野のピアノ/あまんきみこセレクション3 秋のおはなし/三省堂/2009年
調律師のおじさんのところに、トランプの箱二つぐらい重ねたぐらいの小さな小包がとどきます。
草野保育園の園長さんからです。
おじさんはおととい草野保育園のピアノ調律にいって、そのお礼だったのです。
草野保育園はねずみの保育園。
ちいさなちいさなねずみのピアノの調律をどうするのかなと思っていたら、カゼクサの野原をジグザグして行くとおじさんがねずみとおなじくらいになってしまうというので納得しました。
草野保育園の子どもたちはピクニックの日で、子どもたちがいないときにピアノの調律をするのですが、調律しているときに子どもたちがかえってきて、窓からのぞいて大騒ぎ。おじさんが手をあげると、子ねずみの目がみんな細い糸になります。
とりたてて大きな事件がおきるわけでもなく、悪役もでてきません。
なにかほっとする優しさがあふれている世界です。
小包の中身は、赤い秋グミの実で、秋の風情を感じさせてくれます。