ふゆされはのはらもいととしもかれてものさひしくもなりまさるかな
(夫木抄~日文研HPより)
後九条前内大臣家百首歌合に 衣笠前内大臣
浅茅原霜の下葉は枯はてゝ見しにもあらぬ野への色哉
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
しもかれのくさのしけみにかくろへてひとはなのこるをみなへしかな
(夫木抄~日文研HPより)
(ふゆのうたのなかに) 左近中将道輔
野へはたゝ小篠はかりの青葉にてさらてはなへて霜枯の色
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
のこりゐてしもをいたたくおきなくさふゆののもりとなりやしぬらむ
(六百番歌合~日文研HPより)
ふゆのにはこからやまからとひちりてまたいろいろのくさのはらかな
(新撰和歌六帖~日文研HPより)
枯野の草をよめる
分けかねし袖に露をばとめ置きて霜にくちぬる眞野の萩原
霜がれてもろくくだくる荻の葉をあらく吹くなる風の音かな
(山家和歌集~バージニア大学HPより)
霜枯の淺茅色づく冬野には尾ばなぞ秋のかたみなりける
(続拾遺和歌集~バージニア大学HPより)
邦省親王家の五十首歌中に、寒草 権律師実性
枯残る冬野の尾花風過て夕霜はらふ袖かとそ見る
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
枯野に雪の降りたるを
枯れはつる萱がうは葉にふる雪はさらに尾花の心地こそすれ
(山家和歌集~バージニア大学HPより)
草も木も今はさかりの時過きてかれゆくをのの色そさひしき
浅茅原霜の下葉はかれはててみしにもあらぬ野への色かな
(建長八年九月十三日・百首歌合~日文研HPより)
さひしさは秋みしよりも真葛はふをののあさちの冬かれの色
(正和三年・詩歌合~日文研HPより)
冬されの野へのかれふにふく嵐小篠にさやくおとはかりして
(沙玉集~明治書院「私家集大成 5巻(中世3)」)
冬になりて、枯野の荻に、時雨はしたなくすぎて、ぬれいろのすさまじきに、春よりさきにしためぐみたる若葉の、緑青色なるが、ときどきみえたるに、露は、秋思ひいでられて、おきわたりたり。
霜さゆる枯野のをぎの露のいろ秋のなごりをともにしのぶや
(建礼門院右京大夫集~岩波文庫)