亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

センチメントを冷やす材料の共振現象

2012年04月05日 14時48分45秒 | 金市場
4月4日のNY市場の金価格は大幅続落。でNYコメックスの先物価格は前日比57.90ドル安は、2月29日、3月14日の下げに続く3度目の急落商状。フロア取引の引け値1614.10ドルは、この日の安値1613ドルに近く、ほぼ安値引け。

引き続きFOMC議事録要旨の結果から広がった米国の追加緩和見通しの後退が、市場センチメントをリードしている。そこに4日の取引では、予定されていたスペイン国債の入札が不調に終わり、金市場のみならず株式市場から商品市場全般にリスクに対する警戒感を高めることになった。この週末は欧米ではイースター(復活祭)休暇ということもあり、ファンドの手仕舞い売りが加速した。金市場では、清明節で中国が昨日まで休み、またインドでは宝飾業者のストが長引いており実需が落ちていると見られることも心理的に弱気ムードを高めている。

この日の市場全般の関心事はスペイン国債の入札(発行)がどのような結果に終わるかという点に集約されていた。というのも、ここにきてスペインは景気悪化の中で財政赤字の削減策が目標通り進んでおらず、政府も3月初めに見通しを修正せざるを得ない状態となっていた。また、ECB(欧州中銀)による2回にわたる総額100兆円を超える域内民間銀行に対する融資(LTFO)の半分がスペイン向けであることも判明し、4月3日には株価も4か月半ぶりの安値となっていた。

昨夜取り上げたが今回のスペインの国債発行(入札)については、複数の償還期限の国債の発行予定総額25~35億ユーロに対し25億9000万ユーロと目標の下限に近く、また調達金利が前回よりも上昇したことが不安視された。2015年1月償還(「満期」の意味)と比較的短い国債への応募も前回の半分以下となっていたが、これも不安材料のひとつといえる。この日、同国10年国債の利回りは、一時昨年11月以来となる5.7%まで上昇した。入札終了後に同国のラホイ首相が、「(スペインは)極度に困難な状況にある」と発言したと伝わったことも、市場心理を冷やしたと思われる。

金価格については、4月ということでインドの需要期に入っているものの、このところ取り上げてきたように政府による輸入規制ともいえる税の引き上げで需要動向は不透明になっており、輸入は減る方向で織り込みつつある。価格は4日のNYコメックスの引け値で見て、ファンドが重視するテクニカル上(チャート分析)の長期サポートラインを割った水準となり、弱気が台頭しやすい環境に入ってきた。一方で、このところ若干膨らんだ買い建玉は再び一掃された模様。


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