
そんな中、TKUテレビ熊本で郷土の偉人シリーズとして名優笠智衆さんの人生を描いたドラマが放送された。笠智衆さんに扮したのは小日向文世さん、その奥様を松下由樹さんが演じた。これからTVerなどでご覧になる方にネタバレとなってはいけないので内容については省略する。
ドラマを見ながら、11年前、笠智衆さんの生家である玉名市天水町の来照寺へ母を連れて訪問した時のことを思い出した。その時、ご住職の奥様からお聞きした笠智衆さんのエピソードを再掲したい。
それは笠智衆さんが亡くなる少し前、「おじいさん 笠智衆写真集」の撮影のため、この生家、来照寺へ帰って来られた時の話。余計な気を使わせまいと何の連絡もせず来照寺へ帰って来た笠さん。ところが、たまたまこの日はご家族全員お出かけで家にも本堂にも入れない。しかたなくガラス戸が締め切られたままの本堂の縁側で撮影をすませたそうだ。それを聞いて写真集を見直してみると、たしかにお寺の縁側で着物姿でくつろいではいるものの、うしろのガラス戸は締め切られたままというなんとも不自然な写真。笠さんのお人柄を偲ばせるエピソードに、あとから笑いがこみ上げてきた。

来照寺境内に立てられている出演映画の看板