どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

百まいのきもの

2017年12月12日 | 絵本(外国)


   百まいのきもの/文:エリノア・エスティーズ 絵:ルイス・スロボドキン 訳:石井 桃子/岩波子どもの本/1954年


 友だちもなく,ひとりぼっちの少女,ワンダ・ペトロンスキー。
 毎日同じ,色あせた青い服を着ているのに,家には「百まいのきもの」があると言いだしたワンダー。
 きっかけは、セシルが着ていた素敵なきものでした。

 みんながセシルのことをほめて、ガヤガヤしゃべっているときのことでした。
 ワンダーがだしぬけに「あたし、百まいも、きものもっているの」といいだします。

 百まいもきものをもっていそうもないワンダーは、それから何かといじめられます。

 いじめるのはペギーが中心でしたが、小さな子がいじめられているといつもかばい、しんからいじわるい子ではありませんでした。

 ペギーと同級生のマディーもワンダーほどではありませんが、貧乏でした。はじめはペギーに同調していたマディーですが、ペギーが、ワンダーをからかうのをやめてくれないかしらと思うようになります。

 マディーは勇気をふるって、ペギーに手紙を書こうと思いますが、小さく破ってしまいます。

 ところが、みんながワンダーを見直すことになったのは図画のコンクールでした・・・・。

 発行が1954年で、「絵本ナビ」に感想が多くのっていてもおかしくない内容ですが、一件でびっくりしました。

 いじめるがわのマディーの心理がよくわかる内容です。絵は補助的で、長い文章を読まなければならないので、とっつきにくいのかもしれません。

 いじめが原因で死をえらぶニュースに接すると暗澹たる思いにかられますが、いじめられる側に身を置いて考えてみてと思っても、単純にいかないのが、いじめの問題かもしれません。 

 物語らしく マディーとペギーは、引っ越ししたワンダーから素敵な絵をもらうのが救いです。