マタイによる福音書27,5。そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、首をつって死んだ。
英文は Judas threw the coins down in the Temple and left; then he went off and hanged himself.
キリスト教は自殺を禁じているが、それは聖書のこの箇所に由来するのかもしれない。キリスト教徒の義務はキリストのまねをすることだが、自殺はキリストを裏切ったユダをまねることになってしまうのだから。
フレイザーのいう「類似の法則」が、ここでも生きている。「類似のものは、同一のものである」、つまり「キリスト(ユダ)をまねれば、キリスト(ユダ)になれる」。根底にあるのは、呪術的な観念なのではないか。
もしもユダヤ人の群衆に囲まれたキリストが自殺を選択していたら、キリスト教が自殺を禁じることもなかったのにゃ。