わらしべ長者/いまは昔むかしは今2 天の橋 地の橋/福音館書店/1991年
わらしべ長者というと、貧乏な若者が次々に物々交換して長者になるというおなじみの話。
宇治拾遺物語にあるという「わらしべ長者」は、夢をみるという冒頭部から、これまでおなじみの「わらしべ長者」とは、ちがっています。
お寺に居座り続けた貧乏な若侍が、なんであれ手にあたったものを捨てずにもっていくことだと夢の人から追い立てられます。
若侍が、アブをわらしべでしばって歩いていると、興味を持ったかわいい若君から、所望され、アブをつけたわらしべをやると、みかんを三つもらうことに。
高貴のかたが、参詣の途中のどがかわくが、近く水がないのでこまっているので、男がみかんを三つともやると、お礼として、白い上等の布を三疋もらいます。
翌日には、みるみるうちに弱って、いまにも死にそうになる馬とあいます。まったく素晴らしい馬にみえましたが、馬は息を絶えてしまいます。
主人がなんとかしまつしろというのを、男は布一疋で、この馬をもらい受けます。
男が長谷寺の方角にむかって、馬を生き返らせてくれるように祈ると、馬は生き返ります。
男は馬を盗んだと疑われるのを恐れ、売ることにしますが、ちょうど田んぼととりかえるのは、どうだろうかと持ち掛けられます。
もちろんその話をうけた男ですが、田の半分は小作に出し、自家用の米を人に作らせるあたりは、当時の状況が反映されています。