▼ 私の街でも、いよいよワクチン接種が始まる。
対象は、65歳以上の高齢者からだ。
その前に、医療関係者への接種があったようで、
家内のコーラス仲間が受けたと聞いた。
「ついに、すぐそこまでワクチンが来ている。」
それだけで、収束の光りが見えた気がして、
少し気持ちが軽くなった。
それにしても、
報道からは、予約はきっと混乱するだろうと思っていた。
しかし、市のホームページに
『接種は必ず受けられますので、慌てずにお待ちください』
の一文を見つけ、そこに『予約終了』の知らせがあっても、
動揺しなかった。
その後、数日して、「接種枠が増えましたので」と、
市から自宅に連絡があり、6月下旬の予約が取れた。
このパンデミックから開放されるのは、
まだまだ、まだまだ先だろう。
でも、こうして収束への道をみんなで歩み始めたのだ。
心強く思うのは、私だけだろうか。
「そうだ!」。
集団接種会場での案内誘導や交通整理なら、私でもできる。
ボランティアが必要なら、是が非でも駆けつけたい。
声をかけて欲しい。
▼ ワクチン接種のわずかな明るさが手を貸すのか、
ついにやってきた期待の6月に、少々酔っている。
ジューンベリーは、我が家のシンボルツリーだが、
首都圏からここへ転居して、7日で丸9年になる。
その歳月を証明するかのように、根元の幹は太さを増した。
随分と背も伸び、枝も大きく広がった。
真っ白な花が終わり、
今は全てが新緑に被われ、ふくよか。
徐々に、実が膨らみ、赤く熟す時がもう間もなくだ。
9年前の春先のこと、
「住まいが、ほぼ出来上がりました。
引っ越しの予定はいつ頃になりますか。」
新居を依頼した建設業者さんから、
問い合わせの電話だった。
私は、計画していた通りを即答した。
「そちらへは、6月になったらすぐ行きます。」
誠実で、信頼していたその業者さんは、
いつもの穏やかな口調で言った。
「そうですか。それはよかった。
伊達の1年で、一番いい時季です。
しっかり準備して、お待ちしています。」
新天地で、新しい一歩を踏み出すワクワク感に、
そのひと言はさらに弾みをつけた。
期待感が、大きく膨らんだ。
それから、毎年6月になると、
「伊達の1年で、一番・・・」を思い出す。
そして、いつも「期待通り!」と大きな空を見上げる。
5月、伊達は一斉に春を迎える。
街は、春の草花で賑わい、
近郊の田畑では、いたるところでトラクターが動きだす。
小川も、雪解け水を湛え、活気づき、
木々は芽吹き、緑色が増していく。
そんなプロローグを経て、ついに6月は来る。
夜明けは、圧倒的に早く、
目覚めると、陽は高く、明るく澄み渡る。
窓を開けると、遠くで鳴き交わすカッコウの声と、
子スズメの細いさえずりに混じって、ヒバリの尖った声が届く。
時に、アカゲラのドラミングがそれに加わる。
山々は、すっかりと緑にあふれ、丸みをおび、
それを仰ぎ見ながら、私は「今年も、山が太った」と、
一人つぶやく。
住宅街の庭からは、
黄色の水仙も赤や白のチューリップも消え、
代わりに、こぼれるような牡丹やシャクヤクの鮮やかさが、次を飾る。
道端のいたる所に、
大好きな紫色のルピナスやアヤメが咲き誇り、
自宅そばの『嘉右衛門坂通り』は、
真っ白なツツジが、人目を誘う。
「それだけで、もう十分!」。
なのに、なだらかにうねった畑では、
均等に植え付けられたブロッコリーやキャベツの
小さく凜とした苗が、スクスクと大きく。
そして、まもなく収穫のとき・・。
畑の生命に、つい見とれて立ち止まる私。
心が、次第に潤う。
▼ その6月を堪能しながら、
この9年間で培われた知恵が、私に忠告する。
「もう、よく分かっただろう。
季節の移ろいは、待ってなんかくれないのさ。
いい時季は、あっという間!
だから、そう、油断なく!
