ライオンの ながい いちにち/あべ弘士/佼成出版社/2004年
母さんライオンが、もうすぐヌーのむれが もどってくるからと狩りの打ち合わせを開いているとき、ライオンの父さんと子どもたちが散歩にでかけます。
長かった雨もようやく おわりにちかづき、木の葉や草も緑が濃くなって、いちばん すごしやすい季節。
空に浮かぶ雲を見て、ここで父さんライオン一句。
雲の子の 生まれそだちは 地平線
うでがあがっていると自画自賛。
峠の上から見ると、ピンクの花畑がひろがっている湖。岸辺につくと、何十万羽のピンクのフラミンゴが、いっせいに飛び立ちました。ここでまた 一句。
みあげれば ゆうやけこやけの フラミンゴ
そろそろ 帰る時間。大地を ふるわせる 声、足あとが 林の中をぬける。
と、目の前を 夕日を 背に、ヌーの大群が、みちをよこぎっていて、とおせんぼ。
ライオンは おもう。
(うーむ くいきれん)
あべさん、(くいきれん)のところで、もう一句ほしかったなあ。
お父さんライオン、一日 子どものお世話、お疲れさまでした。俳句をたしなむなど どことなく愛嬌のあるお父さんでした。
絵の中には、キリン、シマウマ、チーター、ゾウ、サイの姿も。空に浮かぶ雲が消えると、夕方の風景が ひろがっていました。フラミンゴ、ハゲタカ、ヌーの大群と、アフリカ?の大草原の雄大さが せまってきます。
ついでに短歌で一首
ゆうぐれに ゆくてをはばむ ヌーのむれ くいきれんと なげくおすライオン