徒然なか話

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「ツル」という地名

2023-07-26 20:19:27 | 歴史
 地名の中にはその由来を調べてみたいなと思う地名が時々出て来る。熊本市北部の湧水地「八景水谷(はけのみや)」はその昔「ハケ」と呼ばれていた崖が語源であることをブログネタにしたことがある。
 今回は日本各地にある「ツル」という地名を取り上げてみた。「ツル」も「ハケ」と同じくまだ文字が無かった頃の古代日本語だと思われるが、「ふるさと寺子屋」の熊本地名研究会事務局長・高濱幸敏氏講話録には次のように記されている。

――ツルという地名は、県内に小字で748もある。民俗学の創始者、柳田國男は、日本人の祖先は川をだんだんさかのぼり、住みよい場所を見つけて定住していったと言っている。川の蛇行した所は洪水のときに平地をつくる。うしろは山手になっていて、水はけがよく、薪にも事欠かない。ツルはこんな場所のことだと思える。砥用町には、緑川の支流の津留川が流れ、川に沿って津留という村がある。この辺りは砥用町でも良質の米がたくさん穫れた一等地ということであった。ツルは、明治の初めの頃には県内に26の村があった。集落地としても多い地名である。今は市町村合併がくり返されて、大字として地名は残っている。北部町には、津留・津留畑・玉名には向津留、山鹿には上津留・下津留。この他にも菊陽町、蘇陽町、高森町など各地にたくさん残っている。――

 この解説を読むとどうやら「ツル」と呼ばれる所の地形は扇状地であるようだ。扇状地で思い出したが、毎年秋、一万羽を超える鶴が渡来する出水市の渡来地は三つの川によって出来た扇状地であるという。調べてみると国内各地の鶴渡来地は扇状地が多いようである。これは「ツル」という地名の由来と関係があるのだろうか。それとも洪水で出来たツルっとした平地だからなのだろうか。

 僕が10年近く勤務したブリヂストン熊本工場と菊池川を挟んだ対岸が津留地区である。ちょうど梅林天満宮の辺りである。少し下流には向津留(むこうづる)という地区もある。菊池川に橋が架かっていなかった明治初期以前は向津留と高瀬町の間に渡し舟が通っていたそうである。


玉名市津留地区


梅林天満宮


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