どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

木の上に住む子どもたち・・タンガニーカ カンバ族 オオカミと七ひきの子ヤギ

2015年09月28日 | 昔話(アフリカ)

       木の上に住む子どもたち/オクスフォード 世界の民話と伝説10 アフリカ編/講談社/1978年改訂


 「木の上に住む子どもたち」はグリム「オオカミと七ひきの子ヤギ」と同じような話。

 男一人で子育てをしているお父さん。アフリカの話らしく、けだものや魔法使いを心配して、木の上に小屋をたてて、登りおりように縄梯子をつけます。

 ここに、自分のために働かせようと魔法使いがやってきます。

 子どもたちは、魔法使いにさらわれ、奴隷にされてしまいます。しかし、お父さんがやってきて無事に救われます。

 グリムでは、オオカミがチョークを食べて声をかえ、子ヤギのところにきますが、「木の上に住む子どもたち」では、魔法使いがアカアリ、クロアリ、サソリに舌をかませ、舌がおおきくはれあがって、一か月たつと、お父さんの声と同じになると大分手が込んでいます。

 「オオカミと七ひきの子ヤギ」を聞いた方が、チョークの効用はずっと続いたのか疑問をていしていましたが、「子どもたち」のほうは、しわがれ声で子どもと会話しますから、はれがおさまったら、もとにもどったようです。

 「子ヤギ」は、オオカミに飲み込まれてしまいますが、「子どもたち」のほうは、こき使われます。

 魔法使いは、お父さんの矢で心臓をうちぬかれますが、いまわのきわに「わしが死んだら、小指を切って、火にくべなさい。そうすれば、わしの殺したものがみんな生きかえってくる。」と言い残します。

 そのとおりにすると、ウシやらヤギやらヒツジやら、おまけに人間までもがつぎつぎとでてきます。

 この魔法使い、最後に素敵なものをプレゼントしてくれる、ずいぶんさばけた存在。

 かたや動物、かたや人間、かたやお父さんとかたやお母さんと対照的です。子どもは三人登場します。