春月を 中務卿宗尊親王
山のははそこともわかぬ夕くれに霞を出る春の夜の月
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
題しらす 永福門院
入逢の声する山の陰暮て花の木のまに月出にけり
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
弘長元年百首歌奉りけるに、春月 前大納言為家
あかすみる花の匂ひも深き夜の雲ゐにかすむ春の月影
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
春月 為忠
はるのよは花の木のまをもりかねていとどかすめる月のかげかな
(飛月集~「新編国歌大観10」)
七日の月のさやかにさし出でたる影、をかしく霞みたるを見たまひつつ、(略)
(源氏物語・早蕨~バージニア大学HPより)
月さし出でぬれば、大御酒など参りて、昔の御物語などしたまふ。霞める月の影心にくきを、雨の名残の風すこし吹きて、花の香なつかしきに、御殿のあたり言ひ知らず匂ひ満ちて、人の御心地いと艶あり。
(源氏物語・梅枝~バージニア大学HPより)
なかむれはそこはかとなくかすむよのつきこそはるのけしきなりけれ
(嘉元百首~日文研HPより)
なかめてもいかにかたらむうめかえのはなにつきもるはるのあけほの
(正治二年初度百首~日文研HPより)
題しらす 惟明親王
吉野山あらしや花をわたるらん木すゑにかほる春のよの月
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
中宮、里におはしましける比(ころ)、奉らせ給ひける 親子の中の帝の御歌
ながむとも同じ心にたれか見む思ひぐまなき春の夜の月
(風葉和歌集~岩波文庫)
春の歌とて 瓊子内親王家小督
おほろなる名には立とも春の月やとる袖まてかすますもかな
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)