とくべえとおへそ/作・桂 文我 絵・田島 征彦/童心社/2004年
上方落語「月宮殿星の都」よりとあります。
大うなぎを釣り上げたのはよかったが、うなぎに釣り上げられ雲の上までのぼってしまったとくべえさん。
そこであったのは、かつて助けたカミナリのごろぞうはん。
ごちそうにだされたのは、虹のそうめん、どじょうのカバヤキ、あられのみぞれあえ、はるさめのしぐれ、いわしぐものしおやきと天上でしか食べられないレアもの。
ちょうどこの日は月宮殿というお屋敷のお祭りの日。変装したカミナリの格好でいってみると、王さま、お妃さまが、カミナリが集めたおひそを蓮池に舟をうかべて食べるという。
とくべえさん、義を見てせざるは勇無きなりとばかり、おへそを盗み出し、蓮の葉っぱの水玉に落として地上の人間に返しはじめます。
「おへそが かえってきたあーっ」と喜ぶ声。そりゃそうですねん、おへそがないと人間、力がでませんもの。
困ったのはコック。そこでブタのおへそを代用にすることに。
王さま、お妃さまがおへそ料理を食べようとすると・・・。
関西弁でテンポよく、とくべえさんとごろぞうはんの掛け合いが続いていきます。
カミナリがおへそをあつめるのは、王さま、お妃さまの料理にするためだったとは!
カミナリ様の世界に蓮池があるので、もしかすると、ここは極楽を模したものか?。
祭りやカミナリがブタからおへそを集める場面など、田島さんのなんともいえない絵が楽しい。