紅葉の頃/安房直子コレクション7 めぐる季節の話/偕成社/2004年/1993年初出
8月前半の猛暑から後半は雨、くもりの日が続き、なんとなくすっきりしない日々。
季節は秋に。秋は紅葉の季節。
紅葉は紅葉の精が、山のはたのある家にいっせいにはいりこんで、峠の紅葉、谷の紅葉、ふもとの紅葉を織ります。
峠の紅葉は、赤や黄色になってみんな、こぼれてゆくよ。紅葉はわらいながら、こぼれてゆくよ。それから谷に落ちて、またわらいながら、流れてゆくよ。
安房作品は音が聞こえ、色がはっきりしたイメージであるが、どれもギラギラしたものではなく、落ち着いたもの。
そして季節もギラギラの太陽の下ではなく、秋とか冬、そして息吹を感じさせてくれる春がふさわしいようだ。
この話を読んで、紅葉のイメージがふくらむ。
この機織り機はいずれも古くなって、いまはあまり使われていないもの。小屋の片隅にひっそりおかれた機織りへの愛着も感じられた。
川に流れてきた紅葉の裏側には、山のうさぎの手紙が書いてあるのですが、どんな内容でしょうか。