善人と悪人/オクスフォード 世界の民話と伝説3 アメリカ編/渡辺 茂雄・訳/講談社/1978年改訂
悪人と善人とわかりやすいタイトル。
こんな話だと悪人が金持ちで、善人が貧乏というのが相場だが、この話では両者とも金持ち。
二人のちがいは、どれいのあつかい。悪人はどれいたちをむちでたたいたり、たべものをろくにたべさせなかったりとひどいしうちをする。
善人はそれと正反対。
この二人がどれいのあつかいはどちらが正しいか、三者に聞いて、正しかったほうが、全部の財産をいただくことにする。はじめは若い男、次には中年の男、次に年寄りにあって、意見を聞くが、どちらも悪人の考えを支持する。このため善人の財産は全部悪人のものになる。
このパターンの昔話では、三番目が善人の言い分をきいておわりになるのが普通だが、この話ではここまででまだ前半。
じつは意見を聞いた男は、三人とも悪魔がばけていたもの。
善人はばかばかしいかけで、全財産をなくしたので、仕事をさがすため歩き始める。
途中、あばら家を見つけ、そこで寝ていると、悪魔がやってきて、おしゃべりをはじめる。
一人の悪魔は、川のみなもとを石でふさぎ、そのため町の人はひいひいしているのを自慢する。
もう一人の悪魔は、酋長の娘を病気にしたことの自慢。
二人の悪魔は、その解決方法も話したので、それを聞いた善人がでかけていって、問題を解決し、たくさんの財産をもらうことに。
最後は悪人も恩恵を得ようとするが、悪魔につかまってしまう。
後半は、日本の聞耳頭巾ににている。
奴隷や酋長の娘がでてきて、いかにもアメリカらしい話。
しかし、悪人と善人というのは直接的であまり感心はできない。