どんなことも、後回しはよそうよ。
それより、今をもっともっと、謳歌して!」と。
なのに、ふと、余計なお世話と思いつつ、
「老け込む前に」と、小さくうなづいたり・・。
マイガーデン・白のアイリス
対象は、65歳以上の高齢者からだ。
その前に、医療関係者への接種があったようで、
家内のコーラス仲間が受けたと聞いた。
「ついに、すぐそこまでワクチンが来ている。」
それだけで、収束の光りが見えた気がして、
少し気持ちが軽くなった。
それにしても、
報道からは、予約はきっと混乱するだろうと思っていた。
しかし、市のホームページに
『接種は必ず受けられますので、慌てずにお待ちください』
の一文を見つけ、そこに『予約終了』の知らせがあっても、
動揺しなかった。
その後、数日して、「接種枠が増えましたので」と、
市から自宅に連絡があり、6月下旬の予約が取れた。
このパンデミックから開放されるのは、
まだまだ、まだまだ先だろう。
でも、こうして収束への道をみんなで歩み始めたのだ。
心強く思うのは、私だけだろうか。
「そうだ!」。
集団接種会場での案内誘導や交通整理なら、私でもできる。
ボランティアが必要なら、是が非でも駆けつけたい。
声をかけて欲しい。
▼ ワクチン接種のわずかな明るさが手を貸すのか、
ついにやってきた期待の6月に、少々酔っている。
ジューンベリーは、我が家のシンボルツリーだが、
首都圏からここへ転居して、7日で丸9年になる。
その歳月を証明するかのように、根元の幹は太さを増した。
随分と背も伸び、枝も大きく広がった。
真っ白な花が終わり、
今は全てが新緑に被われ、ふくよか。
徐々に、実が膨らみ、赤く熟す時がもう間もなくだ。
9年前の春先のこと、
「住まいが、ほぼ出来上がりました。
引っ越しの予定はいつ頃になりますか。」
新居を依頼した建設業者さんから、
問い合わせの電話だった。
私は、計画していた通りを即答した。
「そちらへは、6月になったらすぐ行きます。」
誠実で、信頼していたその業者さんは、
いつもの穏やかな口調で言った。
「そうですか。それはよかった。
伊達の1年で、一番いい時季です。
しっかり準備して、お待ちしています。」
新天地で、新しい一歩を踏み出すワクワク感に、
そのひと言はさらに弾みをつけた。
期待感が、大きく膨らんだ。
それから、毎年6月になると、
「伊達の1年で、一番・・・」を思い出す。
そして、いつも「期待通り!」と大きな空を見上げる。
5月、伊達は一斉に春を迎える。
街は、春の草花で賑わい、
近郊の田畑では、いたるところでトラクターが動きだす。
小川も、雪解け水を湛え、活気づき、
木々は芽吹き、緑色が増していく。
そんなプロローグを経て、ついに6月は来る。
夜明けは、圧倒的に早く、
目覚めると、陽は高く、明るく澄み渡る。
窓を開けると、遠くで鳴き交わすカッコウの声と、
子スズメの細いさえずりに混じって、ヒバリの尖った声が届く。
時に、アカゲラのドラミングがそれに加わる。
山々は、すっかりと緑にあふれ、丸みをおび、
それを仰ぎ見ながら、私は「今年も、山が太った」と、
一人つぶやく。
住宅街の庭からは、
黄色の水仙も赤や白のチューリップも消え、
代わりに、こぼれるような牡丹やシャクヤクの鮮やかさが、次を飾る。
道端のいたる所に、
大好きな紫色のルピナスやアヤメが咲き誇り、
自宅そばの『嘉右衛門坂通り』は、
真っ白なツツジが、人目を誘う。
「それだけで、もう十分!」。
なのに、なだらかにうねった畑では、
均等に植え付けられたブロッコリーやキャベツの
小さく凜とした苗が、スクスクと大きく。
そして、まもなく収穫のとき・・。
畑の生命に、つい見とれて立ち止まる私。
心が、次第に潤う。
▼ その6月を堪能しながら、
この9年間で培われた知恵が、私に忠告する。
「もう、よく分かっただろう。
季節の移ろいは、待ってなんかくれないのさ。
いい時季は、あっという間!
だから、そう、油断なく!
どんなことも、後回しはよそうよ。
それより、今をもっともっと、謳歌して!」と。
なのに、ふと、余計なお世話と思いつつ、
「老け込む前に」と、小さくうなづいたり・・。
マイガーデン・白のアイリス