アジア・太平洋の楽しいお話 ライオンとやぎ/ユネスコ・アジア文化センター・編 駒田和・訳/こぐま社/1994年
「ホットケーキ」「パンはころころ」「しょうがパンぼうや」などなどとおなじように、逃げ出すのが楽しい話。
お話に共通しているのは、ラスト食べられてしまうこと。
終わり良ければ総て良しでは、ありませんが、この「ふしぎなマンゴー」のラストは余韻があります。
他の話と同様、マンゴーが強い風に吹かれ、地面におちてころがりはじめます。
途中あったのは、ぶた、小さな男の子、ふたりの女、はらぺこ狩人。
ぼくはふしぎなマンゴーさ
どっこい、あんたにゃ つかまらない
木からはなれてころころと
広い世界を 見物に!
と、歌いながらにげていきます。
マンゴーはなんとか、草むらにげこみ、みんなからにげだすことに。
マンゴーは何日も何日もねむり、じっとしています。それからまた何日もたつと、ふしぎなマンゴーから小さな緑の芽が。
そうです。ふしぎなマンゴーは、大きなマンゴーの木になる準備をはじめたのでした。
食べられそうになりながら、歌いながらにげだす繰り返しのリズムは、他の似たような話と同様ですが、ラストはなにか希望を感じさせてくれキラリ光るものがあります。食べられておわりになるのは、あららという感じ。
ホットケーキやパンではこうはいきません。