アフリカの民話集 しあわせのなる木/島岡由美子・文/未来社/2017年
”ど”がつくほど貧乏なチンジャカ。
食うや食わずの生活で、おくさんや子どもは、どなりちらし、牛やロバもひどくむちでたたいて働かせていました。
チンジャカは、シャターニの森の奥に「しあわせのなる木」があるという噂を聞いて、木をさがしにでかけます。
途中、ひとりのおばあさんにあって、森に入ったら二度と出てこられないと忠告をうけますが、「しあわせのなる木」だったら、森のすぐそこにあると聞いて、歩き出すとすぐに、木の上で動物たちが歌っています。
こんにちわ! こんにちわ!
おげんきですか? とっても元気です
しあわせ、しあわせ、しあわせのなる木
ライオン、サイ、ゾウにカバ、みんな友だち、みんななかよし
ラッタラッタラーン♭
聞いていたチイジャカも、幸せな気持ちになって、自分も歌いました。
歌を聞いてから自分も楽しくなって、それからはいいことずくめ。
牛やロバにも「みんな友だち、みんななかよし ラッタラッタラーン♭」という歌をきかせてやると、ごきげんよく働くようになり、畑もよくたがされ、作物もたくさんなります。
おくさんはおいしい食事をつくってくれ、子どもも水汲みや薪割りを文句ひとついわずに手伝うようになります。
「しあわせのなる木」は、いつだって、みんなのそばにはえていいますと結ばれています。
歌は気持ちを解放してくれますから、楽しい歌をうたったら、たしかに、いいことが起こりそう。前向きに考えるのが一番ということでしょう。
いいことだけでなく、悲しい時や嬉しいときも歌で癒されますね。