世界に共通している動物たちの話を聞いて幸運をつかみとる話
・けものたちのないしょ話(中国民話選/君島久子訳編/岩波少年文庫/2001年初版)
オオカミ,ヒョウ、小鹿が大王のトラに報告する話を聞いた正直な男が、領主の奥方の病気をなおし、水の出ない土地に水をもたらし、宝物を手に入れます。
・聞耳頭巾(日本昔話百選/稲田浩二・稲田和子編著/三省堂/2003年改訂新版)
鳥や木の話声を聞くことができる頭巾をかぶった貧乏で正直なじいさまが、からす、松の木の話を聞いて、庄屋の旦那の病気をなおし、別の庄屋のお嬢さんの病気をなおします。
・ドシュマンとドウースト(子どもに語る中国アジアの昔話2/松岡享子訳/こぐま社/1997年初版)
正直で親切、貧しい人にはおしみなくほどこすというドウーストが、トラ、オオカミ、キツネの話を聞いた金貨を手に入れ、王女の病気をなおして結婚し、さらに一年中美しい花が咲き、うまいくだものが豊かに実る場所を手にいれます。
・ひんまがりとまっすぐ(シルクロードの民話3 ウズベク/小澤俊夫編 池田香代子・浅岡泰子訳/ぎょうい/2000年初版)
ウズベキスタンの昔話。
いずれも、自力ではなく、動物たちの力をかりて何かをつかみとります。正直で親切な者には、どこかで救いの手があらわれます。
・きき耳(岩手のむかし話/岩手県小学校国語教育研究会編/日本標準/1976年)
「ねずみ浄土」と「聞き耳頭巾」をあわせた話でしょうか。
ある日のこと、貧乏な若者が、1ぴきのネズミを助けた。
この若者がネズミにつれられていったのは、りっぱなとこで、いままでたべたこともねえ、りっぱなごっつあんをごちそうになり、かえりぎわ、けもののなき声をきき分ける箱をもらった。夢かと思ったが、手に美しい箱があった。
クワの木の上で、二羽のカラスがなんだかいっているようなので、箱を耳にあてがってきいてみた。
カラスがいうことには、「この国の千万長者の娘がわけのわからない病気にかかっていて、医者という医者にみせても、すこしもよくならないのは、新しく建てた部屋の下に、大きなヘビとガマガエルが、にらみあっているので、なおらない」という。
若者はすぐ長者の家にいき、あまりにも貧乏くさくて相手にされなかったが、生きるか死ぬかのせとぎわだからと、座敷にとおされ、念仏をとなえて、床下からヘビとガマガエルをひっぱりだして、川にはなしてやると、今までねていたお姫さまが、すぐに、あくびして、むっくりおきあがった。
このあと、若者は、長者の娘の婿になって、しあわせにくらしたという。
ネズミが 何から助けられたか、また、「りっぱなとこ」は どんなとこかはまったく不明で、とんとん話が進行していきます。