花と緑を追いかけて

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いっぱいの主婦の日記です

エジプト紀行その8・「切りかけのオベリスク」

2010年04月09日 | エジプト紀行

古代からアスワン周辺はピラミッドや神殿に用いられた花崗岩の産地で、
ここから切り出された石材はナイル増水時に船でエジプト各地に運ばれました。

アスワン郊外にある古王国時代から開発されていた石切り場には、
今でも切りかけのオベリスクが残っていました

その長さは約42m・・・
完成していれば、現存するオベリスクの中では最大級の物ですが
製作中にヒビが入ってしまったため、そのまま放置されたようです。


まずは一同腰をおろし、モモちゃんの勉強会から始まりました。

オベリスクはまず切り出す大きさに溝を作り
そこに木製のくさびを打ち込み
水をかけて木材が膨張する力で亀裂を生じさせ切り出すとか・・・
切り口はほとんど凸凹がなく滑らかに切れるそうです

世界中に現存しているオベリスクは合計で30本だといわれています。
そのうちオベリスク発祥の地、エジプトには7本しか残っていません。
「たくさんのオベリスクがエジプトには在ったのに、そのほとんどを戦利品として盗られました
とモモちゃんは残念そうにつぶやいていました。

古代ローマ帝国がエジプトを支配下に収めたとき、
エジプトから50本ものオベリスクを本国ローマに持ち帰ったと伝えられていますが
その殆どが現在発見されていない状態で、ローマには13本のオベリスクが残されているのみです。

そのほかの10本のオベリスクに関しては、
イタリア各地、トルコ、イスラエル、フランス、アメリカ、イギリスなどに点在しています。
フランス・パリのコンコルド広場のオベリスクも有名ですね。


モモちゃんの説明が終わってから、各自石切り場の丘を登りました。
明らかに溝が掘られ表面が滑らかな長い石が横たわっています。
以前はこのオベリスクの上に登れたようですが、今は立ち入り禁止・・・


更にひと登りするとアスワンの町が見渡せました。
乾いた風は爽やかでしたが、照りつける太陽が強烈で、みんな帽子やフードを目深くかぶります。

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下を見下ろすと私たち仲間4人の影か見えています。。マウスオンでご覧下さい

「みんなでハ~イ、ポーズ」号令をかけてカメラで写しているのが私です


石切り場のてっぺんから、ヌビアの人々が暮らす家々が望めます。
もともとエジプトとヌビアはそれぞれ独立した別の国でした。

広大なヌビアの大地は金や銅を初めとする鉱物資源に恵まれていたため、
ヌビア人は小さな集団を形成していました。

現在ヌビアという国は存在しませんが、年中行事や冠婚葬祭、音楽や建築、衣装に見られるスタイル
エキゾチックな風貌などエジプトとは違う、ヌビアとしての独自性が色濃く残っています。


石切り場の丘を下ってお土産屋さんの並ぶ通路を通り、
トイレに寄ってからバスに戻ると「ランチボックス」を手渡されました。

これからいよいよ280km南にある、エジプト観光のハイライト「アブシンベル」に向かいます。

午後12時半、すべての観光バスは軍団になって、パトカー先導で行くようです。

エジプトではイスラム原理主義のテロによって亡くなった人は、
1992年から98年までにかけての6年間だけでも観光客地元民含めて1100人にものぼるとか・・・

特に1997年のルクソールの「ハトシェブスト女王葬祭殿」での出来事は戦慄でしたね。
日本人観光客10人を含め、68人がテロにより亡くなりました。

それ以来観光客は激減、特に日本からのツァーはいつまでも再開されず
観光立国のエジプトには多大な痛手となったそうです(そこがテロリストの狙い目?)
それで日本大使館と話し合いが行われ、このようなパトカー先導で行く措置がとられたとか・・・

モモちゃんに言わせると
「パトカー先導、こわ~いというのが日本人」
「おもしろ~い、というのが西欧人」なのだそうです。


警察官の見送りを受け出発です。
バスの中からはパトカーの姿は見えませんから、物々しさは特に感じられません。

たとえテロの心配がなくても、このようなアラビア語の標識では、
オーストラリアのようにレンタカーを借りて個人で行こうにも無理がありますね。


こちらは速度標識でしょうか・・・
どの車も凄いスピードで走り、守られているとも思えませんでした。

朝ごはんは、早朝のカイロ空港でお弁当のパンとチーズとヨーグルトを食べただけですから
流石にお腹がすきました。


こちらが「ランチボックス」の中味です。
炒めご飯とコッペパン・・・
パンの間に鳥の唐揚げをちぎってピクルスと一緒に挟んで食べたら、それなりに美味しかったですね。

後の席に座っていた泉アキさんが覗き込んで、「私、青唐辛子が大好き!」と言うので
お分けしましたわ。


広大な砂漠の中に送電線がどこまでも通じていました。
アスワンハイダムが出来て以来、有り余るほどにエジプトの電力事情は良くなったそうです。

砂漠街道をバスは速度を増して走ります。
その内、皆がコックリコックリ舟を漕ぎ出しました
この2日間、ほとんど寝る時間がありませんでしたものね。

          

ご報告です。
全身麻酔で行う父の二泊3日の検査入院の予約を来週に入れたのですが、
不安がいっぱいで眠れない日が続き・・・
一昨日、「あなたも真剣に考えて!」と弟を誘いだし、一緒に病院の主治医と再度話し合いました。
先生も「無理には勧めません」と言ってくれましたので、結局キャンセルしてきました。

今更手術も出来ないのに、リスクの高い検査をしてどうするの!といった心境だったのですが、
一人で決断するには重すぎて、弟にも一緒に考えてもらいました。
これで後悔したとしても、2人で決めたことですから重荷は半分です。
姉妹がたくさんいらっしゃる方々を羨ましく思ったこの数週間でしたよ。

患部は前立腺なのでこれからホルモン療法に入ります。
まだまだCTスキャンやMRIの検査はあり、すべてはこれからなのですが・・・
取り合えず最初の難問は通り抜けてほっとしました。

昨日はピカピカのお天気の中、花のお江戸に繰り出し、そして明日はお花見に出かけます。
私も気持ち的にようやくを感じることができました。
ご心配いただいた皆様、ありがとうございました


コメント (14)
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