世界むかし話 ドイツ/矢川澄子・訳/ほるぷ出版/1989年
むかし、一人の男が死に際に、自分が亡くなったあと、兄のところで面倒をみてもらうように言い残します。
男の妻と息子のハンスが、夫の遺言通り兄を訪ねて旅をしている途中、ハンスは道ばたに落ちている一本の青い帯をみつけます。
妻は息子をにくんでいて、なにかにつけて息子のすることに反対していました。帯をひろうことにも反対しますが、息子は何かの役にたつかもしれないと青い帯をひろい、腕に巻き付け上着で隠します。すると不思議な力がわいてきて、誰もハンスに手出しできず、みんなこそこそにげだすようになります。
旅をつづける途中、あるほら穴で、主の大男にあいます。大男はハンスの母親に求婚し、母親も大男が立派な男だったので、求婚をうけいれ、ほら穴で暮らすようになります。
大男はハンスの不思議な力をおそれ、なんとかかたずけようと画策しはじめます。
母親が仮病を装い、ライオンの乳をとりにいかせます。
次には三人の大男の庭にあるリンゴを食べないかぎり死んでしまうからと、リンゴをとりにいかせます。
画策はいずれも失敗し、ハンスは、つもりはないと三人の大男の地下室で、鉄の鎖につながれていたお姫さまを救い出します。
ハンスがお姫さまの城で休んでいるとき、大男はハンスの両眼をつぶしてしまい、青い帯もとりあげてしまいます。
それでもお姫さまは、他の男を夫にするつもりはありません。
一匹の目の見えないウサギが小川に飛び込んで、ちゃんと目が見えるようになったのを見たお姫さまが、ハンスを水にみちびくと、ハンスも、また目が見えるようになります。
偶然がタイミングよく出てきて安心して聞けるのが昔話です。
青い帯はだれが落としていったのでしょうか。帯はハンス以外は魔力がきえうせてしまいます。
ライオンがハンスを助けてくれたり、リンゴを食べると眠気におわれ、寝てしまい危機におちいるなどどうなるだろうとハラハラするところがでてきて、聞き手を飽きさせません。