松井さんの冬/あまんきみこセレクション4 冬のおはなし/三省堂/2009年
秋編に続いて、冬編。タクシー運転手の松井さんは、あいかわらず乗車拒否しません。
イチョウの葉がまう深夜に乗せた客はクマに似ていました。会社に帰った松井さんは、タクシーの中に財布が忘れられていたのにきがつき、忘れ物を届けにいきます。
ところが、しんしは、財布が届けられるのを予期していて、とわずがたりに、自分の身の上話をはじめます。このしんしはやはりクマで、人間と話をしたかったのです。
ほろびるばかりのクマたちとお別れ会をして、人間界にやってきたクマ。二人の子にめぐまれますが、どうしても、住んでいた山が忘れられなかったのです。ふるさとを思う気持ちがでています。<くましんし>
粉雪が銀色の羽虫のように舞う日にのせたのはきつね。キツネコンクールに迷い込んでしまいます。
ばけかたが一番うまいというので、あぶらあげ十三びょうもらいます。
キツネのばけかたが、いまひとつで、たんにキツネに勘違いされた松井さんなのですが・・
でもコンクールがおわってから、キツネを何回も車に乗せることになって商売は大繁盛です。<本日は雪天なり>
ネコを乗せてついたのは、ねこの市。そこであったのは昔松井さんのところにいたネコのチャタロウ。今では松井さんと同じタクシー運転手でした。祭りのような市で二人で食事。ねこの市には、すてねこ、病気ねこ、家でねこ、まよいねこが元気をもらってそれぞれのところにかえります。チャタロウが松井さんのところからなぜ姿をけしたのかは語られていません。<雪がふったら、ねこの市>
のったのは、歯がいたくなって、歯医者に行く兄弟。お兄ちゃんはつきそいです。
あらかじめ、ママが電話してあります。
ついた歯医者は、「田沼歯科医院」の”田”の字がきえかかった「た」ぬき歯科医院でした。
一緒に行くお兄ちゃんのほうの緊張がつたわってきます。<たぬき先生はじょうじです>