百まいのきもの/文:エリノア・エスティーズ 絵:ルイス・スロボドキン 訳:石井 桃子/岩波子どもの本/1954年
友だちもなく,ひとりぼっちの少女,ワンダ・ペトロンスキー。
毎日同じ,色あせた青い服を着ているのに,家には「百まいのきもの」があると言いだしたワンダー。
きっかけは、セシルが着ていた素敵なきものでした。
みんながセシルのことをほめて、ガヤガヤしゃべっているときのことでした。
ワンダーがだしぬけに「あたし、百まいも、きものもっているの」といいだします。
百まいもきものをもっていそうもないワンダーは、それから何かといじめられます。
いじめるのはペギーが中心でしたが、小さな子がいじめられているといつもかばい、しんからいじわるい子ではありませんでした。
ペギーと同級生のマディーもワンダーほどではありませんが、貧乏でした。はじめはペギーに同調していたマディーですが、ペギーが、ワンダーをからかうのをやめてくれないかしらと思うようになります。
マディーは勇気をふるって、ペギーに手紙を書こうと思いますが、小さく破ってしまいます。
ところが、みんながワンダーを見直すことになったのは図画のコンクールでした・・・・。
発行が1954年で、「絵本ナビ」に感想が多くのっていてもおかしくない内容ですが、一件でびっくりしました。
いじめるがわのマディーの心理がよくわかる内容です。絵は補助的で、長い文章を読まなければならないので、とっつきにくいのかもしれません。
いじめが原因で死をえらぶニュースに接すると暗澹たる思いにかられますが、いじめられる側に身を置いて考えてみてと思っても、単純にいかないのが、いじめの問題かもしれません。
物語らしく マディーとペギーは、引っ越ししたワンダーから素敵な絵をもらうのが救いです。