どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

松井さんの秋

2015年09月06日 | あまんきみこ

     松井さんの秋/あまんきみこセレクション3 秋のおはなし/三省堂/2009年


 テレビドラマや小説では珍しくないが、主人公が同じ連作で4話が収録されている。
 ひとつひとつのお話が独立しているが、同一の主人公がでてくるのでスムースにはいっていける。

 タクシー運転手の松井さんは結婚式の式場にむかう途中、どうしてもおじいさんにあいさつしたいというネズミのカップルをのせることに。<ねずみの魔法>

 若い男のいうとおりに車を走らせていると、男はいつのまにかは山ねこに姿をかえていました。母親が病気になって、見舞いに行くという医者のたまご。”山ねこ、おことわり”のねこ語の張り紙を残していってくれるのですが。<山ねこ、おことわり>

 白い服を着た娘さん二人をのせて、虹の林の入り口まではしらせます。二人は飼われていたいた白鳥ですが、自分の家族のもとにかえるところでした。<虹の林のむこうまで>

 道路の真ん中でシャボン玉で遊んでいた女の子が道をふさいでいたので、注意しようとすると、女の子は大泣き。こまってながめていると、松井さんは小さくなっているような気がします。
 今度は小指くらいの男の子が「なんてこった。なんてこった」と松井さんの口つきをまねます。
 自分の車が怪物のように大きく見え、かなしくなった松井さんが大泣きすると、今度は松井さんがどんどんのびてもとにもどります。
 あわてて車にのった松井さんが車をとめてふりかえると、たくさんのシャボン玉がきらきらつぶつぶかがやいているのがみえます。<シャボン玉の森>

 乗車拒否をしない松井さん。いずれも松井さんの優しさがつたわってきます。
 松井さんは、いくつぐらいの人でしょうか。子どもがいたのでしょうか。そもそも結婚していたのでしょうか。