どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ライオンの ながい いちにち

2023年03月20日 | 絵本(日本)

    ライオンの ながい いちにち/あべ弘士/佼成出版社/2004年

 

 母さんライオンが、もうすぐヌーのむれが もどってくるからと狩りの打ち合わせを開いているとき、ライオンの父さんと子どもたちが散歩にでかけます。

 長かった雨もようやく おわりにちかづき、木の葉や草も緑が濃くなって、いちばん すごしやすい季節。

 空に浮かぶ雲を見て、ここで父さんライオン一句。

  雲の子の 生まれそだちは 地平線

  うでがあがっていると自画自賛。

 峠の上から見ると、ピンクの花畑がひろがっている湖。岸辺につくと、何十万羽のピンクのフラミンゴが、いっせいに飛び立ちました。ここでまた 一句。

  みあげれば ゆうやけこやけの フラミンゴ

 そろそろ 帰る時間。大地を ふるわせる 声、足あとが 林の中をぬける。

 と、目の前を 夕日を 背に、ヌーの大群が、みちをよこぎっていて、とおせんぼ。

 ライオンは おもう。

  (うーむ くいきれん)

 

 あべさん、(くいきれん)のところで、もう一句ほしかったなあ。

 お父さんライオン、一日 子どものお世話、お疲れさまでした。俳句をたしなむなど どことなく愛嬌のあるお父さんでした。

 絵の中には、キリン、シマウマ、チーター、ゾウ、サイの姿も。空に浮かぶ雲が消えると、夕方の風景が ひろがっていました。フラミンゴ、ハゲタカ、ヌーの大群と、アフリカ?の大草原の雄大さが せまってきます。

 ついでに短歌で一首

 ゆうぐれに ゆくてをはばむ ヌーのむれ くいきれんと なげくおすライオン