本古典集成)

あひしりて侍ける人の家にまかれりけるに、梅の木侍けり、この花さきなむときかならすせうそこせんといひけるを、音なく侍けれは 朱雀院の兵部卿のみこ
むめの花いまは盛に成ぬらんたのめし人のをとつれもせぬ
(後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

有則ぬし(鵲齋のもと住める家にいたれりける、頃は 如月のはじめつ方梅の花の盛になんありければ
いろもかも昔の春に咲きつれどあひ見し人は今宵あらなくに
(良寛歌集~バージニア大学HPより)

 如月になれば、花の木どもの盛りなるも、まだしきも、梢をかしう霞みわたれるに、かの御形見の紅梅に、鴬のはなやかに鳴き出でたれば、立ち出でて御覧ず。
 「植ゑて見し花のあるじもなき宿に知らず顔にて来ゐる鴬」
 と、うそぶき歩かせたまふ。
(源氏物語・幻~バージニア大学HPより)

きさらぎの十日ばかりに飯乞ふとて眞木山てふ所に行きて有則が家のあたりを尋ぬれば今は野らとなりぬ、一と本の梅の散りかかりたるを見て古を思ひ出でてよめる。
そのかみは酒に受けつる梅の花つちに落ちけりいたづ らにして
(良寛歌集~バージニア大学HPより)

殿上より梅の花の皆散りたる枝を、「これはいかに」といひたるに、「唯はやく落ちにけり」と答へたれば、その詩を誦じて、黒戸に殿上人いと多く居たるを、うへの御前きかせおはしまして、「よろしき歌など詠みたらんよりも、かかる事はまさりたりかし。よういらへたり」と仰せらる。
(枕草子~バージニア大学HPより)

大■嶺(たいゆうれい)の梅は早く落ちぬ 誰か紛粧(ふんさう)を問はん
(和漢朗詠集~岩波・日本古典文学大系)

シテ詞「そもそもこの生田の森は。平家十万余騎の大手なりしに。源氏の方に梶原平三景時。同じき源太景季。色殊なる梅花の有りしを。一枝折つて箙にさす。此花則ち笠印となりて。景色あらはに著く。功名人に勝れしかば。景季かへつて此花を礼し。則ち八幡の神木と敬せしよりこのかた。名将の古跡の花なればとて。箙の梅とは申すなり。
(略)
ロンギ「はや夕ばえの梅の花。月になりゆくかり枕。一夜の宿をかし給へ。
シテ「われはやどりも白雪の。花の主と思し召さばしたぶしに待ち給へ。
地「花の主と思へとは。御身いかなる人やらん。
(略)
ワキ「不思議やなそのさまいまだ若武者の。胡籙(やなぐひ)に梅花の枝をさし。さも華やかに見え給ふは。いかなる人にてましますぞ。
シテ「今は何をか包むべき。これは源太景季。(略)
(謡曲「箙」~謡曲三百五十番集)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする