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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「公卿勅使」用例

2021年02月14日 | 日本国語大辞典-か行

 「公卿勅使」という単語の用例は、日本国語大辞典では『古今著聞集』(1254年)を早い例として挙げてありますが、さかのぼる用例が複数あります。

(応徳三年)○十一月七日。公卿勅使神殿鏁。自巳刻至申刻不開之。
(百錬抄・第五)
「新訂増補 国史大系 第11巻」黒板勝美編、国史大系刊行会、1929年、39ページ

 公卿勅使に通親の宰相のたたれけるを、五十鈴の畔(ほとり)にてみてよみける
(山家集の「いかばかり凉しかるらむ~」歌の詞書)
岩波文庫「新訂 山家集」佐佐木信綱校訂、1928年、261ページ

01875 //新古今和歌集 //新古今和歌集巻第十九 //神祗歌 //公継卿公卿勅使にて、太神宮にまうてゝかへりのほりはへりけるに、斎宮女房の中より申をくりける //読人しらす //うれしさも/あはれもいかに/こたへまし/故郷人に/とはれましかは //
(国文学研究資料館データベースより)

建曆三年七月廿五日、公卿勅使發遣日也、○中略
(明月記~国文学研究資料館HPの古事類苑データベースより)

(略)、公卿勅使停止す。
(古事談・第五・二~「新注古事談」笠間書院、2010年、234ページ)

伊勢へ公卿(くぎやう)勅使(ちよくし)などたてられけり。
(岩波文庫「保元物語」岸谷誠一校訂、1934年、99ページ)

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阿須波の神・阿須波の宮

2021年02月13日 | 日本古典文学-人事

阿須波(あすは)の神/宮(みや)

 (天平勝寳七歳乙未二月相替遣筑紫諸國防人等歌)
庭中の阿須波の神に小柴さし我れは斎はむ帰り来までに
(にはなかの,あすはのかみに,こしばさし,あれはいははむ,かへりくまでに)
   右一首帳丁若麻續部諸人
(万葉集~バージニア大学HPより)

たのむそよ-あすはのみやに-さすしはの-しはしかほとも-みねはこひしき 
(文保百首_定為・ 03075~日文研HPより)

  悔離別   俊頼
今さらにいもかへさめやいちじるきあすはの宮にこ柴さすとも
(和歌一字抄~新編国歌大観5)

 九月尽
庭中のあすはいつしか神無月よしいつはりて秋はとどまれ
 万葉に
庭中のあすはの神にこしばさし我はいははむかへりくるまで
   旅にたつ人、かまの神を庭にまつりて、めぐりに小柴がきをするなり、あしへの神と申すべきを、歌には、
   あすはとよむ、竈神のあたりは人のありきしげければ、足辺の神とかけり
(雲玉集~新編国歌大観8)

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「日本古典文学」のカテゴリーに天象・坤儀、禽獣、草樹、人事を新設

2021年02月12日 | 日本古典文学

 今まで季節表現に限定して古文用例を集めてきましたが、季節に関係ない事物もテーマごとに文例を集めていこうと思います。
 テーマというと、天文・気象、植物・動物、生活、学芸、言語、宗教、地名など。ですが、古語で集めるので、分類も古文っぽくしてみようと思います。

  天象・坤儀、禽獣魚虫・草樹、人事。

 「人事」部は、「ひと」に関してなので、人体語彙から始まって人間関係や、行動、感情、感覚など広い範囲なので、更に細別することになるでしょう。
 地名に関しては、すでに市販の歌枕辞典的な書籍はいろいろあるので今さらなのですが、摂津国とか出雲国とか国別に集めてみたいので、一覧だけは作りたいです。
 説話・伝承に関しても、和歌題材になってるので、集めるつもりです。
 仏教用語は勉強しないと駄目ですね。

 季節感のある事物はすでに集めたので、季節感のないものを集めていこうと思います。年代としていつまでかというのは、江戸時代は含まず、室町時代までにするつもりです。
 和歌以外も散文も収集。ツールとして「ジャパンナレッジ」とか有料サービスを使うという手もあるのですが、とりあえず地道に今までどおり、図書館も活用しながら収集・分類していきたいです。最近購入した「いろは順歌語辞典―有賀長伯『和歌八重垣』―」(三村晃、和泉書院、2018年)には、自分が知らなかった語彙がいろいろ載ってるので、活用するつもり。
 過去、「唐物の使」とか「天人が袖で石を撫でる(刧)」で集めたものが、今回の分類で割り当てできそう。「日本国語大辞典」の日国友の会の用例探しで集めた用例が転用できます。2014年の七十二候ブログはどうしようかしら。削除した方がよいかな。
 考えたら、今まで集めた春夏秋冬の用例も、桜なら「草樹」カテゴリで、賀茂祭なら「人事」カテゴリに割り振るべきなのかも。しかし、そうすると、季節でまとめられないので、これはそのまま残します。時間が有る時に、今まで集めた用例を、今回の新設カテゴリにそれぞれ載せていこうと思います。

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古典の季節表現 春 二月上卯日 大原野祭

2021年02月11日 | 日本古典文学-春

きさらきやけふ神まつる小鹽山はやかけそへよ花のしらゆふ
(年中行事歌合~群書類従6)

 大原野祭の日、さかきにさして女の許につかはすとて 伊尹 
おほはらの神もしるらむわかこひはけふ氏人の心やらなむ
 返し 読人不知
さか木はの春さす枝のあまたあれはとかむる神もあらしとそおもふ
(拾遺和歌集~日文研HPより)

《卷三仁寿元年(八五一)二月乙卯【十二】》○乙卯。別制大原野祭儀。一准梅宮祭。
(日本文徳天皇實録~「増補 六国史 8』朝日新聞社、昭和15年)

《卷二十一貞觀十四年(八七二)二月三日癸卯》○二月辛丑朔三日癸卯。大原野祭如常。使等不歌舞。
《卷四十九仁和二年(八八六)二月五日乙卯》五日乙卯。大原野祭如常是日。辰時、日上有冠、左右成珥。
(日本三代實録~「増補 六国史 9』朝日新聞社、昭和15年)

(寛弘二年二月)一日、己卯。
一日中、雨が降った。例年のように大原野祭に神馬使を出立させた。(略)
(御堂関白記〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)

(寛元四年二月)七日丁卯。大原野祭也。辰時同社釜吠。其声遥聞云々。今日釈奠也。権中納言公光卿参入。依当大原野祭。上卿無庿拝云々。(略)
(百錬抄~「新訂増補 国史大系11」)

十二日、大原野祭なり。雨うちそゝぎ霞めるに、まだ見ぬ里とめづらしく見ゆれば、桂川などいふ所も過ぎて、「西山とこそ申せ。」といふ。 
こころぼそくつねに慕ひてながめせしこれや日の入る西の山本
宮にまゐり著きぬれば、辨、上卿つきて事ども行ふ。几帳さして、御前にまゐりて見れば、四所(よつどころ)の御戸(みと)ひらきて、西の御帳に、太刀を横ざまにすぢかへたるやうにつけて、扉の脇に矛立てたり。日暮るれば、いとめづらかに尊(たふと)し。果てぬれば歸るに、雨も時々猶そゝぐものから、夕日のかげに、影もすこし見えつるに、又ありつる桂川にもなりぬ。鵜舟も二三あり。橋の下行くやうにて、さしとゞめたるに、綱手引くやうに、人二人ばかり綱を引きてさきにあり。車の通れば、綱を水に沈めて、 
かつら川くだす鵜舟の綱手なはしづむるはてよ如何になりなむ
(中務内侍日記~岩波・新日本古典文学大系)

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「谷陰」用例

2021年02月08日 | 日本国語大辞典-た行

 日本国語大辞典の「谷陰(たにかげ)」用例よりもさかのぼる用例が複数あります。

みなかみを山にておつるたぎつせのしづくのたえずそゝくたにかげ
(古今和歌六帖)
『和歌文学大系46 古今和歌六帖・上』明治書院、2020年、202ページ

たにかけは-はるめきやらす-かせさえて-きゆれはこほる-ゆきのしたみつ 
(御室五十首・00002・守覚~日文研HPより)

はるのひの-ひかりにもるる-たにかけの-いはまのゆきや-わかみなるらむ
(正治初度百首・01011・経家~日文研HPより)

たにかけに-あるもかひなき-うもれきの-しられぬなさへ-くちやはてなむ 
(日吉社撰歌合_寛喜四年三月十四日・00089~日文研HPより)

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